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なぜ、「子どもの道くさ」はSNSで評判なのに書店に並んでないのか?
皆さん、こんにちは。
拙書「子どもの道くさ」(東信堂)について、「書店に行ったけど見つからなかった」「町の書店ではなぜ入荷してないのでしょうか?」「本屋さんで買うのとオンラインで購入するのとでは何か違いがありますか?」等々のご質問が続々と届いておりますので、以下にお答えいたします。
普通の本屋にはないのかニャ?気になって本屋で探したもののなかったニャ…Amazonかニャ🐈
— key (@key_san) August 18, 2020
子どもの道くさも百物語も、Amazonで買うと早いのだが、さて…本屋さんで買うと本屋さんのためになるかしら
— uchako (@uchaume) August 16, 2020
まず、本書「子どもの道くさ」の立ち位置ですが、「新刊」ではなく「既刊」本となります。そのため、版元さんが書店さんへ「撒く」ことができず、そのままでは書店さんの棚には実はなかなか並びません。
「重版」って、新刊と違って書店に自動的に配本されるもんじゃないのです。なので、ふらりと書店に行って棚にあるものじゃない(そこの書店員さんがたまたま「この本を売る!」と注文してくれてでもいない限り)。
— 渡辺朗典 (@nabe_routen) August 12, 2020
なので確実に手に入れたいなら店頭注文を!#子どもの道くさ
【引用 1】上記のTweetをなされた渡辺朗典さんは、かつて「小学一年生」(小学館)の編集長を勤めておられました。そのプロがこう指摘しておられます。「既刊本は、新刊とは違って書店に自動的に配本されるものではない」と。つまり、お客さんが書店へいきなり行っても書棚に並んでいる姿を見かける可能性は低いということです。
しかし、「新刊」の扱いと同じように店頭に再び並べてもらえる方法がひとつだけあって、それはそのお店の書店員さんが「この本はなんだかいま話題のようだ。(古いけれど)入れてみるか」と思ってくださることです。
どうすれば、そうなるのでしょうか?
実は意外にもそう難しいことではないのです。
お客さんが店頭にて『この本を注文したいのですが』と仰ってくださることが続くと、店員さんは「この本は売れるかもしれない」と考え、書店に専用の棚を設けてくれる可能性がでてきます。
要は、「新刊」でない本の扱いというものは、すべからくこのような形になっており、書店さん側から版元さんへの発注が連続発生する形でない限り、店頭にはそう簡単には並びません。
ただし、今申し上げましたように、たくさんのお客様からの注文が連続で入り出すと、書店さんが動きます!そのこと自体が自然と話題になります!すると、メディアなどが採りあげてくれる可能性もでてきます。
つまり、今回の場合でいくと、ネットで話題になったことや起きた奇跡がそのままに、リアルの世界へもついに波及するということです。
通常、新刊であれば、たとえば発売前にネットなどで話題になれば刊行日の動きも自動的によくなるわけで、そのままメディアがそれをニュースとして流してもくれます。それにより、さらに興味をもってくださる方が増え、増刷へと繋がってもいくのです。またそうなれば、「重版出来」という広告などが打たれますから、相乗効果でさらによい流れになります。
「新刊」は「初動が大事」とはよく言われることですが、それは今見て頂いたような「流れ」が影響するからです。
しかし、一度でもその流れが途切れれば——つまり書店におけるその本の「動き」が渋くなればそのうちに旧刊オチとして扱われはじめます。売れ線でそれまで平積みであった本も、書棚へ〝縦〟に収納されていきます。
そんな「旧刊」にオチた本の命運は、数年を経て絶版状態へ移行となることが多いのですが、ごくたまに例外が生じます。何かの拍子に再注目されることがあるからです。ですので、最終的には、マーケット次第でありますが、個別にはお客様と書店様こそが彼らの命綱を握ることになります。
再度話題になりはじめた本について、お客様からの注文をうけた書店様が「この本は再び動く」と確信をもてば、専用の平積みコーナーなどもうまくすれば設けられることでしょう。もしかするとそれは、その辺の新刊よりもメディアが注目するかもしれません。まずめったいにないことですから。
当たり前ですが、だから版元さんは「重版」という重大事の決定を容易にはしません。売り場の実情を鑑みると、ヘタに増刷をしたばかりに売れ残りが発生して大赤字になるかも、というリスクが極めて高いからです。
誤解を招く表現だったかもしれないので補足。通常の「重版」は、売れてる本が市場に足りなくなった分の補充なので、すでに書店が注文をかけています。買う側からすると、書店の棚に自動的に補充されてる感覚ですよね。でもこの本は14年ぶりの重版。新たに注文しないと入荷されないのです。
— 渡辺朗典 (@nabe_routen) August 12, 2020
【引用 2】前述の渡辺さんによれば、「売れているうちにかかる重版」と、一度「旧刊」オチしてからの復活の重版とでは、書店における対応が自ずと異なっていることがわかります。いくら版元が重版しても、書店さんからの注文がなければその本が店頭に並ぶことはないのです。だから、版元は容易には重版を行いません。
Twitterのつぶやきから増刷された本
— なお (@msdno) August 13, 2020
その事が著者紹介に書いてあった。#子どもの道くさ pic.twitter.com/gnDhoV5cyi
【引用3】なおさんは、本書増刷の経緯に注目してくれたみたいです。14年も経ってからの増刷というのは、まずない出来事ですから。
そういうわけで、一度でも「旧刊」に落ちた本にリアルの世界で万一光があたった場合には、そのこと自体がまさに奇跡的なこととなるのです。あるいは、版元さんが「増刷した」ということそれ自体が!
このたびの「子どもの道くさ」をめぐる一連の物語では、すでに「絶版からの復活・増刷」というひとつの奇跡に浴しました。
もし、それが再び起こるとすれば、それは書店さんから版元さんへの追加注文が伸びていくときでしょう。ただしそれには超えねばならないハードルがあって、現在抱える在庫が品切れになった時に、版元が再度のリスクを冒して増刷の決断をするかどうか、ということです。
その鍵を握るのはやはり「読者」であり、そこからの「欲しい」という声が書店さんへ続々と届くことで、このTwitter発のドリームはついに完結のはこびとなるはずです。
「ある日、ひとりの読者が〝面白い〟と呟いたことでTwitterで話題になると、絶版状態であったことからその本の中古価格が十万円以上にまで高騰する。見かねた版元がリスクを背負って14年ぶりの重版を決断をすると大勢が手を叩いて喜び、再版日の初日には本当にAmazonで蒸発してしまった。書店への注文がそのまま引きも切らず、ついには新刊を打ち負かして「Twitter発のネットドリーム」としてリアル社会でも大きなニュースとなった」、などという、出版不況を吹き飛ばすようなそんな物語を、僕はぜひとも皆さんと共有したいと強く願っております!
※㊥ 誤解なきよう念のため申し上げておきますが、いくら本書が売れたとしても著者に印税が入ることはありません。その訳は、以下の既報にあるとおりです。
すでにそんな二度目の奇跡が近く実現するかもしれないというたしかな予感を感じさせる芽がこのようにニョキニョキと伸びてきております!
筆者さまお返事ありがとうございます!では本屋さんで注文しますね!
— uchako (@uchaume) August 16, 2020
20日に駅前行くから、頼んでみるニャ!🐈✨
— key (@key_san) August 18, 2020
ありがとうニャ☺️🐈✨
『子どもの道くさ』、昨日重版出来したようですが、すでにAmazonでは「品切れ」表示になるほどの売れ行きだそう。書店店頭での注文はできるようなので、↓このツイートに反応した人はぜひ購入まで行きましょう。本当の「ツイッターいい話」にするために!(と、また自分に関係ない他社の本を推す😅) https://t.co/eF36iNULaq
— 渡辺朗典 (@nabe_routen) August 12, 2020
@gaki_teinei ガッキー のお友だちだー、と思って😅フォローさせていただいてから、こんな奇跡を見させてもらえるとは思ってもみませんでした。 昔、学術出版社で編集やっていたので、どれだけ凄いかはわかります。本当におめでとうございます😊
— Payu (@TOMYkyo) August 1, 2020
すごいですね!!おめでとうございます!2020/8/11に再発売なんですね! pic.twitter.com/0Qgzii5SMy
— 堀田秀吾@最新刊 『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』好評発売中 (@syugo_h) August 1, 2020
8月7日にジュンク堂書店福岡店が移転再オープンなので一発目の注文はこれに決定。#東信堂さんへの応援を願います|美猫院&飼主(水月昭道) @syakusanjiki #note https://t.co/kqhWXuZiwL
— 日下麻保 (@maho_ra1208) July 23, 2020
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