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【選挙に行く前に知っておきたい 経済のしくみ#2】実質賃金はなぜ低下したのか


今回の衆議院選挙の争点は「国民の暮らし」


第50回衆議院議員選挙
が、いよいよ1週間後の10月27日に迫ってきました。相変わらず、マスメディアが押し出している焦点は「裏金議員の処分をめぐる政治とカネ」ですが、ここにお集まりの皆さんは気づいていらっしゃいますね。
 
そうです。今回の選挙でもっとも議論されるべきは、皆さん国民の暮らしに直結する経済問題です。
 
政治とカネの問題を肯定するつもりはありません。政治資金報告書への不記載なんて、1円単位で所得や経費を追及される一般国民から見れば、本当に腹立たしい話です。昨年導入されたインボイス制度で苦しめられている個人事業主の方も、おそらく怒りが収まらないことでしょう。
 
すごくよく理解できますが、忘れないでいただきたいのは、「政治とカネの問題」は権力闘争の道具としてしばしば用いられるだけでなく、本当に大事な争点を隠すために利用されるということです。
 
2024年のGDPはG7諸国の中で唯一のマイナス成長が予想され、輸入物価の上昇や円安による賃金上昇を上回る物価上昇により、私たちの暮らしはどんどん苦しくなる一方。日銀の金利引き上げや新政権の発足に伴い株価は乱高下する一方で、国民の主食であるコメの値段は5kg小売価格が1,000円前後引き上げられ、暖房代がかかる季節が近づく中で電気代の政府補助も10月から廃止となります。こうした状況の中で、政府は2025年の財政の基礎的収支(プライマリーバランス)黒字化を目標にしており、これでは政府歳出の削減と増税や社会保障費の負担増は目に見えています。
 
もちろん安全保障問題も重要な争点ですが、すべての基礎は力強い経済あってのものです。今ここで日本経済を立て直さないと、日本の将来における安全保障も成立しません。この意味で、今回の選挙の最大の争点は誰が何と言っても「経済」です。第1回目は、「失われた30年」とはどのようものであったのか、実際のデータで振り返りました。前回の記事をご覧になりたい方は、下記のリンクからご参照ください。

前代未聞:26ヶ月連続で下がり続けた実質賃金


2回目となる今回のテーマは、まさに皆さんの生活に直結している「実質賃金」の問題を取り上げます。2022年の4月から2024年の5月まで、物価の動向を加味した実質賃金が26ヶ月間連続でマイナスを記録したのを覚えていらっしゃいますでしょうか。

実賃金のプラスマイナスは前年同月比で判断されるので、日本人は2年以上にわたり毎月、1年前に比べて生活が苦しいなと日々実感してきたことになります。
 
仮に皆さんの給料(名目賃金)が上がっていたとしても、物価がそれ以上のペースで上昇すれば実質賃金はマイナスになり、逆に給料が下がっていても、物価がそれ以上のペースで下落すれば実質賃金はプラスとなります。
 
ここで今回もクイズを出題したいと思います。

1991年以降、実質賃金が20カ月以上の長期にわたり実質賃金が低下し続けた例は、今回を含めて4回あります。1回目が1998年8月から1999年3月までの20ヶ月間で、2回目が2007年9月から2009年7月までの23ヶ月間3回目が2014年7月から2015年3月までの21ヶ月間、そして4回目が今回で2022年4月から2024年5月まで26ヶ月間連続でマイナスが続きました。
 
「過去3回で、今回にもっとも類似した条件だったのはどのケースでしょうか」。これが最初の問題です。答え合わせは有料パートで行いますが、その前に本マガジンのシステムを説明します。
 
毎回記事の有料パートでは、テーマに関連した経済データとその見方をわかりやすく解説します。また1テーマごとに、記事内で使用した経済データとグラフの作成方法をわかりやすく解説した解説編をアップします。
 
解説編を読んでいただければ、皆さんでもご自身の目でデータを確認することができ、この先は自由自在にデータのアップデートや分析が可能となります。自分でデータを検証して。自律的に判断できる日本人が増えていくことで、日本が良い方向に進んでいくことができると信じて当マガジンを運営しておりますので、是非有料パートもよろしくお願いします。

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