BiblioTALK de KINOKO vol.038のお知らせ|2023-10-20
この告知は、うでパスタが書きます。
読者のなかに5年間購読している方がいることを知りながら1ヶ月休載をしてしまいました。(2回)は知らなかったです。3回下書き消してしまい申し訳ありませんでした。
「バカの書いたビジネス文書」が長く関心を集めています(要出典)。
私自身はその脱構築的なバイブスにどちらかといえばポジティブな感想を持っています。さらにいえば、もともとはかなり大きな体系であるビジネスというものをしっかり履修しなくても、これほど人目に触れるだけのビジネスができる時代が来たことには感動すら覚えるものです。
前回は「うちに犬が来た」ということをお知らせして終わったわけですが、その後ちょうど一ヶ月を経て、犬は無事に私たちの家族へとマイグレーションを進めております。逆に、そろそろこれぐらいのところまで来てなお困ったことがあれば、それは今後かなり長い期間をかけて直していかなければならない、犬と人間が相互に分かりあわなければならないイシューだということになりましょう。具体的には、爪を切らせてくれない、宅配業者や来客に対する警戒心が強すぎる、家でトイレができないなどになります。
実は前回の配信は、我が家のスタジオを妻から借りてやろうかなというようなことも少し考えておりました。これは夜でも大騒ぎできる防音になっているからということと、それからキノコさんがそのあと下北沢で朝まで遊ぶのに都合がいいからということのふたつが理由です。しかし直前にいきなり犬がうちの家へ来ることになり、ちょっと夜中にお客さまをお迎えしているような場合ではなくなったため、いつも通り九段下からお届けしたという経緯があります。
「場合ではなくなった」にはいくつかの側面がありますが、そのうちの少なくともひとつは私自身の心身にわたる疲弊です。ある日いきなり犬を引き取ることになり、しかもそれは保護犬であって、団体にも数日しか在籍しなかった犬であることから「それまで何を食べていたのか」も分からないままに家族の新メンバーが増えたわけですし、これについては前回の配信のなかでもお話ししていますが、この団体は「おためし」「ならし」の期間を設けず「ぽん」と新しい家族に犬を引き取らせているため、万が一にも無駄吠え(「無駄吠え」という言葉には抵抗がありますが)が止まなかったり、人間の方に犬アレルギーが出たりした場合にどうするかなどを考えながらとにもかくにも新生活を起ち上げていくのは実に大変で、私は最初の三週間で二キロ痩せました(犬は三〇〇グラム太っています)。
とにかくそういうわけで、我が家での配信は当分のあいだ見送りとなりました。しかしキノコさんの外出が頻回におよぶのも地域の安定にはよろしくないでしょうし、なんとか下北沢近辺で配信のできる施設がないかなと思って探していましたら、最近蔦屋書店が「シェアラウンジ」なるサービスを展開していることが分かりましたので、六本木店でこれを試してみました。
「シェアラウンジ」は、いわゆるコワーキングスペースの隣接領域といったサービスで、書店併設であることからも分かる通り、「購入前の本を三冊まで選んで読むことができる」のをひとつの特色に、ソフトドリンクやアルコールの飲み放題コースを用意し、必ずしも読書や作業だけではなく会話もできるような、まさに空港ラウンジの市中版といったコンセプトで運営されています。
六本木店でも一時間あたり一五〇〇円と、コーヒー代を考えれば大人なら悪くないと思える金額ですが、マルチや保険の勧誘だと相手が変わるたびに一五〇〇円がかかってくるので少し懐が痛いという、そういう設定なのかもしれません。
ともあれ、六本木には「女子会にも」と謳われた個室が用意され、もちろんそこでもビールを始めとするアルコールが飲めるようになっている(ただしガラス張りで中は丸見えである)ので、ここから配信すればいいのでは?と思ったのですが、この個室は一時間あたり六〇〇〇円あまりの別料金が必要で、しかも下北沢店にはそもそも個室はなかったのでこれも諦めることになりました。
しかし歳をとると流行廃れのサイクルも早くなったと感じるもので、カフェやコワーキングスペース、あるいはそれこそラウンジのようなところでPCを開いて仕事をできるタイプのひとを「ノマド」と呼んで少しうらやましがっていたのはあれは十五年ぐらい前のことでしたでしょうか。いまでは逆にショルダーハックの怖れなどから公共の場で(別に公共の場ではないのですが)仕事をする人間はただのイキリ屋だし悪くすればバカか潜在的な犯罪者であるぐらいのことを言われるようになってしまいました。
そもそもそんなに守秘性の高い仕事をする人間にカフェへ来て仕事をしろ、ラウンジへ行けとは誰も言っていないわけで、こういう人は最初から会社へ行って仕事をすればよいでしょうし、実際それ以外に仕事しようのない人が言っているのだろうなということは想像に難くありません。こういう人々からいかように批難を浴びようとも、会社へ行かず、自分のやりたいときにやりたい場所で仕事をするのが少なくとも私たちの世代などからするとワーキング・スタイルのひとつの到達点であったことは間違いがありませんし、今般在宅勤務が解除されて急速なオフィス回帰が進もうなかにも、こうしたかつての「ノマド」スタイルが世の中に根強く、不可逆的にとどまることを私は祈ります。
その一方、オフィスでタップから注いだビールを飲むスタイルは、一時は「まさかこれもいけるのか?」と思われたものの数年という時を生き延びることができず大きく退潮し、こういうノリで仕事をしていた連中はみんな死にました。““早すぎた””のでしょう。まぁ普通に考えればダメだと分かるはずなのですが、こういうのも大切です。これからの若い世代に、今後の夢を託したいと思います。
前置きが長くなりました。来る2023年10月26日(木)20時ごろより、YouTubeLIVE配信「BiblioTALK de KINOKO vol.038」をお届けします。結局は九段下ビブリオテーク・ド・キノコからお送りすることになるでしょう。
配信はいつもの通り、当有料マガジンの定期購読者限定で、配信URLはこのノートの末尾・有料部分に記載されています。もしかしたら、そろそろスペースでの同時配信ができるかもしれませんが、これは未定です。いずれにせよ、YouTubeでは後追い視聴やアーカイブ視聴が可能です。
配信では、noteのサポート機能を通じたメッセージやお尋ね、リクエストにお応えしています(お応えしないこともあります)。どうしても金を払いたくないか、または身元を明らかにしたくない事情がある方は、質問箱を利用していただくこともできるといえばできます。
それでは皆さんのご参加・ご視聴を心よりお待ちしております。
(以下、有料部分に配信URLを記載)
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