美術予備校言葉
予備校での会話や講評の中で頻繁に耳にする言葉の中に、他の場所では使わないような言い回しがあることに気づいた。
興味深くてメモしていたら溜まってきたので、(中には私の予備校だけの使い方や、逆にそこまで珍しくないものもあるかもしれないが)ここに載せておく。
【仕事】作業と同じような意味で使われる。
例:効率のいい仕事してね
【画面に入る】描き始めること。
例:あと10分くらいしたらみんな画面入りましょう
【単位】絵に描かれる要素の一つ一つを指す。大きさや形などがバラバラなほどリズミカルでよいとされがち。
例:単位が似てきちゃってる
【効く】描いたものが絵に効果的にはたらいている状態。
例:その仕事、ちゃんと効いてる?
【持つ】場を持たせる、と言うときと同じように絵がつまらなくならないように工夫している。
例:ここにこの色があることで画面を持たせてますね
【参作】参考作品の略。予備校には、優秀な作品や講師の手本、合格作品などが資料としてたくさん保管されている。
【学科】実技以外の試験をまとめて呼ぶ。
例:実技8割だったけど学科で落ちました
【一般大】美大以外の大学。
【印象】文字通りimpressionだが、言語化しにくい概念なので生徒を困らせる。モチーフがある課題では、とにかく似せることを求められる。
例:印象似てるかよく確認してね
【締める】キワやエッジをしっかりと線で整えること。キワシメとも。
例:早めにキワ締めてあげてね
※謙譲語の「あげる」も頻繁に用いられる
【こいつ/この子】絵に登場する要素を指すときに使う。
例:こいつがもうちょっと大きくてもいいのかな
【色エス】エスキースの色付きバージョン。
【企画】アイデアと同じようなニュアンスで使う。
例:〇〇と△△を組み合わせるっていう企画自体はいいと思うよ
【見え方】パッと見の画面のバランスや力強さを指すが、印象と同じようにどちらかというとふんわりした言い方。
例:ちゃんと自分の目指す見え方になってるか確認してね
【処理】なにかを描くときに、その形や表現方法を自分なりに一定の決めごとを設定して行う。
例:ここの処理曖昧じゃない?
【紙白】かみじろ。何も塗られていない紙の白。
例:紙白は余白として認めます
【暴れる】特にデッサンで、タッチが荒れていたり不必要な仕事をしているときに言われる。
例:まだ暴れてんね
【追う】特にデッサンで、モチーフの特徴を捉えながら描いていくこと。
例:ここの質感とか微妙な陰影をちゃんと追ってね
【狂う】特にデッサンで、形やパースなどがモチーフと大きくずれること。
例:今日のモチーフは狂いやすいので気をつけて
【工事】特にデッサンで、大幅に修正をすること。
例:工事するハメになって終わらなかった
【手術】特にデッサンで、先生が直接手を入れて直すこと。
【いい途中】私大のデッサンは時間が短いため、完成させることは不可能。途中段階でも印象が伝わるような画面を目指す。
【ぴったり画用紙】通常サイズの画用紙。水張り画用紙が存在するため、区別するために呼ぶ。
【入直】入試直前の略。何があるのかは不明。