軸がしっかりして、あとはふにゃふにゃに柔らかいという状態
5日間連続で毎日ダンスレッスンを受けるという、私のホームスタジオの夏の集中コースのバレエクラスに、中1週の休憩を挟んで2週間参加してきました。このサマーコースで全くの初心者向けバレエクラスを受けたのが去年の夏。まさか自分が踊りを習うなんて思っても見なかったのだけれど、生まれて初めてのバレエは想像を絶する難しさ&楽しさですっかり虜になって、あっと言う間に1年間が経ちました。
1週目の先生からもたくさんのことを教えてもらったのだけれど、何より今週の先生のクラスがじわじわとくるレッスンで、今朝目が覚めたときに、なんだかこのまま忘れてしまうのが無性に寂しい気持ちになったので、書き残すことにしました。
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熱心なのか冷めてるのかよくわからない、でもなんだかとっても魅力的なマークという先生に出会った。
ボサボサに伸びた髪の毛とヒゲ、フットボールシャツにジャージ。眠たそうな小さな目にふにゃふにゃしたあまり抑揚のない話し方。全体的にはなんだか「起きてますかー?」ってくらいの覇気のなさなんだけど、ダンサーらしいシュッとした背中と、話し方同様脱力しきった身のこなしがなんとも美しくて。そして何よりも摑みどころがないのになぜかほっとさせる雰囲気と頭じゃなくてハートに響く彼のダンス理念。こんなにもあったかいのにどこか冷めてる感じが、しっかりと軸が通ってるのにまるで軟体動物みたいに柔らかな動きが、どうにも不思議すぎてまるで目が離せない。
指導のスタイルもとにかく感覚重視で、意識を向けることやエネルギー的に何が起こっているかに気付いて、それを踏まえた上で自由に表現することを、何度も繰り返して言っていた。私はヨガの練習のおかげで、意識を向けるポイントが分かれば割とその通りに身体を動かせる(イコールそれを動きながら反映させることが、すぐ簡単にいつでもできる様になるわけではないのだけれど)のと、仕事柄、人体生物力学の理解があるのとで、すごく腑に落ちて、ややこしい動きで陥りがちな”脳みそ筋肉痛”状態にならずに身体を動かすことに集中出来た。そして、言われた側からすぐに体に落としこむ私の動きを見て、「そう!まさにそれ!」と嬉しそうに離れたところからふにゃふにゃと近くにやってきて褒めてくれたのには、初春の太陽に照らされたみたいにとろけた。いくつになってもそんな風に褒められるのはとっても嬉しい。
まだまだ初心者の私はどうしても力み過ぎてしまうのだけれど、マークの柔らかな動きを見ていると、不思議と力みが弛んできて、この5日間でずいぶんと脱力して踊れる様になった気がする。逆に出来ない動きは頭がパニック状態で身体が力んでるだけなんだってことも解った。そして、今まで理屈ではわかっていてもどうにもこうにもまったく出来なかったターンの顔付けが、するっと出来るようになったのにはびっくり。
軸がしっかりして、あとはふにゃふにゃに柔らかいという状態でいられるということは、バレエだけでなく、生きるうえでとっても大事なこと。マークはそれを見せて気付かせてくれたような気がする。