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無花果

 ヨルダン渓谷の遺跡から炭化された無花果(イチジク)の実が発見されたそうで、遥か昔、 新石器時代から無花果の栽培が行われていたのではないだろうかと言われている。中東、アラビ ア半島からインド北部が原産地とされており、日本には16世紀ごろに伝わったのではないだろうかと言われている。かつてアダムとイブがエデンの園で食べた禁断の果実は無花果ではないかと言われており、禁断の果実を食べた後に自分たちが裸であることに気づきイチジクの葉で腰ミノを作り身につけたのだとか。

 インドでもイチジクは聖なる木とされドラヴィダ族の人々は豊穣を生む力を持っていると信じて いる。インド全土でイチジクはヴィシュヌ神とシヴァ神が宿っていると信じており、2人の神の組 み合わせは豊穣を生むと言われている。かつてインド菩提樹の木の下で悟りを開いと言われるブッダ。インド菩提樹もイチジクの一種である。

  昔は砂糖の代わりにイチジクの甘みが使われたとも言われており、そしてイチジクにはカリウ ム、鉄、亜鉛といったミネラルと食物繊維、特にペクチンが多く含まれているそうである。そして イチジクにはタンパク質分解酵素であるフィシンが多く含まれておりお肉を柔らかくしてくれる作 用や消化を助けてくれる効能があると言われている。

 ワイルドメロンを乾燥させてパウダーにして作るカチョリパウダーはインド北部でヤギの肉など 肉を柔らかくさるためによく使われるが、遥か昔からインド北部で自生していたり栽培されていたイチジクもお肉を柔らかくするために調理によく使われていたのではないだろうか。そういえ ばムンバイで出会ったアチャール女王と呼ばれていたパルシーの女性もイチジクのアチャールを作るのが得意と言っていて、ペルシャ、トルコ、ギリシャ、北インドでよくイチジクが使われているのときっと関係しているのであろう。

 16世紀ごろにポルトガルの人たちが長崎にイチジクを伝えたとも言われており、彼らが拠点 としていたインドでイチジクに出会い、船上で保存するために酢や酒に漬けておいた肉などをイチジクと一緒に煮込んだとしたら肉は美味しく柔らかくなり、甘みが程よく加わり彼らが持って いた唐辛子を入れたら、、、美味しいポークヴィンダルゥの出来上がりである。

 この夏の始まりくらいに広島県の尾道市にあるしまなみ海道の最初の島「向島」に新しいスパ イスの拠点を作った。向島ではそこいら中に「日本イチジク」と呼ばれているイチジクが栽培さ れている。尾道名産の「酢」そしてイチジクと美味しいお肉。我々が持っているスパイスを組み 合わせて作る特別な「無花果ポークカレー」の完成である。

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