環境汚染時代をおいしく生き抜く「未来食」大谷ゆみこ著 Amazonブックレビュー

この本は食の真実を体系化したものであり、石塚左玄、桜沢如一に勝るとも劣らない名著である。先人の諸理論を昇華させ、現代風に見事にアレンジされている。わたしも食養生の世界に入り自ら様々な実践をするとともに、自分でも料理をし、畑の野菜栽培を通して10年間食について探求してきたが、この本は、わたしの出している結論に最も近いと言っていい。そしてわたしは穀物菜食とでもいうべき、穀物中心で、肉魚(なくてもいい)、野菜少々という食スタイルが最もエコ(エコロジー&エコノミー)で、料理も簡単、誰にでもでき、体調のブレも少なくコストパフォーマンス最強の食事だと思っていたが、この「未来食」は、それに加えて雑穀という、わたしがあまり考えなかった盲点まで突いており、非常に論理が立っていて、食について新たに考えさせられた。

この本の素晴らしいところは、制限食や我慢して食べるということを否定し、完全食、美味しさという価値感を大切にしているところである。水や空気、感謝などについてもきちんと言及していて、何を食べるかではなく、どう食べるかという食養生の第一原則がきちんと理解されている。そして、肉食、魚食を攻撃否定することなく、完全菜食(ビーガン)の素晴らしさを伝えることにも成功している。どういうニュアンスなのかは実際に読んでみることをお勧めする。

ただ単に、肉や砂糖を少なくして、野菜やミネラルをとりましょうという本ではなく、添加物などの化学物質、農薬、小麦の害、塩についての考え方もきちんと詳細に書いてあり、汚染物質に生きる21世期にも十分響く内容となっている。2023年の現在、遺伝子操作された食物が跋扈し、食料自給率は低下し物価が際限なく高騰し、自給自足についても真剣に考えないといけない時代になっているが、まさにそんな時代にピッタリの書物なのだ。この本が30年近く前の1995年に発表されたことに驚きを隠せない。

わたしは、向精神薬やワクチンの解毒、離脱症状や発達障害や精神疾患などの不調を食で整えていくということに取り組んでいるが、人には個体差があり、菜食がいいとかタンパク質がいいとか一様に言えないという基本中の基本は理解しているので、食養生の実践のテキストとなる本が見つからないでいた。この本は現代に最も近くかつ、現代栄養学に媚びることなく理論がしっかりしているので、どなたにも安心して勧められる稀有な本だ。

大谷さんの本は、最近ではカラフルな写真の読みやすい本もいくつか出ているが、ある程度それらを読んだ方や、代替医療、食養生に少し詳しくなった方は、是非この本を一読することを強くお勧めする。

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