言葉の道
人類が初めて作った人口の調味料は「お酢」なのだとか。お酢が作られたことによって様々 な料理が生き生きとするようになったであろうし、食材を長く保存できるようになったのではな いだろうか。インドでのお酢の歴史を調べると歴史は長く、3,000年ほど昔にさかのぼるのだと か。エジプトで誕生したと言われるお酢は早い段階でインドにも伝わり、料理などに使われるよ うになったのであろう。しかし2,500年ほど後にインドにポルトガルやイギリス、オランダの人々 がきた時、彼らが肉や魚を保存するために酢を探した時、酢が見当たらなかったそうだ。酢が見 当たらなかったので南インドの人々が飲んでいた「トディ」と言うココナッツから作られている酒 からヴィネガーを作ったそうだ。ポルトガルの人々が作ったココナッツビネガーに彼らがアメリ カから持ってきた唐辛子を加えインドにあるスパイスを加えて豚肉を煮込んだものがのちに 「ポークヴィンダルー 」と呼ばれるようになり、今ではインドを代表するカレーの一つになっ た。
今ではインドでは日常的に酢が使われている。その代表例が「アチャール」である。色々なこ とが気になるのでアチャールの語源を調べてみると他の様々なインドの言葉と違ってサンスク リット語由来ではないことがわかった。3,000年前にエジプトからインドに伝わった「酢」は豊 富なフルーツや食材やヒンズー教やイスラム教の影響もあり酒を作ってから酢を作ることがもしか したら良しとされなかったのではないだろうか。その影響もありインドでお酢はあまり作られな くなってしまい、ポルトガルの人々がインドに辿り着いた時にはお酢はインドで気軽に手に入れ ることができなかったのかもしれない。ポルトガルの人々が改めてインドにお酢の作り方、使い 方を伝えたことによってラテン語由来のアツェートが変化して酢を使った料理をアチャールと言 うようになったのではないだろうか。ポルトガルの人々がインド以外にもインドネシアや南米、 中米にも行き来したことでその地域にも酢を使った料理をアチャールと呼んでいたりするそうで ある。
もしかしたら日本にあるアチャラ漬や南蛮漬けもラテン語由来ポルトガル発信、インド経由の
料理だとしたらちょっとしたロマンがあって面白い。
普段呼ばれている料理の名前の歴史を辿っていくことで世界が繋がっていることが認識できて
面白いし、意外な発見や楽しみがある。
シルクロードやスパイスロードが様々なものをつなげていったように見えない言語の道もきっ
とたくさんあるのであろう。