私のスワラジ運動
綿産業・コットンインダストリーの発祥の地はインドらしい、インドには数多くの綿製品が存在するし、地域ごとでその織り方、紡ぎ方は違っていてとても面白い。
インドの綿を手で紡ぎそして手で織って作られた生地はカディと呼ばれ、その肌触り、使えば使うほど馴染む感じが多くの人に長年愛されている。カディとはもともとサンスクリット語で「手づくり」を意味し手で作られたものはサンダルや石鹸などもカディと呼ばれている。
この綿産業に目をつけたのがイギリスである。インドで作られた綿をイギリスはマンチェスターに持っていきシャツなどの製品にしてインドの人々に売る。
自分たちのものを自分たちで作れなくなって、やがてインドはより植民地になっていくのである。
自分たちのものを自分たちの手で作ることが真の独立である。と訴えたのはインド独立の父マハトマ・ガンジーである。彼は古くからインドに伝わる糸紡ぎ機「チャルカ」を回し綿から糸を紡ぎ人々に自分たちのものを自分たちで作る大切さを訴えたのである。同じように塩を作りに海に行くことで世界中にインド独立を訴えた「塩の行進」は有名である。スワデシ・スワラジ運動と呼ばれる一連の運動は非暴力によりインドを独立させた大きな原動力となった。スワデシとは国産品を意味しスワラジは自主独立を意味する。
ガンジーが唱えたスワデシ・スワラジ運動は昔からインドに伝わる糸紡ぎを復活させ多くの人々の雇用を創出した。その数は何百万とも言われ、その多くが女性たちであった。
自分たちのものを自分たちで作る。
スパイスを販売することを生業にしているものとして意識していることである。
インドからターメリックやクミン、コリアンダーを輸入してそのまま販売することも商売として良いのだが、我々にできることはスパイスをブレンドしてその土地・その人々にあったものを作ることができる。そしてそれを日本で作ることがとても大事だと思っている。
日本で様々なブレンドを作り続けて50年近く、さまざまなところに行き、様々な縁ができた。
いまはスパイスと地域と人を繋げる私のスワラジ運動を作っていくのがとても楽しみである。
スパイスがあることによってレシピのレパートリーが増えたり、料理が色鮮やかになったりするようにスパイスがあることによって新しいものが生まれたり、仕事、生業が生まれたら本望である。
旅をしながら、妄想しながら、わくわくしながら私のスワラジ運動を進めていきたい。