ペディキュアと中学生
中学生の次男は、わたしが装うのを嫌う。
奇抜な服は持っていないけれど、少し洒落た服を着るだけで
「その格好で出歩くのか」とか
「学校へは着てこないでくれ」とか煩い。
しかしそんなことは序の口で、彼が憎んでいると言っていいほど嫌うのはマニキュアやジェルネイル。
自分で簡単な道具を持っているのでサロンに行くわけでなく、自前で楽しんでいるのだがから大してお金のかからない娯楽なのだが、
「魔女の爪はやめてくれ」とか
「学校へ来るときは絶対に剥がしてからにして」とか小うるさい。
最近では、夏でサンダルも履くので(シールの)ペディキュアをしたのだが、それすらも恥ずかしいという。
他人の足元なんて誰も見ないのに。
大不評だった魔女ネイル。
まあ確かに、PTAの集まりや保護者会で母親たちの手元を観察するに、きちんとネイルしている人は少数派だ。ほとんどの人がわたしよりずっと若いのに、勿体無いな、と思う。
長男と次男の間はひと回り離れている。つまり次男の同級生の親たちよりわたしはひと回り上なのだ。だからといって地味に年寄りくさい格好をする気は全くないのだが、次男に言わせると「年相応」にして欲しいのだそうだ。ふざけている。母親をなんだと思っているのか。
わたしはわたしのやりたいように、化粧するし、ネイルもするし、服も選ぶ。わたしに心地よいように。
もう人生の折り返し地点を過ぎて、持病もいくつか抱えているので、出来るだけ悔いの無いよう毎日を過ごしたい。自分で自分の爪をキレイにすることで、自分の機嫌を取っていられるのだから、割とお手軽なヤツではなかろうか。
以前、黒か紺の仕事の服しか持っていなかった頃、長男は厳しく指導して中学受験を一緒にがんばった。合格したけど必ずしも彼が幸せな中学校生活を送ったわけではない。最終的には内部進学せずに行きたい高校を選んで受験した。そこでは友達にも恵まれて楽しかったと言っている。
そして今、公立中学に進んだ次男の成績の上下で一喜一憂したりしない。授業で取りこぼしたと思われるところは教えているけれど、厨二病なのもゲーム時間が長いことも基本的には自由にさせている。わたしが口を出すのは友人への言葉遣いや態度、部活を真剣にやること、行儀作法など。
次男はのんびり伸び伸びと中学校生活を楽しんでいる。
この11年の間に、わたしは試行錯誤の末に自分の着たい服を選ぶようになった。ネイルも同じこと。
誰の目も気にしない、とまではいかないけれど「こうあるべき」からはだいぶ自由になった。
わたしが自分のためにネイルするようになったことは、次男の幸せにつながっているのだけど、14歳にはわからないだろうな。