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スパイスカレーユニバース

 日本での学生時代とインドでの学生時代。言語、人、場所など違うことはたくさんあったが、 印象的だったのが試験の解答だった。比較的日本では問題の解答は短く簡潔に覚えているものを 書くことが多かった。インドでは試験を受けると解答用紙が配られるが、それはただの紙に書き やすいように線が引いてあるだけで、解答する空欄などはなく、自分で問題の番号とその解答を 好きなように書くことが多かった。日本からインドに転校した当初は言葉もほぼわからず、試験 といっても数学がようやくできるくらいであった。英語や科学、物理、コンピューター、会計、 経済などなど授業は色々とあったが、どれも何を言っているかがあまりわからず、とりあえず教科 書を一生懸命に記憶することから始めたような気がする。当然試験では結果を出すことができ ず、インドに転校してから約1年間は授業後の教室に残り各教科の担当の先生が2時間も3時間も 補修をしてくれたものである。

覚えていても、記憶していてもその言葉や文章は書けるかもしれないが、自分の言葉で説明することは難しい。覚えているのと知っているのでは知識の使い方が違うのだと身をもって体験した。
知ること、理解することを大事に各教科を勉強するようになってからは試験で配られるただの
紙に自分の言葉で何行も何ページも書くことができるようになった。

スパイスも同じである。そして「なぜ」「どうして」がわかるとスパイスとスパイスの組み合わ せ、その活かし方、食材との組み合わせ方がわかってくる。そしてそれらが足し算でも掛け算でも なく大きく輪のように広がっていくのがわかる。レシピを覚えるのではなく、その組み立て方、 制作者の意図がわかるようになるとそれを如何様にもアレンジができるようになる。インドだけ ではなく世界中のスパイスの組み合わせや使い方を知ることによってその知識と活かし方がまた 交わり広がりを見せてくれる。 

知っていることが増えると自由にレシピを作ることができるようになる。

そしてその広がり方は宇宙のようにどんどんと広がっていく。

スパイスとスパイスの組み合わせ、食材との組み合わせ、作る手順、火の入れ方、ハーブとの 組み合わせ。それぞれが組み合わさると掛け算では追いつかないようなレシピが次々と浮かんで くる。

スパイスの香り、特徴、活かし方を知る。レシピの組み立て方を理解する。  覚えるのではなく知ったり、理解するとスパイスの世界は無限に広がっていく。  まさに我々のユニバースのように。
私のスパイスユニバースはたくさんのことを知ることによってどんどんとどんどんと膨らんでい る。

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