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【調査編その3】誰もが憩える公園を考えよう

こんにちは、呉バリアフリー研究会のSetoです。
今回も引き続き、訪れる人誰もが憩える呉市の中央公園を作ろうという
取り組みについて取り上げていきます。

これまでの経過はこちら

「誰もが憩える公園を考える」調査からの3回目です。
前回の調査編2では、主として公園を散策するような切り口から、
歩きやすさや、ベンチの形状、植栽や水辺といった景観を中心に
見てきました。

今回は公園に滞在する視点から、

  • 社会実験中に設置された飲食店ブース

  • 公園内のトイレ

  • 公園内の遊具

を中心に見ていきます。

飲食店ブース

今回の社会実験期間中(10/11~11/10)は、実験エリア中央、7ブロックの
北端(弥生橋)と南端(楓橋)を歩行者天国としてキッチンカーが
出店したり、公園内に飲食ブースが設けられたりしました。

キッチンカー、わくわくしますね。
何にしようかな

調査をしたのが平日の午前中だったこともあってか、
比較的空いていました。(当日出店していたキッチンカーは3店舗)
それでもドリンク、デザートのほか、ピザにカレーと
メニューはバラエティーに富んでいました。
商店街まで徒歩圏内とは言え、公園内かその近くに飲食店ブースが
あるのはうれしいですね。

軽食メニューのあるキッチンカーも
キッチンカーはたくさんいる方が
楽しいのです。

しいて言うなら、キッチンカーだと、商品を受け取ったら手が塞がります。歩行者天国に合わせてテラス席のようなものがもう少し
あってもよかったように思います。このように述べるのは、
私(Seto)が車椅子利用者で、手が塞がると移動できないということも
ありますがそれだけではありません。
公園には、いろんな方がやってきます。例えば、子どもやお年寄りの手を
引くために片手が塞がっている方もいるでしょうし、
お年寄りで杖をついている方もいらっしゃるでしょう。

もちろん、所かまわずテラスを作ればよいということではなく、
飲食店ブースを設けるのであれば、商品の購入から飲食後のごみの廃棄に
いたるまで、なるべく利用者の手を塞がず買いやすくなる工夫をした方が、
より効果的であろうという提案です。

公衆トイレ

調査編 その1でちょっと触れましたが、現在の中央公園は、
蔵本通り沿いのいくつかの公園を統合した経緯があります。
そのことが理由かどうかは定かではありませんが、
公衆トイレは、6ブロック、8ブロック、楓橋の東詰めと
整備がなされ、付近には市営蔵本駐車場や市役所本庁舎もあり、
多目的トイレを含め、安心して歩けるエリアといっても
よいのではないでしょうか。

調査前は、屋外設置の公衆トイレについて、衛生面や設備・備品の破損や
老朽化について若干の懸念を抱いていました。
実際に、対象エリア内の公衆トイレを調査してみると、
正直な感想として、思いのほか、管理も行き届いており、
日中の利用であれば、公衆トイレにありがちな
「暗い・臭い・怖い」の心配はしなくてもよいかと思います。

トイレ内は、場所にもよりますが概ねオストメイト設備や
おむつ替えシート、乳児用いす(ベビーキープ)が備えられています。
希望を言えば、アルコール便座クリーナーは標準装備として
頂きたいですね。

6ブロック北側、右側が男女別トイレ、左奥が多目的トイレ
屋外に設置されたトイレとしては、設備が充実して
管理も行き届いています。
どんぐり公園(8ブロック)の多目的トイレ
子ども用便座もあります。
オストメイト用トイレ
右はベビーキープ

トイレそのものは、それなりに管理されていたので
懸念材料としては、利用マナーが気になるところです。
中央公園内のトイレは比較的きれいでしたが、
公共施設の多目的トイレを汚されたりして
利用したい方が使えないことがあります。
みんなの場所は、みんなが大事にすることで気持ちよく
使えるのです。

遊具

蔵本通りに沿って広がる中央公園の区域のうち、
市役所正面の8ブロック(通称どんぐり公園)には
大型複合遊具があり、親子連れで賑わっています。

社会実験期間中は、遊具の設置や貸出し、パラソルセットや
カフェ・フリースペース等の設置などもあったことから、
実験前以上に賑わいを見せていました。

子どもたちに大人気だった遊具無料貸し出し

遊具の貸出しは、縄跳びやボール、シャボン玉などを
無料で借りることができたため、子どもたちに大好評。
後日、私も子どもを連れて行きましたが、「また行きたい」と
大満足の様子でした。
遊具貸出しの副次的効果として、滑り台などの大型遊具では
遊びづらい乳・幼児も安心して楽しめることは
良いポイントです。是非、今後の計画にも取り入れて頂きたいです。

社会実験期間に伴って設置された遊具もあり、その中には
「インクルーシブ遊具」もありました。
Inclusive(インクルーシブ)は英語で「包み込む」、「~を含む」という
意味です。
インクルーシブ遊具は、障害の有無やその他のバックグラウンドに
関わりなく、子どもたちがともに遊べるように作られた遊具です。
インクルーシブ遊具と一口に言っても

組み合わせ遊具「モップス」
  • すべり台

  • ブランコ

  • 音の出る遊具

  • 砂場

など、幅広いラインナップの製品が国内外各社から出ています。

例えば、今回の社会実験ではテーブル型の砂場が設置されていました。
堀込式である従来型の砂場と異なり、子どもたちの腕の高さに
砂の入ったテーブルがあります。
膝部分に十分なクリアランスを設けることで、車椅子やベビーカーに
乗ったまま、あるいは立ったままの状態で遊ぶこともできます。
高さの違うものを組み合わせることで、幅広い背丈や年齢層の子どもたちが
遊べるのもGoodです。ぜひ今回の社会実験を活かして
インクルーシブ遊具の導入を進めて頂きたいと思います。

遊具エリアに関して付け加えるとすれば、元々利用の多いエリアなので、
子どもたちが安全にのびのび遊べるよう、導線を整理すること、
子どもを見守る親の居場所を充実できたら良いと思います。

イチオシのインクルーシブ砂場
みんなで楽しく遊べるのが一番
石のテーブルセット。子どもを見守る親の居場所も大事です。
手前の空間が空いていることにも注目。
ベビーカーや車いすでも利用しやすい。

それから、現在は遊具メーカーにおいても「インクルーシブ遊具」と
(そうではない)一般遊具が別建てでラインナップされていることも
多いのですが、いつの日か、インクルーシブ遊具が特別な製品でなくなり
わざわざ「インクルーシブ」と付けることなく公園利用者や設置者から
選択肢の一つとして、自然と選ばれるようになってほしいと思います。


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