貧しさこそが敵。/BiblioTALK de KINOKO vol.014のお知らせ|weekly vol. 0107
今週は、うでパスタが書く。
告知です。
「九段下パルチザン」夏休み休刊のお知らせ
2021年8月14日(土) キノコ担当回
2021年8月21日(土) うでパスタ担当回
再開は8月28日(土)のキノコさん担当回からを予定しております。
YouTubeLIVE配信「BiblioTALK de KINOKO vol.014」のお知らせ
2021年8月17日(火)20時開始で、テーマは「買い占め・転売の倫理」です。
当定期購読マガジンの読者向け限定配信となり、URLはこのnoteの末尾(有料部分の最後)に記載されています。
告知は以上です。
夏休みの課題図書については昨年お知らせした通りで、このラインナップは(二冊ですが)永遠ということになっていますので今年も引き続きお楽しみください。
職域接種だといって政府の管理が行き届かないのに乗じ、あきらかに過剰な量を確保したヴァクシンを結果としてあまらせた企業が非難されております。
「やれ、いけいけどんどんだ、もうヴァクシン確保に心配はない」というような空気を過去に発した政府が口を拭ってそれを責めるのもどうかとは思いますが、企業の振る舞いとしてはあいかわらず下品というか何をするにも基準とする倫理がないのだな、ということがよくわかります。
その一方で、「供給を受けたヴァクシンは一バイアルたりとも無駄にしない」という精神でキャンセル待ち予約を受け付け、当日土壇場での接種手配をつづける自治体職員の方のツイートが回ってきております。「いまできることをやる」という意味ではこういうときに発揮される高いモラールは誰が何と言おうとやはり日本人に顕著なものと思われますし、ワイドショーの感動ネタとして消費するのではなく、
「私たち日本国民の本質は“おもてなし”ではなくマジで追い詰められたときの団結力です!そこで今日は第三次世界大戦の開幕を宣言いたします!」
ぐらいの自信をもって深掘りしていくべきだと、これは真面目にそう考えております。
しかし一方でこの、「一バイアルたりとも無駄にしない」という張り詰めたメンタリティ、いわゆる「もったいない」のマインドにも通底するものだろうと思いますけれども、一時期はこの「もったいない」が「世界に発見された」と言ってこの国は有頂天になっておりました。しかし私はこれが「家で割り箸洗って使ってるのを見られてバツが悪いから環境問題を持ち出したような話じゃないの?」という思いを拭い去ることができず、いまだにうまく収まりがついておりません。
私自身は実際に割り箸を洗って使うような家に育っておりますが、それを世間に向かって胸を張って自慢できるようなことだと思ったことはありません。熱帯雨林が失われていることを憂慮しているのは事実ですが、「じゃあ新聞全部電子化しろや」とか「役所の紙全部やめさせろや」というようなことを言えば秒で潰されるような国が「もったいない」の精神で持続可能な発展を成し遂げるとは思えない、むしろ資本主義社会のエンジンを必要以上にぶん回し、マグネシウムに火が着いたような発展をとりあえずいま実現しなければそもそも日本経済が、私たちの生活がもうこれ以上は持続可能でないというときに、資本主義社会全体の持続可能性を考えて割り箸を洗うような、そんな余裕がこの国のどこにあるんだろうかという気がいたします。
ただしこの性は言うまでもなく日本の国民性であり、見付かってしまったからにはあとは恥じ入るか居直るかのふたつしかないというのは事実です。だったらこれはいったいどこから来たの、この貧乏性は?ということについて、私はおそらく米食文化とその歴史から来たものだと信じております。
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