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シナモンは愛の架け橋

アラブにいるそれはそれは大きな鳥は人が立ち入れない高い崖の上にシナモンの枝で巣を作るのだとか。そのシナモンを取るためには家畜の肉を大きく切り、鳥に巣まで持って行かせ、その肉の重さで巣を壊し貴重なシナモンを手に入れるのだとか。

はたまた翼がついた大蛇がうようよいる深い谷底にシナモンはあるので命がけで手に入れているのだとか。

シナモンの神秘と価値を高めるべくアラブの商人によって広められた噂は中世ヨーロッパの時代まで多くの人々に信じられていた。

シナモンと言われているスパイスには大きく二つの種類がある一つはベトナム、中国、インドネシアなどを主な生産地とする「カシアシナモン」と呼ばれるシナモン。もう一つはスリランカを原産とする上品な香りの「セイロンシナモン」である。カシアは辛みが強くスパイシーなので料理に広く使われている。セイロンシナモンは甘く華やかな香りがするのでお菓子やドリンクなどに広く使われていることが多い。

リラックス効果や集中力を高める効能があると言われ、神秘的な香りは多くの人々を魅了し時には愛の架け橋ともなったと言われている。その昔、シヴァ女王がソロモン王にシナモンを愛の象徴として渡し、その香りで魅了した話は有名である。

樹齢2年くらいのシナモンの木を男たちは切り倒し、その幹の皮を女性や年寄りたちが剥き、銅やステンレスのナイフで薄く削いでいく、それを葉巻のように丁寧に手で巻いていくのである。1メートルくらいになった葉巻型のシナモンを直射日光の当たらない場所で乾燥させて作られていく。シナモンの葉からは精油が作られ石鹸やコスメ、歯磨き粉などに使われたりアイスクリームの香り付けなどにも使われる。残ったシナモンの幹は薪として使われる。今も何千年前も同じ方法で作られている。

砂糖の甘さとカカオの苦みを繋げてくれるのもシナモンなら、男と女の愛を繋げてくれるのもシナモンである。オーストリアのザルツブルグではクリスマスの時期にシナモンスティックでブーケのようなものを作り、愛の形として異性に渡すのだとか。

時には富や権力の象徴として、時には愛の架け橋として。

南国生まれの香り高いスティックはもしかしたら魔法の杖なのかもしれない。

これからの季節、気になるあの人のホットチョコレートにシナモンを多めにふりかけてみたらいかがでしょう。

きっと心も体も温まりますよ。

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