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凍結乾燥とは一体何なのでしょうか?(後編)

ワールドバリスタチャンピオンシップ2022にて優勝された、オーストラリアのアンソニーダグラス氏に競技でも用いられた技術『凍結乾燥牛乳』について話を伺いました。前編は未読の方はこちらから!

まずは無料プレビューから!

どういう味がするのでしょうか?
凍結蒸留された牛乳と同じように、凍結乾燥された牛乳には、元の牛乳と同じ成分が含まれていますが、より濃縮されています。このため、元の牛乳よりも濃厚で甘くなります。 「味は甘く、質感はとてもみずみずしいです」とアンソニー氏は言っています。
BH創設者のマット・パージャー氏によると「ハーフアンドハーフのような感じで、味は粉ミルクとは全く違う」とのことです。
カプチーノを濃縮牛乳で作る場合は、アンソニー氏によると通常の牛乳とほとんど同じような扱いになるそうです。ですが、「タンパク質と脂肪の濃度が高いので、フォームをより保ちやすい。」とのことでした。

凍結乾燥と凍結蒸留の違いは何でしょうか?
凍結蒸留においては、乳固形分は牛乳が凍る温度を下げるという原理に基づいています。 0°C に近づくと、乳固形分を含む牛乳は液体になり、凍ったままの大きい水の塊だけが残ります。この氷をろ過して、より濃縮された牛乳を残すことができます。ちなみに、この原理はアイスキャンディーの最後の一口がほぼ氷である理由でもあります。
分別凍結または低温濃縮などとも呼ばれる凍結蒸留は、淡水化やオレンジジュースの濃縮液の製造など、さまざまな産業においても使用されています。熱に弱い化合物を保持するため、牛乳などの食品から水分を除去するのにも最適です。

フリーズドライの主な利点によって、アンソニー氏は出来上がったコーヒーに使われている牛乳の乳固形分の量を完全にコントロールできるようになりました。 「牛乳を完全に粉状にすることで、毎回同じ濃度にできるため、設定したレシピどおり組み合わせて、都度同じ結果を得ることができました」とアンソニー氏は説明します。

粉末から元に戻された牛乳は濃厚ではありますが、非常に濃厚な牛乳を作る用途からちょっと牛乳を濃くするためのブーストとしての用途まで、バリスタは粉乳を効果的に使用することで好きな濃度を選べるようになります。「間違いなくこの牛乳は毎日飲みたいと思えるものです」とアンソニー氏は言います。
一方で凍結蒸留はやや不安定でコントロールが難しく、高濃度の牛乳を作るには凍結と解凍を数回繰り返す必要があります。さらに、元の牛乳に含まれるラクトースの一部が氷に残ってしまうため、処理後は牛乳の成分の相対的比率が変化します。

カフェで凍結乾燥牛乳が使われるようになりますか?
2017 年のベン・プット氏の競技の後、凍結蒸留牛乳は特別なオプションメニューとして世界中のカフェに登場し始めました。凍結蒸留の利点の 1 つは、冷凍庫があれば誰でも作れることです。中国では市販の凍結蒸留牛乳を購入することすらできます。このタイプの牛乳は、同様の方法で作られたビールにちなんで、アイスボックミルクと呼ばれることもあります。

小さいサイズの凍結乾燥機は業務用のキッチンで食品を保存したりフレーバーを強めたりするために使用されています。

一方、凍結乾燥の牛乳を作るためには専用の機械が必要です。家庭用に設計された小型のフリーズドライヤーを購入することは可能ですが、こういった機械は安くはありません。牛乳以外にもフリーズドライヤーの他の用途を考えることの出来るシェフがいるカフェであれば、思い切って購入出来るかもしれません。ですが一般的には凍結乾燥牛乳は、ほとんどのカフェでは行えないでしょう。

バリスタハッスルブログ
凍結乾燥とは一体何なのでしょうか? 終

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