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ドラマ「トロイ伝説(第4話)」感想

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内容

 トロイへ食料などを運び込む地下道が開通しトロイに食料が届いた。ところが追加の食料を輸送する準備をしていたキリキアを、アキレス率いるミュルミドンたちが夜襲する。
 キリキア王エエティオンはトロイに地下道を閉鎖するよう伝える伝令を放った後、一人アキレスと対峙し殺される。
 アキレスはブリセイスを捕虜にする。
 食糧が届きお祝いムードのトロイにも、キリキア襲撃の報が届く。
 ミュルミドン単独でキリキア攻撃を成功させたアキレスだが、メネラオスやアガメムノンからの賞賛には、冷淡に応える。
 アガメムノンは捕虜の中にいたクリュセイスに生贄にした娘の面影を見て、傍に置くことにする。
 キリキア陥落の報せに、お祝いムードから一転して落胆に包まれるトロイ。ヘレンはパリスからキリキア攻撃の指揮はアキレスだと知る。
 ブリセイスに薬を勧めるアキレスとパトロクロス。ブリセイスは短剣をパトロクロスの喉元に突き付けて解放を要求するが、アキレスは動じない。
 アンドロマケ懐妊。
 クリュセイスに娘を殺したことについての弁解をするアガメムノンだが、クリュセイスから罵倒され怒り狂うアガメムノン。それまでの態度を一変させ乱暴する。クリュセイスはアポロンから報いがあるだろうと呟く。
 パリスの夢で深夜に目を覚ますヘクトル。
 ギリシャ陣営で疫病発生。
 キリキア王の葬儀がなされていないので、アンドロマケのためトロイで行う。遺体の替わりに馬を捧げる必要がある。パリスは自分の愛馬を提供する。
 クリュセイスの父らキリキアの生き残りは、ギリシャ陣営の外で一団となって無言でギリシャ兵たちを睨みつける。疫病発生中のギリシャ軍は更なるアポロンの怒りを恐れて手を出せない。
 キリキア王の葬儀でキリキアの情報を与えてしまったヘレンに、ヘレンの部屋から出ていくアキレスを見てしまった下男は、見ないふりはできないと告げる。更にそれを見ている間者クサンティウス。
 パトロクロスの看病をするアキレス。薬を与えるブリセイス。アキレスはアガメムノンの天幕に乗り込み、クリュセイスを解放するよう迫る。
 キリキアが攻撃されたことで、トロイでは内通者を疑う声が出始める。ヘレンはアキレスが来てキリキアに助けを求めていることを悟られたことを、パリスにも言いだせずに孤立していく。
 父親の元に返されるクリュセイス。
 パリスをトロイに戻すことにことに反対したため追放され、キリキアにいた元大神官のリトスはギリシャ陣営に残る。
 内通者を見つけられず苛立つパリス。ヘクトルに自分以外に責める相手が欲しかったと打ち明ける。ヘクトルは誰もパリスを責めていないと言い、家族の団結を強調する。
 下男の元を訪ね、贈り物と共に口止めを依頼するヘレン。
 パトロクロスの病が癒え、アキレスにとってブリセイスの存在は大きくなる。
 クサンティウスは下男のもとを訪れる。
 アキレスの要求で変換したクリュセイスの代わりにブリセイスを要求するアガメムノン。アキレスは戦闘のボイコットで対抗するが、アガメムノンはメネラオスらの反対を押し切ってブリセイスを連れ去る。
 アキレスを失い、手詰まりになったギリシャ側はパリスとメネラオスの一騎打ちを提案、パリスも受け入れる。パリスとメネラオスの一騎打ちの途中、両軍の将兵が見守る中、元大神官によりパリスの出生時の秘密が明かされトロイの勝利のためにはパリスの死が必要だと告げられる。戦意を喪失したパリスは戦場から逃走する。

時系列的感想(ドラマを見ながら思ったこと)

 バトルシーンは夜なので、色々わかりづらい。奇襲でキリキア側が一方的にやられる場面なので、あまりハッキリ見せたくなかったか。
 戦士としての誇りの高さと、残虐さが同居するアキレスのキャラクターが伝わってくる。手向かいすれば女でも容赦なく殴るし。
 アガメムノンがクリュセイスに執着した理由が、死んだ娘に似ている、だと色々印象が変わるなぁ。
 アキレスとブリセイスとのやり取りは、自分の書いている小説のシーンと似てる。あのシーンのイメージの元はこれかと気づかされる。ブリセイスの手の縄を切った後、たった今短剣をパトロクロスに突き付けたブリセイスから視線を外して、パトロクロスに傷がないか見るアキレス。自分の強さへの自信とともに、パトロクロスに対する情愛が表現される。
 捕虜であるクリュセイスに娘を殺したことへの弁解を述べるアガメムノンには、キリスト教の告解とか、精神科のセラピーとか欧米のそういう文化を感じさせるものがある。娘に見立てたクリュセイスから、お前が父でなくて良かったと罵倒されて態度が変わるところは、器の大きさという意味でアキレスと対照的。
 ギリシャ陣営の外に来たキリキアの生き残りたちを皆殺しにしようという意見に対し、アガメムノンの代わりにアポロンの怒りを受けるぞと返すアキレス。現代の抗議行動のような奇妙な画を成り立たせる理屈付けが上手い。
 病人たちを前にして戦う意味に疑問を投げかけるアキレス。疫病の原因はアガメムノンが神官の娘を辱めたから、というのはギリシャ軍に共有されているもよう。
 パトロクロスが咳をした時の目の動き一つで、どれだけ心配しているか表現するアキレス役の役者さんの演技が素晴らしい。
 馬を死者の代わりにしての葬儀。馬の目と回転式の砥石で磨かれるナイフを交互に。動物好きとして辛くなるシーン。
 大司祭リトスはラオコーンの代わりかな。
 病から回復したパトロクロス、アキレスとのレスリングからそのままエロい感じに。うん、直接的に描写しているのは初めて見たけど、アキレスとパトロクロスってそうだよね。ブリセイスの隣に移動するパトロクロス、看病の礼を言ってからブリセイスとキス、おい、そこがそうなるのか。アキレスも寄って来て3人でキス、なんだこれ。ここから更にヘレンとパリスの添い寝シーンに繋げられると胸焼けする。
 戦争の行方を心配する子どもを励ますクサンティウス。でもトロイ滅亡の前提のセリフなのね。
 パリス対メネラオスの一騎打ちは前半かなりカッコ良い。パリスの方が剣と盾の扱いに慣れてない感じがしたのは、演出か偶然か。

視聴後の感想

 アキレスがアガメムノンにブリセイスを奪われる件と、パリス対メネラオスの一騎打ちと、イリアスでの重要エピソードが登場。
 アガメムノンがクリュセイスを手元に置きたがった理由が、生贄に捧げざるを得なかった娘に似ていたからだが、意に沿う受け答えがなかったから結局乱暴に辱めるというのは、単に(当時の考えでの)勝者の権利を行使していると考えるより倒錯度が高くなってますね。
 アキレスとパトロクロス、アキレスとブリセイスの恋愛関係はわかるんですが、このドラマではブリセイスとパトロクロスの間にも恋愛関係ができて3人で絡み合われると、まあ「なんだこれ」しか感想が出てこないです。ブリセイスとパトロクロスの間にも恋愛要素を入れているのは初めて見たと思います。古代ギリシャでは男性同士の同性愛は普通だったんで、アキレスとパトロクロスの関係も恋愛関係にするのは、ここまであからさまなのは見たことないですけど、まあアリなんでしょう。ただホメーロスの時代はともかく、実際のトロイア戦争があったと考えられるミケーネ文明の時代がポリス時代と同じく同性愛が盛んだったのかはわからないですけどね。
 ブリセイスを連れ去ろうとするアガメムノンに、戦闘のボイコットをカードに対抗するアキレス。しかしクリュセイスを返すことを迫った時にもアキレスが王である自分に越権行為を働いてた、と考えているアガメムノンにはむしろ逆効果だったかも。ただ見ている身としては、ここでアガメムノンに剣を向けてでも阻止しようとしないのか、とか考えてしまう。それやったらギリシャ軍は瓦解するでしょうけど。アキレスが戦闘ボイコットを宣言しただけで、ギリシャの武将たちは無茶苦茶動揺してましたし。
 パリス対メネラオスの一騎打ち。両者とも円盾と剣。剣がちゃんと青銅に見えます。このドラマのパリスは映画「トロイ」のパリスよりタフですね。最初は堂々と渡り合っているんですが、元神官長の登場で戦意喪失。まさにトドメを刺されようというところで、アフロディテの励ましで逃走。イリアスではアフロディテはもっと直接的に介入しているんですが、これはこれでですね。
 あと特筆すべきは、ヘレンを守れというアキレスからの命令を実行すべく暗躍を始めた間者クサンティウスでしょうか。
 今までより次回が気になる形で終わっています。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。本業のサイトもご覧いただければ幸いです。


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びぶ
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