ドラマ教育を始めたきっかけ
び場では、「勇気をもって道を切り開く力」として、①問いやアイデアを作る力、②一歩踏み出す力、③周りと対話して協同する力、④結果を振り返り学びを得る力の4つの力を重視しています。知識の詰込み型ではなく、自分でアイデアを考え、勇気をもって実践し、協力し、振り返るという活動の量と質が大事になってきます。
ただし、当初、この力を育むために考えていた活動はどちらかというと言語活動に依存していましたが、半年び場で活動していて、言語活動によらず、これらの力を伸ばすいい手法がないか?と考え色々なやり方を検討していました。この4つの力を言語能力にばらつきがある低学年から満遍なく伸ばせる活動は限られています。その数少ない一つがドラマ教育だと考えています。
1.ドラマ教育との出会い
1年目の夏休み子どもたちが映画を作りたいとうアイデアが出たので、いろいろとファシリテーションをして映画作りをサポートしました。そんななか、①問いやアイデアを作る力、②一歩踏み出す力、③周りと対話して協同する力、④結果を振り返り学びを得る力が満遍なく発揮されると手ごたえを感じました。
そして演劇×教育という切り口で調べてドラマ教育と出会いました。特に即興劇(インプロ)に興味を持ちました。自分で考えたものを即座に行動(演技)に移し、チームでアンサンブルにし、チームでプロセスを振り返って評価するといったドラマ教育はフィット感が高そうだと感じました。
そして、たまたま外国人でドラマ教育で専門的な知見を持った方を見つけ体験ワークショップを依頼し体験したところ、び場のミッションとのフィット感はとても高く子どもたちも楽しくできそうだという手ごたえを得て、導入を決断しました。
2.ドラマ教育とは?
そもそもドラマとはギリシャ語の「dran」、英語の「do」が語源であり「行為する」という意味です。つまり一言でいうと、Learning by doing、実践による学びです。
これから述べるドラマ教育とは、従来よくある台本を覚えて舞台で上演し、観客に見せる活動ではありません。子どもたちのごっこ遊びに教育の目的を実装することで、ドラマすること自体に何らかの学びの機会があることを念頭においた過程重視の活動を行う教育となります。
3.ドラマ教育におけるドラマの特徴
ドラマに類似した活動と比較しながらドラマ教育の特徴をまとめてみます。
①セラピー目的ではない
ドラマ教育のドラマでは教育目的があります。心理療法などでロールプレイングを用いた活動もありますが、ドラマ教育ではロールプレイングはあくまで目的を達成するための手法の1つという位置づけになります。
②演劇とは異なる活動形態
ドラマ教育では前述の通り、最終目的は上演することではありません。あくまで教育的目標の達成です。
③ごっこ遊びとの類似点・相違点
子どもたちが自ら関わり合い、自然に選択するという特徴はごっこ遊びと共通していますが、相違点はファシリテーターが存在し、教育目標と決められた時間の中で行われる構造化された学習活動となります。
またお互いに見せ合うことで評価と振り返りを伴う活動となります。