人の魅力とスパイスの役割
愛知県に行くたびに寄り道をして醸造文化をみてみたいと思う。味醂、醤油、酒などを作っているところを周り愛知県の発酵調味料とスパイスを組み合わせてカレーうどんのレシピを作ってみたい。使う麺はもちろんきしめんである。
食や景色、風習などによってその土地の魅力を伝えることは多い。お土産や名産品となりその土地の代名詞となって様々な地に飛び立ち、まだ訪れたことがない土地を知ってもらうことができる。その土地についたらその土地のお土産を買って帰るのが習わしでもあるし、それが普通でもある。
流通も発達して、様々なものがより動きやすく伝わりやすくなってきた。人が動かなくてもメールやインターネットを使ってコミュニケーションが取れるようにもなった。
しかしものや土地の魅力というものはお土産や画像を通してではなく人を通して伝えた方がより伝わりやすく、感動も大きいような気がする。
ここ数年で様々な地域や店、人のオリジナルのスパイスミックスを作らせてもらう機会が増えた。どれもそれに関わっている人たちの話を聞き、その土地や店の魅力をより引き出せるようにブレンドを考えて作るように励んでいる。生まれたスパイスミックスはやがて私の手を離れ様々な土地に旅立っていく。旅立った先ですぐに愛されるもの、ゆっくりと育てられるもの、見放されるものと様々であるが、そこに付き添ってくれる人。そのスパイスミックスを使いこなせてくれる人、使い方を伝えてくれる人、スパイスミックスをツールとして活用してくれる人がいるとそれぞれのスパイスミックスはより力を発揮してその土地、その人、店の魅力をたくさんの方法で伝えてくれるようになる。そしてスパイスミックスを通してその人が伝えたいこと、成し遂げたいこと、やりたいことが伝わったり、実現したりしてくる。
そして今まで作ってきたスパイスミックスの生い立ちを眺めてみるとそれを愛し、使いこなせる「人」がいてこそスパイスミックスはその輝きをより一層増してくれるのだと思う。
ものやことを伝えることは現在ではとても便利になり、時代の影響もあり人や物が動かなくても土地やもの、ことの魅力は伝わるようになった。情報が動きものが動かなくなった。ものが動き人が動かなくてもよくなった。便利にはなったがそのものやことや情報の重みが軽くなってしまったように思う。人を運ぶよりものを運んだ方が安い。ものを運ぶより情報を運ぶ方が安い。だんだんとそれぞれのコストが下がる連れて思いは軽くなっていく。
スパイスにしろ、場所にしろやはりそれぞれに人がいてこそ伝わる魅力というものがあると思う。
人が主役。スパイスは名脇役。
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