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はじめての親子旅


尾道に来るのは何度目になるのであろう。もう数え切れないほど来ている。

穏やかな空気と個性的でユニークな人々が迎えてくれる尾道はいつも新鮮で楽しい。

私もそんな環境の一部になりたいと関わり始めて幾年か経ち、今回の旅は娘と一緒に来ることにした。始めての父娘二人旅である。そんなこともあり尾道の向島にて「親子カレー教室」を開催した。子どもたちにスパイスの香りを嗅いでもらい、美味しそう!爽やか!などの感想とともに臭い!などの感想も入り混じりながらスパイスの香りの説明と「なぜスパイスは香るのか?」の説明をし、「スパイスは香りの絵の具なのでそれぞれの好きなようにブレンドしてそれぞれの色(香り)を作ってくれ」と説明した。しだいと興味なさそうにしていた子どもたちの目も変わっていき、だんだんと夢中になっていくのがよくわかった。
作ったのは夏野菜がたっぷり入ったキーマカレーである。まずい!などと言われるのではないかと不安だったが、みんながみんな自分たちで作ったカレーに声を揃えて美味しいと叫びながら感想を言ってくれた。もりもりとおかわりをする様が気持ちよく、二人で新幹線に乗って尾道に来た甲斐があった。

父娘の二人旅で不安もあったが、尾道への道中で娘が一枚の紙を取り出し見せてくれた。それには精一杯の大きなひらがなでこう書いてあった。
「すぱいすはいれません れずんといちじくと なっつとぶたにくたまねぎようぐると とまと たあめりく   かれいのつくりかた」

嬉しさが不安を消し去り、わくわくと楽しみと希望が溢れてきた。

私の不安なんかちっぽけなものだと言わんばかりに娘はたくさんの子どもたちと一緒に遊び、走り回り、新しい体験を当たり前の日常のように一つ一つを目一杯楽しんでいた。

目を輝かせるものに出会えるのは素敵なことである。スパイスやカレーつくりに出会い目を輝かせる大人をたまに見かけることがある。そんな素敵な出来事の一つにスパイスや私が関われることができるのであればとても嬉しいと思った。

きっときっかけは世界中に溢れているのであろう。それに対してどう向き合うかでその時の楽しさや幸せ感や色々なそんなことが違ってくるのであろうと、大きな声を出しながら新しくできた友だちがいる方に走っていく娘の後ろ姿を見ながら思った。

そういえばそろそろ「子どもの日」である。インドの子どもの日は11月14日。それは子どもが好きだったとして知られるインドの初代首相パンディット・ジャワハルラル・ネルーの誕生日でもある。彼はタンドリーチキンがとても好きだったそうだ。

今度の親子カレー教室のレシピはタンドリーチキンにしようかな。

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