香港・深センで考えたこと
香港と中国(深セン)に行ってきた!短い滞在だったけれど色々発見があったので書こうと思う。
旅行の動機
香港に行こうと思ったのは、3月末に開催されるアジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港」を見に行こうと思ったから。深セン(中国)の方は香港に隣接している都市なので、ついでに行ってみよう!と気軽に旅行の計画に加えた次第です。
深センはあまり聞き慣れない地名かもしれないけれど、そこは中国のシリコンバレーと呼ばれるハイテクシティーで近年注目されている都市です。
深センはハイテクシティ
深センでは殆どの支払いがスマートフォンを使った電子決済です。電車やバス、タクシーでもスマホをQRコードにかざして支払います。町中に置かれるレンタルサイクルも車体のコードを読み取って利用します。高級店から怪しい露店まで支払いは数秒で完了し、煩わしい小銭を持つことは一度もありませんでした。
電子決済が発達しているので無人コンビニや、無人カラオケなんてのもあります。決済は個人情報に結びついているので食い逃げなども出来ません。他にも、私が中国語を話せないとわかると、多くの人がスマホを取り出して翻訳してくれました。生活の隅までITが浸透していて、そこには絵に描いたような未来都市があったのです!老若男女がハイテク社会を使いこなす姿は面白く、また単純にその便利さに感動しました。
スマホで支払いをしているところ。
街中に置かれるレンタルサイクル。QRコードを読み取って乗る。
無人カラオケ。大きい電話ボックスのような仕様。
中はこんな感じ。2人用。
無人のソフトクリーム販売機の中にいるロボット。
笑うとしゃくれる。
IT社会発達の理由
このようなハイテクシティには別の側面もあり、これだけITが発達している一方でインターネットには厳しい規制があります。中国には金盾(きんじゅん)と呼ばれるインターネット情報検閲があり、LINEやfacebook、googleやyoutubeなど使えないサービスがあります。私は香港経由のsimを買っていたので、金盾の影響なしにスマホでネットを使えましたが、google mapにはそもそも中国の地図情報が少なく、地図アプリを新たにダウンロードしなければなりませんでした。またホテルでwifiを使えば当たり前のように金盾の制限がかかり、大きなデータを送ることが出来ませんでした。
中国のネット規制は一部のサービスが使えないだけではありません。タブーワードをネットに書き込んだとして、逮捕されることもあるそうです。このような規制は中国経済を守る意味があると同時に、国民を監視する行為でもあり電子決済もまたその一部です。
何に乗ってどこへ行って何を買ったか、電子決済情報から知ることができます。生活に浸透したITは、個人の生活を透視することをも可能にします。中国でIT社会が高度に発達した理由の一つに、情報をデータ化し国民の管理に利用したいという政府の思惑があることが分かります。
持っていったSIM。金盾の影響を受けない。
私たちとは違う考え方
また、こんなこともありました。電車に乗っていると、鉄道員がもの凄い剣幕で下車するように乗客に呼びかけ始めました。私はテロが起きたのではないかと怖かったのですが、周りの人に聞いても何が起きたかわからないと言われました。友人によると、中国ではこのような出来事はありふれており、大きな会社の社長が来たという理由で予告なく電車を貸し切りにしてしまうなんてこともあるそうです。下車させられた数分後には何事もなかったように全員が次の電車に乗り込みました。お上の一存で物事が動くことに慣れているよう見えました。そこには、私たちの社会に認められている個人の自由や権利がありませんでした。
そういえば街にある広告はシンプルなものが多く、過度に欲望を煽らないよう配慮しているように思われました。資本主義とは違う社会の姿も見えてきました。
深センの地下鉄。とても綺麗。
2つの価値観
深センは、わずか30年で人口が30万人から1400万人に増加するなど世界で最も早いスピードで発達した都市と言われています。どこに行っても街は新しく綺麗で建物が大きく、食べ物も美味しく人々には活気がありました。生活するだけならば殆ど不足はないと思います。
けれど…滞在中、金盾の規制や電車の出来事が目立つようになってきて、私はだんだんと息苦しさを感じ始めていました。どこかで監視されて規制されているという感覚のなかで、自分で考えたり自由に生きるというのは難しいだろうと思うようになったのです。そしてこのような規制が急速な経済成長を支えていることもわかりました。
2日間の滞在後、香港に移動した時のホッとした気持ちを覚えています。その時の私は2014年に香港で起きた雨傘革命のことを思い出していました。自由選挙の実現を求める香港市民とそれを阻む中国共産党との戦いです。その時の市民の反発を、中国から香港に降り立った私は痛いほど理解できました。
資本主義社会に生きているということ、そして社会主義国家との違いを実感したのだと思います。どちらが良いとは言えません。ただ「違う」ということを体験した旅になりました。
おまけ
写真は中国で大人気のカフェ「HEYTEA(喜茶)」。チーズレモンティーという摩訶不思議な飲み物で有名です。知らずに飲んだのですがとっても美味しい!濃厚なチーズクリームがさっぱりしたレモンティーの上に乗っている完全新感覚ドリンクとなっております。早く日本にも上陸しますように〜。
左:チーズレモンティー 右:カフェオレ+タピオカ