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妄想インド時空旅行

見渡す限りの広々とした大地。農道のようなものを2人の男が歩いていた。1人はかつてないほ どに自国の領土を広げたアショカ王。そしてもう1人が仏教の生みの親、ブッダである。アショカ王はブッダと出会ったことで彼の教えを広めることを大切にしていた。そして様々な助言を実行させていった。灼熱の国インド、厳しい日差しの下農業に勤しむ人々の姿を見たブッダはアショカ 王に農道に木を植え日陰を作ったらどうかと助言した。植えるのなら実がなる木が良いとも助言 し、植えたのがマンゴーの木だとも言われている。暑い夏に潤いと涼しさを与えてくれるマン ゴー。青い実のうちに摘果されたマンゴーは乾燥されパウダー状にして「アムチュール」という酸 味の効いたスパイスになった。そしてアムチュールの酸味とコリアンダーやミントの爽やかさが出 会ってインドの屋台料理では欠かせないスパイスミックス「チャートマサラ」が出来上がった。

ブッダの助言がチャートマサラを作ったと妄想してみたら面白くなってくる。

南インドに伝わるチキンサローナという料理がある。ココナッツとスパイスをベースとしたも のに様々な夏野菜と鶏肉を加えレモンと一緒に煮込む。かつてケララのスパイスを求め、貿易を 行っていたアラブの商人がケララの人にリクエストして作ってもらったのが現在も残っているの だそうだ。1世紀ごろのギリシア人、ヒッパロスが夏は南西風、冬は北東風に吹く季節風を発見 しローマ、紅海、アフリカを結ぶスパイス貿易は飛躍的に発展したと言われている。フェネキア 人やインド人はそれよりも10世紀くらい前からその風のことを知っていて利用していたとも言 われている。ただヒッパロスが季節風を発見して交易、貿易が盛んになりそこからあの美味しい 「チキンサローナ」が生まれたとしたら、と妄想してみるとまたまた面白くなってくる。

九州生まれの男が間違えてポルトガル船に乗り込み、辿り着いた先がインドネシア。彼が出会っ たのはのちに日本にもやってきたフランシスコ・ザビエル。九州の男はザビエルとともにインド のゴアを訪れインド料理を食べたらしい。ポルトガルからインドに伝わった酢や唐辛子の使い 方。揚げ物料理についても学んだかもしれない。日本にも残る南蛮漬けがそこから誕生していた らと思うと面白くなる。

南インドで栄えたチョーラ王朝、そして貿易を盛んに行っていたチェティナードの人々。沖縄 とも盛んに交易していてピッパリと呼ばれ当時とても貴重だった長胡椒を伝え、現在でもヒハツや ヒバーチとして呼ばれる沖縄の胡椒として親しまれているとしたらとても面白い。

時代と場所とそれに関わった人々を勝手に妄想とスパイスの力で繋げていくと、本当のような 嘘のようなもしかしたら本当の話がたくさん生まれてくる。

ストーリーがあるとよりカレーは美味しくなる。
物語や妄想はカレー作りの大事なスパイスだ。

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