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太古から|2024-01-22

今回は、うでパスタが書く。

先日、ある人と酒を飲んでいて「大学受験の社会にどの科目を使ったか」と訊いたら「地理と倫理政経です」ということだったので、私もそうだがやはり高校で倫理政経なんてものを選択する人間になってはいけないという思いを新たにした。若くしてはやはり、歴史を学ぶべきだ。

私は歴史を学んでいない。そしてすべてが遅きに失したいまとなってそれを深く、深く後悔している。だが歴史を編む者にもそれなりの思惑があるということも分かる歳になってしまっているし(それを「遅きに失した」というのだが)、作者のために書かれたものは読みたくない。もう胃腸も弱っていてダイジェスティブなものがいいというのもあって、それで買ったのが「学習漫画・世界の歴史」(集英社)なのだから泣かせるというものだ。

歴史のエッセンスとはすべて「(人類の)歴史は繰り返す」というところに凝縮されているようだ。つまりそういう意味でいえば歴史は「使える」。しかしそれは歴史を学ばなければ分からないことなので、私のような暗愚の衆が生まれることにはキリがない。
若い頃は、大人や年寄りはみんな過去にこだわってばかりで全部が全部間違っていると見えて、「歴史は繰り返す」などはこうした連中が若い者たちを黙らせ既得権益を貪るための牽制だと、ただただそう思っていた。これは半分正しくて、半分は間違っているということをレイ・ダリオが書いている。曰く、「歴史は繰り返す。だがそのサイクルには一〇〇年以上の時間がかかるため、通常ひとが生涯に経験することはそのほとんどが初めてのことである」ということだ。だから「現代ではすべてが新しい、年寄りのいうことは役に立たない」と考えた私は正しい。しかしもう少し離れて見てみると、たとえば曾祖父やさらにその前に墓へ入った先祖たちが生きていたならば、こうした人々の語る「歴史」がむしろ私にとっての未来を描いていた可能性は高い。ただただ未来を思い描こうとすれば得てしてそれは可能性の迷路で無限に発散していくものだが、人間の可能性は決して無限ではない。人類の歴史を紐解いて、自分たちの生きる「現在」がいまどのポイントにあるかを探す方がよほど建設的で、実用的ですらあるようだ。

学習漫画で読んでいるということをあらためて前置きさせていただきたいのではあるが、読み始めてすぐに理解したことには以下のようなものがある。

・出自にこだわらず、能力で人を登用すると国は栄える
・逆に親族や同族を重用するようになると国は乱れる
・豊かさが格差を生む
・戦争や大規模な土木工事を控え、減税したり生産手段を分配すると統治は長くつづく傾向がある
・格差が広がり不満が大きくなると世は乱れ、ほとんどの場合国は倒れる
・統治者が問題に気付かず手遅れになる原因は「縁故主義」「放蕩」「色情」である

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