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「季節を楽しむスパイスの会」

毎月開催している「季節を楽しむスパイスの会」というものがある。鎌倉は極楽寺のアナン邸にて第一金曜日に開催している。約7、8年前からこの会は始まっているが、不思議なことに一回参加した人が次回も参加してくれるので、参加者を募集することが滅多にない。同じ顔ぶれで毎回開催することかれこれ5年以上。妙な一体感も生まれ「季節」だけではなくテーマを明確に持って毎回の料理教室に臨むようになった。個性豊かな参加者は同じメンバーなのでスパイス料理のレベルもとても高く、それぞれが独立してお店を開けるほどの腕前だと思っている。

 前回は春節の時期ということもあり「インド中華」がテーマになった。世界中に広がる中国の人々。移り住んで行った場所で独自の文化を築いていくわけだが、インドでもそれは同じである。1,700年代に移り住んだと言われているインドに住む中国の人々。インドの調理法とスパイス使いと組み合わさりインディアンチャイニーズという新しい料理のジャンルが誕生した。「季節を楽しむスパイス会」ではそのインディアンチャイニーズを独自のアレンジで作る料理教室にした。料理教室というよりもはや料理クラブ、スパイス料理同好会のようなものだ。世間一般に広まっているインド中華は大体がチリペッパー、砂糖そしてケチャップが入っていることが多い。確かに美味しいがどれも同じような味わいになってしまうのが残念に思っていたので、この会ではインドのスパイス使いと中華料理を融合させることにしてみた。チャレンジングな料理教室であったがベテランの参加者たちの協力もありちゃんとインド料理と中華料理が美味しく融合したフュージョン料理が出来上がった。

 1700年代に中国から移住してきた人々が定住して中華街を作り、そしてそれがインド料理とフュージョンしてインディアンチャイニーズというジャンルが出来上がるのが1800年代後半。カレーという料理が日本に伝わって約170年。インドカレーやインド料理が伝わって約100年。現在「スパイスカレー」という名の新しいジャンルの日本初インド料理が誕生して広まっている。料理が伝わって定着して新しい形として変化していくのは100年という歳月が流れているのかと思うと面白い。我々が毎月挑戦している様々なジャンルのスパイス料理はもしかしたら100年したらどこかで定番の料理になっているかもしれない。

お互いの料理、歴史、文化、考えへのリスペクトがあってこそのフュージョン料理。そしてその橋をかける役割をスパイスが担っていると思う。

来月は何を作ろう。

「季節を楽しむスパイスの会」は「世界を楽しむスパイスの会」

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