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資料がない!でも大丈夫。アイデア出しに役立つAIペルソナ活用法

クライアントワークにおけるデザインの仕事において、デザイナーが顧客を具体的にイメージすることは大変重要です。

しかしながら、依頼のタイミングでは媒体やマーケットの特性上、十分な顧客情報が収集できていなかったり、これからマーケットの反応をみてチューニングする段階の商品などは、十分な顧客イメージをクライアントから共有していただけないこともあります。

そういった状況でも、アイデアをカタチにし良質なクリエイティブをクライアントに提案するのがデザイナーの仕事です。

対象顧客の資料が不十分な依頼を受けたデザイナーは、自身の経験値から情報の足がかりになりそうな、WEBサイト・雑誌・SNSや競合商品の口コミなどにあたって顧客イメージを膨らませていました。この作業は、経験値のあるカテゴリで3~4時間、初めてのカテゴリでは丸1日以上かかるようなリサーチ業務となります。

顧客のイメージが掴めない時に、アンケートや座談会などのユーザー調査が出来れば良いのですが、費用・時間的な制限からデザイナー側で着手することは難しいのが現状です。

しかし、AI が発達した現代ではそのテクノロジーを活用して、マーケターでなくても仮想の顧客像(ペルソナ)を簡単に生成でき、アイデアの種とすることができるようになりました。

ペルソナ生成に使用する文章生成AIは、前後の文字に出現する確率の高いものを生成するというしくみです。大量のデータをインプットし、詳細な指示を与えることで、精度の高いアウトプットが得られるというものですが、

今回は

そもそもインプットするデータがない状況で、簡易的にペルソナを作りアイデア出しに活用する

という目的での使い方をご紹介します。

※本記事では日本語に最適化されたAI検索ツールFelo(chatgpt4)を使用しています。


STEP1 ペルソナに必要な項目を挙げる

まずは、AIにペルソナ作成に必要な項目をあげてもらいます。

【プロンプト】
AIでペルソナをつくる時にインプットする情報を、項目別に全てあげてください。
【回答】
AIを用いてペルソナを作成する際に必要な情報は以下の通りです。
1. 基本情報
・名前 ・年齢 ・性別 ・職業 ・居住地
2. 人口統計情報
・教育レベル ・収入 ・家族構成 ・住居形態 ・健康状態
3. 行動特性
・趣味、嗜好 ・ライフスタイル ・購買行動 ・メディア消費 ・ソーシャルメディアの利用状況
4. 動機とニーズ
・健康に対する意識 ・製品に求める機能 ・購入の決め手 ・課題や悩み ・目標や願望
5. 心理的要素
・価値観 ・感情的トリガー ・恐れや不安 ・ブランドへの忠誠心 ・生活の優先順位
※内容は省略しています。

使用するAIツールによってアウトプットは若干異なりますが、一般的に紹介されている項目は網羅されていました。


STEP2 ペルソナをつくる

Copilot for microsft Edge(chatgpt4)で作成

次に、さっそくペルソナを作ってみます。今回は、ミドル~シニア女性を対象としたDHAサプリメント広告のアイデアを考える想定で作成しました。

【プロンプト】
AIでペルソナをつくる時にインプットする情報に必要な項目すべてを網羅しつつ、DHAサプリメント利用者のペルソナを3人作成してください。女性40代~60代の幅で属性ができる限り重複しないようにしてください。各ペルソナの項目は、小項目ごとに5つずつ挙げてください。

【回答】
以下に、女性40代~60代のDHAサプリメント利用者のペルソナを5人作成しました。それぞれのペルソナは異なる属性を持ち、重複しないようにしています。
ペルソナ1: 佐藤美香(45歳)
〈基本情報〉
名前: 佐藤美香 年齢: 45歳 性別: 女性 職業: 営業職 居住地: 東京都 
〈人口統計情報〉
教育レベル: 大学卒 収入: 年収500万円 家族構成: 夫、子供2人(中学生)
住居形態: 一戸建て 健康状態: 健康だが、疲れやすい
〈行動特性〉
趣味・嗜好: ヨガ、料理 ライフスタイル: 健康志向、週末は家族と過ごす 購買行動: オンラインでの購入が多い メディア消費: 健康関連のブログをよく読む ソーシャルメディアの利用状況: Instagramを活用
〈動機とニーズ〉
健康に対する意識: 健康維持に強い関心
製品に求める機能: 疲労回復、集中力向上。購入の決め手: 口コミやレビュー
課題や悩み: 子育てと仕事の両立
目標や願望: 健康的な生活を送りたい
〈心理的要素〉
不安感: 子供たちの健康や学業成績に対する不安が強い。
期待感: DHAサプリメントによる健康改善への期待。
自己効力感: 健康的な選択をすることで家族を守れる自信。

ペルソナ2: 中村恵子(52歳)
〈基本情報〉
名前: 中村恵子 年齢: 52歳 性別: 女性 職業: 自営業(カフェ経営) 居住地: 大阪府
〈人口統計情報〉
教育レベル: 高校卒 収入: 年収400万円 家族構成: 夫、子供1人(大学生)
住居形態: マンション 健康状態: 健康だが、コレステロールが高め
〈行動特性〉
趣味・嗜好: ガーデニング、旅行 ライフスタイル: 自然派志向、オーガニック食品を好む 購買行動: 地元の市場での購入が多い メディア消費: 食品関連の雑誌を購読 ソーシャルメディアの利用状況: Facebookを利用
〈動機とニーズ〉
健康に対する意識: 健康診断を重視
製品に求める機能: コレステロール改善
購入の決め手: 成分の透明性
課題や悩み: 健康維持とビジネスの両立
目標や願望: 健康的なカフェを経営したい
〈心理的要素〉
ストレス: ビジネスのプレッシャーからくるストレスが高い。
自己改善欲: 健康を維持するための意欲が強い。
社会的承認欲求: 健康的なライフスタイルを周囲に示したい。

ペルソナ3: 鈴木由美(60歳)
〈基本情報〉
名前: 鈴木由美 年齢: 60歳 性別: 女性 職業: 退職後のフリーランス 居住地: 愛知県
〈人口統計情報〉
教育レベル: 大学卒 収入: 年収300万円(年金含む) 家族構成: 夫、孫2人 住居形態: アパート 健康状態: 健康だが、体重管理が課題
〈行動特性〉
趣味・嗜好: 手芸、料理教室 ライフスタイル: 穏やかな生活を好む 購買行動: 健康食品を定期購入 メディア消費: 健康情報のテレビ番組を視聴 ソーシャルメディアの利用状況: LINEを利用
〈動機とニーズ〉
健康に対する意識: 健康的な老後を目指す
製品に求める機能: 体重管理
購入の決め手: 価格と効果
課題や悩み: 健康維持のための食事管理
目標や願望: 孫と過ごす時間を大切にしたい
〈心理的要素〉
不安定感: フリーランスの仕事の不安定さから健康管理に対する意識が高まっている。
自己表現欲求: 健康や美容に関する情報を発信したいという欲求。
コミュニティ意識: 健康に関するコミュニティに参加し、仲間意識を持ちたい。

今回のようにざっくりとしたプロンプトでも生成してくれますが、心理的要素が一回では生成されなかったので、追加指示をした上で情報を統合しました。項目の内容は具体的な指示を入れることで、目的にあったいい感じに仕上がっていきます。


STEP3 活用する

Copilot for microsft Edge(chatgpt4)で作成

最後は、この3人のペルソナをベースに色々なアクションを指示し、生成された結果をアイデアに活用しましょう。以下にいくつか例を挙げます。

タイムスケジュールをつくる
〈プロンプト〉
3人のペルソナの1日のタイムスケジュールを作成してください
〈回答〉
ペルソナ1: 佐藤美香(45歳)
5:30 起床、ストレッチ
6:00 朝食(家族と一緒に)
7:00 子供を学校に送り出す
8:00 仕事に出発(営業職)
12:00 昼食(外で同僚と)
17:00 仕事終了、帰宅
18:00 家族と夕食
19:30 ヨガクラス参加
21:00 自宅でリラックス(読書やテレビ)
22:30 就寝準備
23:00 就寝
(ほか2名は割愛)

ストーリーをつくる
〈プロンプト〉
新年の過ごし方を1人あたり400文字程度の感動的な物語にしてください。
この物語にDHAサプリメントを登場させてください。
〈回答〉
鈴木由美(60歳)は、孫たちと共に年末の準備を楽しむ。大晦日、彼女は手作りのおせちを作りながら、孫たちに料理の楽しさを教える。夕食後、家族全員で年越しそばを食べ、笑顔で新年を迎える。由美は「家族の絆を大切にし、楽しい思い出を作りたい」と願い、心温まる瞬間を大切にする。
(ほか2名は割愛)

タイムスケジュールや過ごし方のストーリーは、顧客の暮らしぶりをイメージするのに活用できます。


座談会を開く
〈プロンプト〉
3人で座談会をしてください。テーマはDHAサプリメントを取り入れたきっかけと、続けることで変わった暮らしぶりについて
〈回答〉
司会者: 今日は、DHAサプリメントを取り入れたきっかけと、それによって変わった暮らしぶりについてお話ししていただきます。まずは、佐藤さんからお聞きしましょう。
佐藤美香: 私がDHAサプリメントを取り入れたのは、子供たちの健康を考えたからです。最近、子供たちが集中力を欠くことが多くて、何かサポートできるものはないかと探していたんです。DHAが脳の健康に良いと聞いて、家族全員で始めることにしました。
中村恵子: 私も似たような理由です。カフェを経営しているので、日々忙しく、体調管理が大切です。友人からDHAの話を聞いて、試してみることにしました。最初は自分だけだったんですが、体調が良くなったのを実感して、家族にも勧めました。
鈴木由美: 私は、孫たちの健康を気にして始めました。年齢を重ねるにつれて、自分の健康も大事ですが、家族の健康が何よりも気になります。DHAが記憶力や集中力に良いと聞いて、孫たちにも取り入れています。

司会者: それぞれのきっかけがあったんですね。では、DHAを続けることで、どのように暮らしが変わったか教えてください。
佐藤美香: 子供たちの集中力が向上したのを感じています。学校の宿題をする時も、以前よりもスムーズに進むようになりました。また、私自身も疲れにくくなった気がします。
中村恵子: 私は、仕事のパフォーマンスが上がったと感じています。忙しい日々の中でも、頭がすっきりしていて、カフェの運営が楽になりました。お客様からも「最近、カフェの雰囲気が良くなった」と言われることが増えました。
鈴木由美: 孫たちも元気いっぱいで、遊びに来るときのエネルギーが違います。私も一緒に遊ぶことができるので、家族の時間がより楽しくなりました。DHAのおかげで、みんなが健康でいられるのが嬉しいです。

司会者: 皆さんの体験を聞いて、DHAサプリメントが生活に良い影響を与えていることがよくわかりました。最後に、これからDHAを取り入れようと考えている方々にメッセージをお願いします。
佐藤美香: 健康は家族の幸せに直結します。ぜひ、試してみてください。
中村恵子: 自分の体調が良くなると、周りの人にも良い影響を与えられます。気軽に始めてみてほしいです。
鈴木由美: 家族の健康を考えるなら、DHAは良い選択だと思います。みんなで健康になりましょう!

司会者: ありがとうございました!皆さんの貴重なお話を聞けて、とても有意義な時間でした。

この結果は、子どものためにという視点を持つ顧客に向けたアイデアにつながりそうです。


ほかにも、カスタマージャーニーマップにしたり、対談させたり、他のサプリメントを提案したり、といったように指示を出していくと、想定外の結果が生成されて面白いです。
このように資料がなくてもAIで簡易的にペルソナをつくることで顧客像をイメージしやすくなります。データの信頼性をそこまで重視しないアイデア発想段階では十分ではないでしょうか?

AIをパートナーにすることで、制作作業の効率化だけでなく、発想力の強化にもなっていると実感しています。これからも日常のクリエイティブ業務の中で、有効なAI活用法を模索していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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