コンサルだって、海へ行く。
都会で、都市ではたらいていると、こんな景色は目に染みます。
BIOTOPEという戦略デザインコンサルティング会社から、島根県にある離島 海士町にて、日本初となる複業共同組合の職員として飛び込んだ人がいます。学生時代。脳性麻痺の子どもの「お母さんの写真をとりたい」という願いを叶えるための撮影補助デバイスをつくっていました。
「どうして。企業はいつも経済を優先してしまうのか」
「なぜ。こんなにも困っている人がいるのに解決されていないのか」
そんな思いを抱き、テクノロジストとして企業の経営戦略に日々触れる生活から一転。つぎに触れることになったのは日本海のお魚でした。
地方で働くということ。
海士町は2,300人の人々がくらす、農業と漁業の離島。信号機も一つだけ。
「ないものは、ない」を合言葉に、だいじなものはすべてあることに気づかされる生活を過ごしている雪野さん。博士号をもち、実験が大好きで、とにかくやってみることをとめられない彼はこんな人。
地域の人から「雪野さん、僕たちのこと実験の観察対象としてみてるでしょ笑」といわれる彼は、いっしょに手を動かして、頭を動かしています。
都会との違いは、誰と話せばいいか分かりやすいこと。都会だとたくさんの人と組織が関係するからこその大変さが大きいけれど、離島はとにかく人が少ないので、人間関係がシンプルに。
実証実験の結果もピュアに、素直にでてきます。都会には似たような取り組みがたくさんあり、結果が複雑に関係し合うけれど、離島なら結果がストレートに出てくるのでごまかしがききません。
地方の人たちは、本当に困っているのも大事なポイント。都会でスマートに儲ける企画を考える人たちとは違い、目の前に困っている人たちがいて、いっしょに現場で働くなかで、ハートに訴えかけてくる、こみ上げてくるものがそこにはあります。
マネできない差別化より景色をかえる二番煎じを
都会にはエクセルを使える人がたくさんいます。テクノロジーもたくさんの選択肢があり、使いこなせる人もたくさん。地方では同じような状況ではありません。
オンラインでECサイトをつくることも専門家がいるわけではありません。雪野さんは、かき商品の写真をひとつずつキレイにするところから始めました。毎日毎日写真を編集する日々。「いったい何をしているんだろう。。」と思いながらも、泥臭く手を動かすところから、地元の人たちとの信頼関係が結ばれていきました。
必要なのは、最先端のテクノロジーでも、唯一無二のソリューションでもありません。都会で使いこなれた解決手段も、地方にとっては運用面ではたくさんの壁があります。高尚な解決策がほしいのではなく、今の現場で使いきれる、二番煎じでも良いので確立していて現実的に運用しやすい技術のほうが喜ばれる。だいじなことは、地元の人々が使い続けるための、小さな工夫の積み重ねにありました。
地方の思いをひとりじめ
「ワインを海につけたら美味しくなるらしい。やってみよう」
「電力をおすそ分けし合うというのも面白そうだ。やろう」
「農業もやってみたい。高校生の教育向けに、ハウスを借りよう」
困っていることをどんどんみつける雪野さんは「小手先ではない、本質的な課題は現場でともに過ごさないと見えないものがあります。自称ですが、共に汗を流す『公共の産業スパイ』のようなものだと、いつも説明しています笑」と語ります。
都会からきた人たちには「うちの商品の味を確かめようともしない人たちとは、一緒に仕事をしない」と言ってしまう地元の人たち。そんな都会と地方の間をつなげられる雪野さんには、いろんな人たちといろんな仕事とアイデアが集まります。
地方に活かせる資源があれば、なんとかなる。「ない」から「ある」が生まれやすい。そんな希望をみせてくれる雪野さんの背中と汗が、海士町から離れた都会の人々にも届くことを願って。
ふたつのお知らせ
こちらのnoteはNPO法人ETIC.とand Beyond カンパニーが開催する勉強会のイベントレポートです。第四回も8月19日(金)に開催予定ですので、チェックしてみてください。
雪野さんといっしょに仕事をしてみたい人。こちらからご応募ください。