
ムクナ豆・強し
2、3年前から毎月全国各地の農家にその時取れる様々な野菜などを一箱に詰めて送っていただき、その中身を見てどんなレシピをスパイスと掛け合わせて作っていくか考え調理していく実践型料理教室と呼んでいるが、その場のインスピレーションと参加者の希望と今までの経験や知識を組み合わせていろいろな料理を作っていく。今月は広島県の尾道は向島から大家族商店という名で活躍しているヤスさんから彼が栽培しているものを中心に向島の食材を集めていただき一箱に詰めて送っていただいた。
菊芋やサツマイモの芋類、でき始めたみかんやジャバラなどの柑橘とともに葉物野菜がたくさん入っていた。その中にビニール袋が入ったたくさんの大きな豆があった。その豆の名前は「ムクナ豆」。段ボールに入れた野菜たちとともに段ボールの切れ端に野菜の種類や芋の種類の名前が書かれていた。ムクナ豆のことだけ簡単に説明が書かれていた。
「ムクナ豆・強し」
少し調べてみると使う前48時間は水につけて戻しておかないと使えないということで半ば諦めていたが、参加者の方のお店ではムクナ豆を煎ってから粉状にして使っていると聞いてそれならば使えるかもしれないとムクナ豆を煎って粉状にすることにした。どことなく香る大豆のような香りが部屋中をワクワク感に包み込んだ。
ムクナ豆はインドからやってきたらしく江戸時代には日本でも多く栽培されていたと言われている。弥生時代には日本に伝わったと言われている大豆が1ヘクタール1.4トンとれるのに対しムクナ豆は1ヘクタール当たり1トンから5トンとれると言われた収穫なことから八升とれる豆。ハッショウ豆とも言われている。他の植物への阻害的な作用や促進的な何かの作用を放つアレロパシー効果を持っていると言われ、それが雑草防除や病害虫防除にもなると言われている。
ただしトウモロコシやサトウキビなどのイネ科の植物へは生産促進効果があり、繁殖旺盛、窒素を多く土に入れてくれることから自然的な農業への期待が持たれている。
ムクナ豆には約5%のL・ドーパはが含まれておりパーキンソン病の特効薬やリューマチ、喘息薬、解熱剤、強壮剤、催淫剤としても用いられているそうである。
東南アジアでは発酵させて食べられていたり、インドやアフリカ東部では茹でて食べられることが多い。日本では餅やキントンにしていたり中国では肉と一緒に食べることが多いのだとか。
温暖な地域を好むこともあり、関東北部より北では栽培は難しいが段々と温暖化している日本では収穫量が多く天然の除草剤、虫防除にもなるし、コンパニオンプランツとして他のものの栽培を手助けしてくれるムクナ豆は今後様々なところで栽培されていくのではないだろうか。
そして私の1つの夢でもある豆の粉を使ったカレールゥ作りプロジェクトの大きな助けになるのではないかと思っている。豆を育てて土をよりよくして美味しい野菜を作り、副産物の豆で美味しいカレールゥを作る。ムクナ豆もそのプロジェクトの仲間入りだ。