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助けてもらうことを学ぶ

この時期の”お馬さんと一緒”ボランティアでは業務開始とともにあっという間に泥まみれになります。なにしろ基本的にグレーでウェットな気候となる冬の間、放牧地の手前部分は20cmくらいの深さの泥沼。この季節は放牧地に連れて行ったそばから馬房へ帰りたがる馬も少なくないので、放牧時には力では到底敵わない相手をなんとか宥めつつ馬を引いて泥沼を一緒に歩きつつ返り泥を浴び、集牧時には我先にと放牧地ゲート付近の小競り合いをしている馬たちによる泥飛沫を浴び、泥だらけになった馬とおしくらまんじゅうになればもちろん泥を擦り付けられ、といった具合です。

去年の冬に一緒に働いていたスタッフのひとりは、寒さよりも雨よりも、とにかく泥が嫌いなのに僕はいったいなんでここで働いているのだろう?とぼやいているなと思ったら、いつのまにか辞めてしまったほど。

さてそんな今日は、寒さに凍え、泥まみれになりつつ、馬とじゃれあう午前中を過ごしたあとは、みんなでパブにてクリスマスランチ会でした。メンバーは厩舎スタッフ、ボランティア、そして作業療法的な意味合いで馬房の掃除や馬具の手入れなどの仕事をしている「生徒」と呼ばれる知的障害者のみなさんという、まさに「桜梅桃李」を地で行くなんとも賑やかなグループです。

隣に座ったのは、私がボランティアをする金曜日に毎週レッスンを受けていて、たまにボランティアもしている女性。彼女とは顔見知りだったものの、なかなかゆっくり話をする機会がなかったのですが、なんと今日になって現役ベテラン作業療法士だということが発覚。彼女も私が作業療法を勉強しているというのを知らなかったので、お互いびっくり。おまけに彼女が勉強したのは私が通う大学の前身となる病院付属大学だったということで、貴重な現場の話はもちろん、授業や課題やプレイスメントの話など、それはそれは有益なことをたくさん聞かせてもらいました。

さらには、いつでもなんでも聞いて、と電話番号までくれたのです。以前彼女に馬装を教えたことがあったので、それとエクスチェンジね、なんて。彼女自身プレイスメント生徒の教育係を経験しているとのことで、心強い限りです。

労働学生になってからというもの、身近な人たちだけでなく、顔見知り程度だった人たちを始め、思いもよらないところからも、続々とサポートの手が差し伸べられ続けています。もちろん大学のサポートシステムにもとてもお世話になっているし。そもそもこんなにも苦戦するとは思ってもいなかったので、子供の頃から助けを求めるのが苦手な私も、助けなしにはどうにもこうにもいかない感じになっているという現実。

実は私が今こうして労働学生をしているのは、専門知識だとか資格だとかいうのは建前で、本当は、助けてもらうことを学ぶためだったのではないかと思わずにはいられません。

もっといえば「世界は愛でできている」ってことです、きっと。



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