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結べるバニラビーンズ

アフリカの南東の島マダガスカルにやってきてもう何日になるのであろうか。今日はバニラ農園へと向かう。世界のバニラの約半分を生産しているマダガスカル。最高級品質とも言われその香りの良さと状態の良さが評価され世界中のパテシエらを虜にしている。その最高級のバニラを求めてマダガスカルに来た。バニラ農園主でもあるニコラス曰く、マダガスカルでバニラの輸出が許可されている企業は10社しかなく、毎年その許可証を更新しなくてはならない。幸い彼の会社は毎年許可がおりていて40年近くバニラを世界に輸出しているそうである。主な送り先はフランスになるがオランダ、アメリカ、中東、インドなどにも送っているのだとか。
  バニラ農園は金網柵で覆われていた。高級品であるバニラは盗難なども多く配送するダンボー ルなどにもバニラが入っていることがわからないように明記はしないのだとか。しかし農園からもダンボールからも抑えきれないほどの香りが溢れ出ている。ニコラスが連れてきてくれたバニラ農園は何箇所かマダガスカル内にあるバニり農園のうちの1つだと教えてくれた。その土地を手に入れた時はジャングルだったらしく開墾してヤシの木のチップを撒き約5年かけてバニラが収穫できるようになったのだとか。彼が目指しているのは人にも環境にも優しく、その土地にあった元々の植物との共生を目指していた。バニラの花は朝の限られた時間のみに開花して、それを人の手で1つ1つ受粉させていく。メキシコ原産のバニラは今や世界中で栽培されているがメキシコ以外では人間の手によって受粉しなくてはならない。メキシコには受粉できる蜂がいるのだと か。 収穫されたバニラは綺麗な薄い緑色をしている。綺麗な形をしているのと割れ目が入っている ものなどを選別していく。そしてそれらは2分ほど茹でてから天日で干していく。バニラが熱くな りすぎるとちょうど良い水分量がなくなってしまい黒い美しいバニラが赤っぽくなってしまう。 なので朝から昼前くらいでバニラを一旦、屋根の中にしまう。バニラが50度以上になってしまうと良くなく、38度くらいに保つのが熟成、発酵がゆっくりと進んでいく、日によっては1時間か2時間くらいしか外で天日に晒すことができないため、この工程は3ヶ月から4ヶ月かかる。黒く美しく光っているバニラはその後、じっくりと室内で2週間ほど乾燥させる。その後適切な場所で保存、管理されていくのである。
4ヶ月も5ヶ月も収穫から使えるようになるバニラビーンズになるまで時間がかかる。丁寧に作られたバニラビーンズは形がとても美しくしっとりとしていて柔らかい。最高のバニラビーンズは 結ぶことができる。途中で割れてしまったり折れてしまったりするバニラは最高級とは言えな い。ニコラスは農園で採れたバニラを持ってきて結び目を作ってくれた。黒く美しバニラビーンズ のリボン。甘い香りが部屋中に広がっていた。

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