Trend is friend
「絶対に儲かるって言ったじゃないか、だからぼくは投資したのに」
周囲を気にしてか、己の愚かさを恥じてなのか、声こそ小さいものの十分に怒りを含んだ声音で言い募る男がいた。
「絶対に流行ると言うから信じていたのに」とまだ言う。
言われている側の男はいわゆる誠意を見せつつ対応しようとしているようだが、内面からにじみ出てくる蔑みと憐れみが口の端に表れてしまうのか、しきりに口元を撫でながら、相槌も適当に目を伏せつつやり過ごそうとしているように見えた。
おそらく投資に失敗したという認識でいるであろう男をじっと見つめてから、私はタピオカミルクティーを一気に飲み干し、「そんなのは投資ではない」と言いたい気持ちをグッと飲み込み、相手が気づくのを待ち、そしてこういう時のために持ち歩いている自分のnoteの宣伝のためのQRコードが印刷されたカードを渡した。男は怪訝な顔をしつつも、スマートフォンをテーブルから取り上げると徐にQRコードを読み取り、購読のサブスクリプションへと画面を進めていった。
※上記の話は創作です
というわけで、みなさんも購読していますか、Bibliotheque de KINOKOのnote。夏休みに過去の記事を読み返すもよし、夏休み企画に参加するもよし、Twitterで執筆者に直訴するもよしです。なお回答が得られるかどうかは保証いたしかねますのでご注意ください。
さて、この世に絶対に儲かるものなどありはしないというのは常識であり、そのような言葉を信じていくらかは知らないが金銭を投じてしまうというのは恥ずかしいことですよね。しかしながら、自分が下した判断に責任を持てない人間というものはいつの世、どんな場所にでもいるものです。ルービン元財務長官は、儲かる云々に限らずこの世に確実なものなんてないといっていましたし、過去多くの哲学者たちも確実性について議論を交わしてまいりました。ある予言が成就されるには、テック界の傾奇者たちがいうように、未来を自分たちの手で作るしかないのかもしれません。ただし、作ったものが想定したものとは違う、ということもまあまああることですし、いずれにしても絶対にというのは絶対にないわけです。
日本は亜熱帯になったね、などと言われても暑さが和らぐわけではなく、またそのような気候区分が意味をなさない程度には気候変動が大きく我々の日々の生活に大きな影響を及ぼしているわけですが、ただ一つ言えることは、夏は永遠ではなく、いつかは終わるということです。
夏の終りを待ち望みつつ、なんとか生き延びていきましょう。
〜余韻〜
本日はトレンドって大事ですよねという話です。トレンドというと、トレンドフォロー戦略がまず思い浮かぶと思いますが、トレンドフォロー戦略というのは株式投資に限って言えば、順張りと呼ばれるもので、上がるものはなお上がる、下がるものはなお下がる、という前提である期間トレンドが継続するという賭けをする、というものです。一方で逆張り(コントラリアン)というのも当然あり、トレンドが継続せずに近いうちに反転する、という方向に賭けるものです。この時点で既に察しのよい方はお気づきのように、トレンドフォローでもコントラリアンでも相場観は裏表なので、ようはどちらもトレンドを読むことができないと成果は得られないわけですが、もう一つ重要な、いつ、というタイミングの要素があるわけです。つまり、夏はいつか終わる、問題はそれがいつなのか、ということだ、という話です。
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