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2年ぶりの東北現地調査まとめ

2年越しに岩手県陸前高田市に現地調査へ行って感じたこと、考えたこと。

~レポート構成~

1. 陸前高田という都市、人、歴史
海さんの話も踏まえて
新しくなる町、復興の一助。海と共に生きる人々。
2. 震災遺構を巡って 2年前との比較
命を考える。自然と共に生きることを考える。
・大学2年、初めて震災学習をした。
 肌で感じることが精一杯、苦しみを目の当たりにして胸が苦しくなった。2年の月日を経て、再び。
・大川小学校
 生きた証、後世に残さなければいけない事実
 忘れて良いことと、忘れてはいけないこと
・向洋高校 
 突如の別れ、死、悲しみのどん底、絶望、虚無。
・漂流ポスト
 それでも歯を食いしばって生きなければならない
 生ききる。生きるということ、どう生きるか。
3. 桜ライン311
 桜の植樹会、最大津波到達地点に桜を植える。
4. Bookaidの活動、私たちに出来ること
昨年の活動を振り返る。ボランティアとは何か

1. 陸前高田という町

鶴亀寿司さん

岩手県陸前高田市のこの町は、2011年東日本大震災の津波による被害で最大死者数を出した町。
今は町の復興が進み、13年という月日を経て町並みが整ったり、新しい商業施設やコミュニティースペース、カフェなどが建ち並んだり、活気を取り戻しています。

私は、陸前高田という町を震災の町として位置づけるのでは無く、温かい人々や、三陸の美味しい海鮮や海の幸、桜ライン311の方々が尽力している桜並木で有名な観光都市として、人々に広めていきたいです。
私が陸前高田を好きな理由は、1番に空の広さにあります。

名古屋で生まれ育った私にとって、空を隔てるビル群や電柱の線が無く、空気が澄み渡っていることはとても感動した瞬間で、ここに住みたいと二年前に思いました。
時間帯によって、違った色を見せる空、青く広がる海と混ざり合い絵に描いたような陸前高田の空に恋しました。

今回、海さんというゼミのOBの方の家に3泊させて頂きました。
海さんは、桜ライン311というNPO団体に属されており、私たちが参加させて頂いた桜の植樹会の主催団体の一員です。
海さんは大学時代に陸前高田を訪問し、
「陸前高田が好きだから。」というたった一つの、明確な気持ちを抱えて移住された方です。
たった一つだけど、それだけ気持ちを動かされて行動に移せる、心の赴くままに生きている、そんな姿に尊敬しました。

そして、会話をしている中で、物事のプラスの側面を見いだすことに長けている方だなと感じました。もし私が陸前高田に移住した暁には、きっと震災で被災した町という事実が大きすぎて、そのことに思いを馳せずして生活することは不可能に近いと感じることから、教訓にすることは大事だけれど、それ以上に自分の心が保たれないのでは無いかという懸念があります。
また海さんを初めとする、桜ライン311の方々の思いに触れたり、陸前高田にIターンした方々のお話を聞いてみたりしたいと思いました。

1-2 新しくなる町


 被災した陸前高田は、生まれ変わりました。
新しい町並みが広がり、当時の教訓としての震災遺構があり、資料館で当時のことを学ぶことが出来ます。そんな陸前高田では、震災遺構を残すべきか否かという議論があります。震災遺構を残すことで、私たち外部の人間が震災を学び命の尊さに目を向け、防災意識を持つきっかけになる、という利点があります。その一方で、当事者の方々にとっては震災の苦しみや悲しみを度々思い起こすきっかけとなってしまいます。

私の意見としては、震災遺構も含めての陸前高田だと思うのです。
その背景として陸前高田の人々の温かい心は、身近な人の死という人生における最大の苦しみを味わい、それを乗り越えようと必死に生きてきた過去があるからだと思っています。
また、震災遺構があることで外部の人が震災学習をすることが出来、被害の大きさを五感で体感できることも現地調査へ行く意義だと思っています。

~ほんまるの家~

陸前高田道の駅にあるコミュニティースペース。そこには、子供たちと職員さんの笑顔で溢れる空間が生み出されていました。このように、子供の居場所作りや地域の一体感を生み出す取り組みにとても興味があります。そこでは、子供を集める工夫として駄菓子屋さんをやったり、イベントを開催したりするそうです。

2. 震災学習


1. 大川小学校


ここは、気仙町の山と川に囲まれ海からの距離も近くにある、被災した小学校。
ここで学んだことは、 “起きてしまったことは変えられないから、そこから何を学び、考え、未来に向けて行動を起こすことが大切。”だということ。
私はここで、74名の児童の尊い命が失われた事実に思いを馳せていた。
目を閉じると、校庭を駆け回る子供たちの様子が思い浮かび、子供たちは笑顔いっぱいに生きている。そんな当たり前の日常が、突如として失われた。
だから私たちは、この事実と向き合い、後世へと語り継いでいかなければならないのです。
私は、“救われるはずだった命”という言葉が忘れられません。

あの日、誰もが緊迫感と焦燥感に駆られる中で“津波から逃げる”という判断を迅速に下す必要があった。だけれど、意思決定の遅れ、少しの迷いが膨大な犠牲者を出す結果となってしまった。
この事実を受けて、大川小学校生徒の保護者たちによる訴訟が行われてきましたが、
いずれは過去にけじめを付けて前を向くことで、 “今”を生きていかなればなりません。
遺族の悲しみは完全に消えることは無いけれど、その悲しみが和らぎ、今を生きることが出来ているように祈りを捧げたいです。

それと共に、私たちが継承活動を行う使命を感じ、行動できることから始めていきたいです。

2. 向洋高校

校舎2階


海辺にあるこの高校は、建物の3階まで津波が到達しました。
この高校も震災遺構として、震災当時の瓦礫をそのままにして保存されており、誰でも見学することが出来ます。
この光景を初めて見たメンバーが、
“映画のセットみたい。”と声を漏らしていて、本当にその通りで普段目にすることのない悲惨な光景がそこには広がっています。
衝撃的な思いを感じると共に、そこには授業で使用されていた教科書があったり、2階の教室には普通車がぐしゃぐしゃになった状態で横たわっていたりします。
屋上からは、綺麗な海と空とグラウンドが見渡すことが出来る私のお気に入りスポットでもありますが、当時屋上へ逃げて一命を取り留めた事実もあります。

また、この高校の上層部は大きくかけている部分があり、それは津波によって流された冷凍工場が流されてきたことで衝撃が加わった痕跡です。
この高校では、3本のストーリームービーを見ることが出来ます。
3つとも、涙無しでは見ることが出来ず、
その後も涙が止まらなくなりました。
(特に涙を誘うのは、親友を津波で失い、予定されていた卒業式が出来なかった中学生の代表スピーチ。これ程までに泣けるムービーは無いです。。)


<漂流ポスト>

希望とは何か


遺族の方が、亡くなった方に向けて書いた手紙が届くところ。
私たちは、そこに届いた手紙を読ませて頂くことが出来ます。
遺族の方は当時どんな悲しみに埋もれていたのか、どれだけ日々に絶望しながら生きていかなければならなかったのか。
その想いを知ったとき、私たちはもっとちゃんと前を向いて強く生きなくてはと思うのです。生きたくても生きられなかった人の尊い命が、失われてしまった事実を受けて、どう生きるべきかを問われるのです。
どんなときも、希望を信じて歩み続けるしかないのです。
人々は支え合って、希望を分け与えながら生きていくことが出来るのです。


3. 桜ライン311

桜の苗木


NPOの桜ライン311の方々は、あの日の悲しみや悔しさをバネに活動されています。主な活動として、最大津波到達地点に桜の木を植えることで、再び津波が襲ってきてもこれより先に逃げてほしいという教訓の思いが込められている取り組みがあります。

私たちは、1本の桜の植樹に携わらせて頂きました。
ずっと夢だった桜の植樹。その理由は、Book-aidとして愛知県から間接的な支援をしているものの、陸前高田という現地で直接的なボランティア支援が出来ていなかったからです。

今回、ゼミの同期4人で植樹会に参加させて頂けることになりました。桜の苗木は、想像以上に大きくずっしりと重かったです。
事前に見た説明動画や、説明書を参考にしながら4人で土を掘り起こします。
主にパワーのある野球部二人が戦力になって掘り起こしてくれましたが…。
苗木を土にセットするタイミングで他のグループを見ると、もう既に木に支柱を取り付ける工程まで進んでおり、私たちは焦りを感じていました。

同期の中には経験者が2人いたけれど、それ以上に工程がたくさんあるのと、支柱を埋め込むのに金槌を使ってパワーが必要なのと、支柱を固定する紐の結び方が複雑で手こずった点が難しかったです。
(昨夜、紐結びの練習したはずなんだけどなぁ。)

何とか植え終わった頃、桜ラインの職員さんが集まってきて、「よく頑張ったね~、あと少しだよ。仕上げのメネデールの動画を撮っても良いかな?」という話になり、あのかけ声と共にメネデールを蒔いてくれました。

「芽と根が出るから、、、メネデール!!!!」

この合言葉、ユーモアセンスありすぎて今でもふと笑いが込み上げてしまいます。(笑)

桜ライン311の皆様、最後まで温かく見守ってくださり、ありがとうございました!
また何年後かに育った桜の木を見に行きたいですし、陸前高田が桜並木の街で有名になる日を楽しみにしています。(何十年後かに桜咲くといいなぁ。それを皆で見に行けたら素敵だなぁ。)

4. Book-aidとしての取り組み

円頓寺商店街に出店


私たちは、Book-aidというボランティア活動を通して、桜ライン311へ寄付をさせて頂くという形で繋がりを持ち続けてきました。
学内で古本を回収して商店街や大学で販売したり、陸前高田の物産品を取り寄せて販売したりして得た資金の用途が、この桜の植樹で、“私たちの取り組みの最終到達地点は桜並木なんだ”と肌で感じることが出来ました。

思い出のぶどうジュース🍇

なんと、受注取引をさせて頂いていた葡萄園にも行ってきました。(私が行きたい!と言ったところほぼほぼマークして予定を組んでくれた、旅行会社K.Kには本当に感謝しかありません。朝、早起きして一日の予定を立ててくれてたよね、ありがとう🙏🏻)
※旅行会社K.Kとはダブルかずきの頭文字をとったもので、陸前高田市訪問4度目の大ベテランの2人を指します。
大量に受注しては、大人気で売れ行きがいいマスカットサイダーが懐かしい。やっぱり夏の匂いがする。

他にも、受注先のサロンドロワイヤルさんや、奇跡の醤を販売しているショップにも行きました。
次は、奇跡の醤の工場に潜入することが夢です!
そしてこれまでの軌跡を聞いてみたいです。
サロンドロワイヤルさんのピーカンナッツチョコレート、やっぱりハマる美味しさですよね~。(唐突)
そして欠かせないのが、アトリエASUKAさんの描いたデザインの表紙!もはやこのパッケージを求めてチョコレートを購入しているまであります。

とっても素敵な絵で、2年前に現物を見させて頂いた時は衝撃を受けました。"世界をこんな風に捉えているのか。なんて素敵な感性の持ち主なのか。"と。
2年前は、Book-aidでピーカンナッツチョコレートを販売しているなんて、誰が予想していたでしょうか。
私たちは、沢山の方の協力のお陰で、新しいことを柔軟に取り入れたり、自由に楽しくボランティア活動を出来ていたことを誇りに思いますし、感謝の気持ちでいっぱいです。

5. 桜ライン311代表の講演会を聞いて感じたこと

岡本さんの抱く想い


代表:岡本翔馬さん
1)震災当時、生き残ってしまった罪悪感。
 親友ゆうきさんが亡くなり、死ぬ順番が違うと思った。それから、親友のぶんまで「生き切る」ことを決意。
2)おばあちゃん家の石碑
 伝わりづらく、意味を成さなかった。
3)過去の歴史から学ぶ
 51年前チリ地震
 78年前明治三陸沖地震

4)忘れて良いことと、忘れてはいけないこと。
 どう伝えていくか?
 伝承継承の手法として、最大津波到達地点への桜の植樹。
 桜の木・・・樹齢1300年と人の寿命より遥かに長い植物。


5)追体験・・・自分事にする。
 Q、もしも大切な人が瓦礫の下敷きになっていたら、あなたはどうしますか?
  助けようとするでしょう。
  でも、大切な人はあなたにこう告げます。
 「お願い。私のことは良いから、早く逃げて。」と。
  その時あなたは、自分のために逃げる決断をすることが出来ますか?


・自助の意識が大切です。
このように、自分事にして考えることが大切なのです。

6. 翔馬さんの想いとこれから

桜の植樹マップ


・過去があって、『今』がある。
・もらった恩やご縁を大切に、人々の期待に応える。
・自助の意識とコミュニティー形成
・『命』について考えよう。
大切な人と生きられる日々を大切にしよう。
・当たり前は奇跡の連続で、永遠では無いこと。


<対策>
防潮堤:高さ12.5m
・かさ上げ:10.5m

・新たな松の木⇒津波の被害を抑える役目。

12.5mの防潮堤



<これからも>
・地域の人に応援される団体。全国からも支持される団体。
陸前高田市のファンになってもらう。
(↑まさに私のことです。陸高だいすきです。
マスコットキャラクターのゆめちゃんも、だいすきです!)

・関係人口を増やす。
・チャリティーマラソンで寄付を募る。
・防災、減災の意識を高める。

素敵な講演を、ありがとうございました。
また、お話聞かせてください。



最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

皆さんも機会があれば是非、陸前高田市へ足を運んでみてください。
三陸名物や、新鮮な魚が美味しい鶴亀寿司、そして青く綺麗な海に、季節によって色味の違った空模様。そして何より、陸前高田市の人々の温かさに魅了されること間違いありません。

次回足を運んだ際には、陸前高田市の魅力をギュッと詰め込んだ記事を発信できるように頑張ります🎶

そして、NPO桜ライン311の取り組みもチェックしてみて下さい🌸
海さんが、大阪チャリティーマラソンに出場するとの事なので、応援したいです🔥


陸前高田市が、これからもずっと、温かさで溢れる地域でありますように。
そして、災害大国の日本で、防災減災の意識が高まり、自分の命を自分で守れる人が増えますように。

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