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呑象ブリューイング(香川)

 「こんぴらさん」こと金刀比羅宮のお膝元、香川県・琴平町で2023年6月にオープンした呑象ブリューイング。運営元はパソナグループと琴平町商工会が空き店舗対策事業を目的に設立した株式会社地方創生で、地域活性化の一環で立ち上げたブルワリーです。

 金刀比羅宮の参道からほど近い場所で、かつて陶器店だった店舗をリノベーションし、醸造設備と飲食スペースを設けたブルーパブは、地域コミュニティの起点として機能しています。

 なお、呑象ブリューイングの名称は、近隣の史跡「吞象楼」から採られたもの。吞象楼はもともと、旧高松街道の興泉寺が建てた天保年間(1831年~1845年)の建築物で、これを嘉永年間(1848年~1855年)に時の勤王家、日柳燕石が12年ほど住居として使用していた歴史を持っています。
 日柳燕石の没後(1868年)、呑象楼はしばらく放置されていましたが、燕石の遺徳に共鳴する有志の人々により、昭和29年(1954)4月に現在の場所に移築。その際、集会所として使えるよう改装されています。

 集会場機能を実装したことによって文化財としての価値を失い、県史跡の指定が解除されてしまったのは残念ではあります。しかし、この建物がかつて新時代を夢見た志士たちが語り合った場所であることを思えば、地域コミュニティのハブとして運営される現在は、本来あるべき形を取り戻したと言えるのかもしれません。

 先のビビビツアーVol.2では、株式会社地方創生の近江淳さんにアテンドいただき、琴平町のリアルな近況に触れることができました。
 クラフトビール起点の街作りの貴重なサンプルでもある呑象ブリューイングと琴平町。「ビビビ。」としても引き続き、このエリアの発展を見守りたいと思います。

〈Text By Satoshi Tomokiyo〉

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