「新九郎、奔る!」と「逃げ上手の若君」

 漫画アプリ「サンデーうぇぶり」のポイントが貯まっていたので、ゆうきまさみ「新九郎、奔る!」をアプリで読めるところまで読みました。途中までは再読です。
 で、いきなり脱線するのですが、公式アプリで無課金で読んだ、は公言しても問題ないことか、敢えて言うべきではないことか、ちょっと悩んでしまいました。海賊版サイトで読んだ、は論外として、古本屋で買って読んだ、もひょっとして著者本人の目に留まったら気分を害するだろう、という意味で、まあ言及する必要が無ければ言わない方が良い、というのは理解できます。
 では、出版社の公式アプリで無料で読むのは?一応、広告見て、ささやかだけど収益に貢献して、アプリ側からもらったポイントですけどね。だから出版社やアプリの運営に気兼ねする必要はないでしょうが、では著者には?色々考えるけど、結局アプリの収益がどのようなかたちで著者に分配されているかわからないと、こちらでは判断しようがないですね。

 さて、本題。ここらへん、詳しい人には「何を今更」と言われてしまう内容かとは思いますが、その時はご容赦を。以前、つぶやきでも書きましたが、「新九郎、奔る!」の主人公、伊勢新九郎の生母の実家、尾張の横井家は「逃げ上手の若君」の主人公、北条時行の子孫だという伝承があるとのこと、それで今回読み返して気づいたのが、伊勢新九郎の奥さん、小笠原家の出ではないですか!ちょっと調べたら、足利将軍家の弓馬指南を務めたのは京都小笠原家という家で、「逃げ若」の敵役、小笠原貞宗の弟から始まる家なのだとか。まあこの辺の敵味方の関係なんて、どんどん変化していくものだとは思いますが、漫画作品としてみると、奇縁だなと感じます。
 そう思うと、伊勢新九郎の姉が嫁いだ駿河の守護、今川義忠は、旧領の遠江の守護職も回復しようと動いているのですが、遠江は中先代の乱の折に今川家が---して賜った領地だ(史実でしょうが、「逃げ若」のまだアニメ化もしてない部分のネタバレになるので伏せます)、などというセリフがあって、「おお、『逃げ若』のあいつらか、とちょっと驚きました。邪推ですけどこのセリフ、「逃げ若」を意識してるんじゃないかと、ちょっと思ってます。
 「新九郎」の作中では遠江回復どころか、駿河の守護職まで怪しくなってしまう今川家ですが、もう少し後、今川義元の時代には今川家が駿河・遠江2国の守護で三河も勢力圏に収め、尾張にまで手を伸ばしていたのは良く知られているところ。きっと龍王丸君がこの後凄く頑張ったんだろうなぁ、などと思ったのですが、日本史好きな人からは笑われてしまいますかね?

 と、あれやこれや、室町初期を題材にした「逃げ上手の若君」と、応仁の乱から戦国時代に移っていく時代を題材にした「新九郎、奔る!」、扱う時代の違いは百数十年ありますが、色々繋がっているなぁ、と感じた次第、と纏めようとしたんですが、ここではたと気づきます。待て「逃げ若」少なくとも自分が読んだところはまだ室町初期ではなくて、建武の新政期だ!危ない危ない。そこで更にもうひとつ気づいたこと。あれ?「逃げ若」では強い敵と戦う時「南北朝鬼ごっこ」って表示されるけど、中先代の乱の時点でもまだ南北朝時代に入ってないじゃない!

 書き始める時に考えていたより「逃げ若」のウエイトが大きくなってしまいましたが、「新九郎、奔る!」も「逃げ上手の若君」も、僕にとって馴染みの薄い時代について解像度を上げてくれる作品となっています。冒頭で変なことを書いてしまいましたが、いずれ紙の本で揃えておきたいと思っている作品です。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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びぶ
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