9月23日 『起床』

【サビレタウタ】


かつてそこには人が居た
今はもう昔のこと
愚痴っぽいやるせないウタはもうはやらない
後悔したくないからと言って弾くウタには
過ぎたことの想いばかり
昔馴染みが立ち寄ったら
何をウタえばいいのかも忘れた


色褪せた服を着て
手に入らないものばかり
ただただ数えるだけのウタ


いつかそこには人が居た
今はもういないのに
皮肉っぽい暗がりのウタはもうみてられない
本心だって言って口ずさむウタは
今も続く想いばかり
みない顔が立ち寄っても
何をウタってるかわからない


色褪せた思い出見て
手に入らないから
ただただ幸せ祈るウタ


【中秋の名月】


星々の煌めきさえも覆い尽くす光が雲の影に包まれていた
見えないからこそ求めること
朧月夜の趣
影間から射す光の路が広がり、彼処に居た月が美しい円をみせた
見えているけれど愛すること
月光はきっと私に向けて注いではいない
それをはっきりとその円がうつした
それでも私は愛おしかった


月は自身の美しさを知っているだろうか?


その事を伝えるために今私は詩を書いた



【いつか好転するのかな】


胸元にいれた藍色のこころはずっとそこに留まっていた
圧迫された途切れ途切れの呼吸が体を凍えさせる
零れた心を拭って
紡げない物を紡ぎ出して


背中をなぞる冷たい血ははじめから流れていた
後悔のない人生はきっと辛いと知っていた
それでも前へ


いつまでと耳元に囁く声がする
胸元のものが消えるのは?
さあ、いつまででしょうね


ポケットはまだいくつかあるし、と強がっている
どうしようもなく寂しい夜もきっとどうにかなると
求めるものなどはじめからなかった筈なのに
最初から得るのでも与えるのでもないのに
ただ、胸元にいれたまま、忘れるまで、忘れても、そこで輝く
たまに一人で取り出して眺めて懐かしもうじゃないの

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