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【ドラマ感想】泣くな研修医

一日も早く一人前の医者になるため、研修医として職務に励みます!…と言えば聞こえは良いが、実際は何もできないド新人。主人公雨野は急患にうろたえ、処置どころかろくなサポートもできず気絶。なのに、同期の研修医には見栄を張って、さも自分がスマートに対応できたかのように吹聴する。

「すみません、気を付けます!」を繰り返してはどやされ、親にその子供の状況を説明しようとするも逆に不安にさせ、空回りばかりして余計な事態を招く。執刀できると思いあがっては恥をかき、指導医佐藤からあまりにもキツイダメ出しをくらってどん底モード。

4名の研修医は激務の中、文字通り院内を走り回って雑用をこなしながら、様々な患者を担当し、真摯に向き合っていく。そして、最後は進路を決める。

主題歌が優しく染み入る青春群像劇で、フレッシュなお仕事ドラマ。コメディタッチでテンポよく進むので見やすい。医療ものらしく毎回しっかり泣かせてくれる。


・患者が育ててくれる。

一人の患者のエピソードが、一話で完結しない。中でも拓磨と石井は、このドラマを通して最後まで続くメインエピソード。

石井はそのたたずまい、話し方、すべてが印象的だ。死ぬまで懸命に生を全うしようと、やることリストに取り組む同年代の石井を担当することで、雨野は患者とのコミュニケーション方法、患者に対する自分自身の在り方、嘘のつき方…非常に多くのことを学び、考えさせられ、泣かされる。

石井の存在はまた、決して仲が良いとは言えなかった同期の絆を育むのに一役買う。くるみと外出時間を過ごした石井の楽しそうな表情は印象的で、徳田にケーキを買ってお見舞いに訪れるシーンは、こちらも徳田同様涙があふれてしまう。そして石井の死を予期して同期3人が引き返すシーンは、研修医4人の心が一つになった瞬間だった。石井から大きなプレゼントを受け取った雨野は、涙が枯れるまで泣き尽くす。

幼い頃兄を亡くした雨野には、罪悪感と悔いがある。拓磨は、雨野の原点を確認させてくれる存在だ。幼くして長く入院を余儀なくされる拓磨を見守り、その回復に力を注いだ雨野は、別れ際、自分が外科医を目指したきっかけを語る。

・泣き虫を卒業して、迷いを突き抜けて。

石井のエピソードの後は、雨野を除く3人の進路の迷いが描かれる。そこには、病院への泊まり込みを続けてまで一日も早く一人前の外科医になろうと愚直にあがき続けてきた雨野とは違った、将来への不安がある。

病気になったことで不安になったくるみには、外科を第一志望としてブレない雨野が眩しく見える。はじめはキツイ言動のオンパレードでパワハラ上司かと見えたデキる指導医の佐藤が、過去にひたむきな研修医時代を過ごし、雨野と同じく「一人でも多く目の前の命を救いたい」ために外科を志したと知り、美容外科から大きく気持ちが動く。

川村は、充分な医療器具もない場所で自分が川でおぼれて生死の境をさまよった経験から、それまで思い描いていたスマートな医療とは異なる世界に興味を持つようになる。そしてその事故で何もできなかった滝谷は、悩んだ末、医者をやめてしまう。

仲川が医師でいられるよう、同期と協力して調べ考え尽くした提案を持ってきた雨野は大きく成長していた。そこにはもう第1話の頃のオロオロしていた役立たずのド新人の影は残っていない。

それぞれの努力と選択の末に、卒業し巣立っていく若者たち。その将来が楽しみだと思える、爽やかで明るいラストだった。


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公式HP:https://www.tv-asahi.co.jp/nakuna_doctor/

番組名:「泣くな研修医」(全10話)

主題歌:「konomama」(DOBERMAN INFINITY)

※上記情報は公式HPから引用しています。

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