入院中の風呂事情(リアルな)
「風呂は命の洗濯よ!」
という台詞で反応してくれる人は同世代。もしくは多少のオタクだろう。うちの次男(14歳)がそう。
入院中というのはいろんなことがままならないものだけれど、風呂もそのひとつだろう。病状や薬に制限されて入浴できない。好きな時間に入れない。浴室を使える回数が少ない。浴室があまり綺麗で無くて気が進まないとか。人によっては全身介護が必要で、お風呂は月に1〜2回という場合もある。
それを補うために、週に1〜2度清拭の順番が回ってくる。ホカホカのおしぼりをたくさん使って体を拭いてもらう、あれ。
それでわたしの場合、一般病棟に移って点滴のルートを外した後は、毎日風呂に入っていた。14日間の入院中に9回風呂に入った。
レンタルパジャマの契約内容に、バスタオルとフェイスタオルも含まれていて毎日着替えることができた。毎食後に血糖値を下げるための運動療法でウォーキングをしていたから、それなりに汗ばんでもいたので着替えられるのはありがたかった。
そして家族に洗濯の苦労をかけずに済んだことはとても大きなことだったと思う。お互いに気も体力も使わずに済む。迷っている人がいたら、ぜひレンタルをオススメする。
パジャマとバスタオル、毎日洗濯したものを使えたので、お風呂ライフは快適だった。着替えたパジャマと濡れたバスタオルは畳んで袋に入れておけば回収してもらえる。
風呂の使用は10時〜12 時 13〜17時で、一回の使用時間は30分。朝のうちに担当看護師さんに頼んで予約を入れてもらう。
計算すると1日に14人しか風呂に入れない計算だから、病棟の皆さんが入りたいと思っていたら2日に一回程度しか順番が回ってこなかったろう。でも浴室は空いてることが多かった。
カルテに入浴の記録なども記載されているだろうから、そのうち日勤の看護師さんが挨拶に来ると「今日のお風呂何時にしますか?」と聞いてくれるようになった。
わたしは昼食後にウォーキングをしてひと汗かいた後さっぱりしたくて毎日14時〜を希望していたが、希望が通らなかったのは一回だけで、14:30〜になったことがあるだけ。
たしかに、病院の他のスペースに比べて風呂はそんなにキレイではなかった。脱衣所やシャワースペースはゴミもなく清潔感があった。でも浴槽は湯垢だらけ。それでもこれまで入院した中では一番キレイだったけれど。
わたしはお腹に縫合があるわけでもないし、手足の動きを制限されてるわけでもなかったので、初日に浴槽をゴシゴシ洗った。汗はシャワーで流した。
2日目からはお湯を溜めながら、シャワーでシャンプーしボディソープで体を流す。ここまでで約15分。そして風呂に肩まで浸かって5分。立ち上がってお湯を抜きながらバスタオルで体を拭き、新しいパジャマに袖を通す。これに5分。最後に髪の毛を拾ってゴミ箱に捨て、浴槽をシャワーでサッと洗って、荷物を持って外に出る。ぴったり30分。
帰りにナースセンターに寄ってドライヤーを借りて、部屋でゆっくり髪を乾かし顔の保湿をした。
そして売店へ出かけていき、冷たい水とお茶とコーヒー(無糖)を買ってきて喉を潤す。
食事は部屋に運ばれてくるから作らなくていい、食器を洗わなくていい、買い物も冷蔵庫の中身も気にしなくていい。部屋の掃除は毎日してもらえる。携帯電話も特に咎められることはなく、通話は決められた場所でというだけ。食事の内容が悲しくなるほど簡素なことを除けば、正直言って入院生活は快適だった。
主婦にとっては、特に。
わたしは帰ってからこれらの身の回りのこと全部を自分でやるのかと思うと、ゲンナリした。
まあともかく、何もやることのない病室に閉じこもる生活で、風呂はアクセントだ。風呂の中では鼻歌も出るくらいで、
「命の洗濯」を毎日していた。