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偽書と真実|2022-06-30

今日は、うでパスタが書きます。

宮崎智之さんの「平熱のまま、この世界に熱狂したい」が周囲で(僕はいまではツイッターのタイムラインをほとんど物理的な「周囲」と捉えるようにまでになってしまいました)話題になっていたので、読んでそれについて書いたところ、著者ご本人に金まで払ってお読みいただくハメになってしまってひどく恐縮しました。

僕はインターネットの現在について、皆さんほどはニヒルな感想を抱いていません。いままでにも清水節さんやいしいしんじさんといった方々にツイートを見付けてもらったときに、「僕はあなたの書いたものを大切に思っています」と気持ちをお伝えすることができたのは僕にとってとても重要な契機になりましたし、どうかご本人方にもせめて悪しからぬふれあいであったことを祈っています。
「私はあなたの作品が好きです!」というファンレター的な、一方通行の気持ちを伝えたいというのはともすればファンの独りよがりに思えますが、案外そうでもないのかなということは、自分がこうしてインターネットで文章を書くようになってからはじめて分かるようになったことです。

高校生のころに映画雑誌で読んでいた清水節さんの短評が好きだった。そんなことを先日ツイッターでつぶやいたらご本人の目にとまり、返事をいただくことができた。
映画の世界で働くことはとうの昔に諦めたが、インターネットを通して清水さんのお仕事に触れることができて嬉しい、これからも楽しみにしているとお伝えすることができたとき、僕のなかで死んだままずっと埃をかぶっていた夢が、フッと煙になって消えた。

「トラフィック。夢を弔う」(新宿メロドラマ)

さておき、その宮崎智之さんがさるコンテストに向けて票を集めるべく激賞されていた小説に「ジュリアン・バトラーの真実の生涯」(2022年2月刊行)があります。
これは戦前に生まれ、戦後から60年代・70年代にかけてスターダムにあった米文学のスターたちと親しく交わった同性愛者の小説家、ジュリアン・バトラーがその私生活におけるパートナーであったジョージ・ジョンとともに、いかにして文壇を欺いてきたかを暴露する、そのジョージ・ジョン当人による一代記です。

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