東北鉄旅(2) リゾートしらかみと弘前城編
秋田から青森を2泊3日で巡った旅日記。
秋田から弘前への「リゾートしらかみ」での鉄道の旅の後半。
そして最北端の現存12天守、弘前城への登城。紅葉時期の城もまた格別。
2日目、3日目の「リゾートしらかみ」から弘前への旅程をレポートする。
「リゾートしらかみ」の後半編。
列車は日本海から白神山地を眺めつつ弘前に到着する。
千畳敷での途中下車
「リゾートしらかみ」の乗車は3時間を超えて、旅程の半分を過ぎ、絶景続きの日本海沿岸も終わりに近づく。
そして最後のハイライト地点となる千畳敷駅に着く。
千畳敷駅では15分間も停車し、駅から降りて海岸を見学できた。
汽笛が3回鳴るのが合図で発車するとのことで、乗り遅れないようにドキドキしながら海浜に向かう。
電車というより、まるで観光バスのように乗客全員が下車し駅を出て、海浜に向い、岩浜を思い思いに散策した。
千畳敷は寛政4年(1792年)の地震によりできた岩浜で「日本の夕陽百選」に認定されている。千畳敷という名前は、津軽藩の殿様が千畳の畳を敷き宴会を開催したことが由来だ。それ程の岩棚が広大に続いている。
汽笛が3回鳴って皆慌てて列車に戻り、14:14には千畳敷駅を出た。
バスのように点呼もないので、乗り遅れると取り残される。
車内イベント
千畳敷駅を出て暫くすると日本海沿岸とは離れて、右手に世界遺産の白神山地の山岳地帯を見ながら運行される。
歌でも有名な岩木山なども格別な眺めだ。
そして車内ではイベントが開催された。
津軽三味線の生演奏が始まる。女性二人組は叩きつけるようにバチを弾き、「津軽じょんから節」など代表的な民謡を演奏。
昨今は民謡クルセイダーズなども愛聴しているので、聴き入った。
イベントは続き、次は津軽弁の「語りべ」。津軽に古くから伝わる昔話を、地元の言葉でやさしく語ってくれた。
終点の弘前に着く
弘前に近付くと、りんご園が車窓から眺められ、青森に入ったと実感する。
そして終点の弘前駅に15:49に到着。
5時間半の長旅が終焉を迎えるが、不思議と疲労感はなく、絶景を眺めて気持ちはデトックスされて充実感を感じつつ下車した。
弘前駅で奥羽本線に乗り換えて10分間、大鰐温泉で下車。
2日目の宿泊地、青森ワイナリーホテルに到着。
弘前や周辺も目ぼしい宿泊施設は少なく、ビジネスホテルが多い。唯一大鰐温泉に星野リゾートがあるが、満室であったため、辿り着いたのがここ。
阿闍羅山(あじゃらやま)の山腹に建つ青森ワイナリーホテルは、津軽平野を一望できる絶景ホテルで、大鰐温泉を引いた温泉施設も充実していた。
駅から離れているためか客は少な目だったが、ワイナリーを併設して食事も美味しかったのでオススメしたい。
食事のビュッフェではワインも飲み放題で、りんごワインも飲み放題と、青森らしさを実感した。
弘前公園
3日目は最北端の現存12天守の弘前城に登城した。
現存天守とは、江戸時代またはそれ以前に建設され、現代まで保存されている天守のことで、全国に12ヶ所残存する。
最北端の弘前城【東北】を訪問し、
過去、松本城、犬山城【中部】、姫路城【近畿】、松江城【中国】、
丸亀城、松山城、高知城【四国】を訪れており、これで八箇所となり、12天守制覇まで残りは四箇所となった。
アクセス
弘前駅前より、土手町循環バスで所要時間約15分で市役所前で下車。(100円)バスを下車すると、すぐ城がある弘前公園が見える。
弘前公園は廃城令が発布された後に、津軽氏が弘前城を公園として開放したいと申し出て1895年(明治28年)に開園した。
公園内の弘前城は平山城なので、山城と比べ疲労感もなくのんびりと公園内を散策しつつ、天守など点在する史跡を楽しめる憩いの地。
弘前城と紅葉
公園の入り口にもなるのが追手門。
慶長15年(1610年)築で国の重要文化財。
弘前城は良好な保存状態で、天守が現存している他、3棟の櫓と5棟の城門も現存しており、公園内を散策しつつ見学可能。
1627年に五層天守が落雷により焼失。1810年に幕府より蝦夷地の警備を命じられた功績により完成したのが現存する弘前城の天守である。
弘前城の現存する天守は三層三階の複合式層塔型。
紅葉の時期も後半戦で紅の面積は少なく、紅と緑のハーモニーと言った風情だが、城郭と重なる風景も独特で素晴らしい。
前川國男建築
前川國男は、近代建築の父「ル・コルビュジエ」の下で建築を学び、日本モダニズム建築の先駆者として、戦後の日本建築界をリードした建築家。
代表作としては「東京文化会館」「東京都美術館」などが挙げられ、特に美術館建築を数多く手がけている。
彼の母が弘前藩士の娘であった縁で弘前には、多くの作品が残されている。
弘前市役所庁舎、弘前市民会館など、地方における近代建築の足跡をたどるにも最適な地である。
公園内にも弘前市民会館、弘前市緑の相談所があり見学できる。
また、市民会館内にある喫茶室バトンでランチを取ったが、ハヤシライスやホットケーキ等が絶品であった。
訪問して知ったのだが、弘前には他にも魅力的な建築物が多い。
弘前は「戦災や自然災害がほとんどなく、さまざまな時代の建物が数多く残されている町は全国でも珍しい。」とのこと。
現代美術家・奈良美智さんも弘前出身であり、文化の香りあふれる地方都市でもある。
少し足を伸ばせば、彼の作品を展示した青森県立美術館もある。
前川國男の後継者が外苑前再開発の反対の先頭に立っているが、スクラップ&ビルドを繰り返し、無個性か奇抜な建物が並ぶ東京も見習うべき点が地方都市にはある。
偶然に訪れた弘前だが、文化の佇まいを感じるこの地方都市に魅力を感じてしまい、また訪れたいと思った。
弘前に後ろ髪を引かれつつ、弘前から奥羽本線で新青森に。
そして新幹線「はやぶさ」で東京へと帰路に着いた。
2日目、3日目のルート
千畳敷→弘前→大鰐温泉→弘前→新青森