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【選挙に行く前に知っておきたい 経済のしくみ#2 解説編】実質賃金はなぜ低下したのか

さて、今回は前回の記事、「実質賃金はなぜ低下したのか」のデータ解説編です。
 
前回の記事をお読みになった方には繰り返しになりますが、「選挙に行く前に知っておきたい 経済のしくみ」では、掲載後に記事の中で使用した経済データの調べ方や算出方法を具体的に開示します。
 
これによって、皆さんにも実際の経済データを直接見ることできるようになります。そして自分でデータを検証して、自律的に判断できる日本人が増えていくことになります。このように自立した国民が立ち上げることで、政治が変わり日本が良い方向に進んでいくことができると信じています。
 
とここで本来有料パートになるのですが、今回は皆さんに内容をご覧いただけるように無料パートを拡大しました。もうしばらく、無料でお楽しみください。


実質賃金と名目賃金の推移

最新データの探し方

まずは、今回の記事の2つの大きな指標の1つである実質賃金からです。厚生労働省から発表される「毎月勤労統計」というデータから確認できます。この統計は今後もよく使っていくので、覚えておくと大変便利です。
 
 
Googleなどで”毎月勤労統計”と検索すると、下記のリンクのページにアクセスできます。

お知らせや事業主の皆様へなどはさくさく飛ばして、調査の結果というところに進み、トップに出ている「結果の概要」をクリックします。

ページを開くと全国調査(月別結果)として、下の画像のように過去5~6年分のデータへのリンクが並んでいます。

毎月「速報」と「確報」という形で2回データが発表されているのがわかると思います。「毎月勤労統計」は通常当月分が翌々月の5日前後に速報という形で発表され、同じ月の25日前後に確報として発表されます。例えば、2024年の7月速報は9月5日発表されており、同じく7月確報は9月26日発表されています。このように「翌々月の月初に速報、月末に確報」というサイクルを覚えておくと、毎月いち早く最新のデータを見ることができるので便利です。
 
では、今回は最新のデータということで8月速報をクリックしてみましょう。

すぐに統計表という項目が見つかると思います。そこにはエクセルの一覧表が並んでおり、ちょうど真ん中やや下に「時系列表第6表 実質賃金指数」というのがありますので、ここをクリックするとエクセルファイルがダウンロードされます。このファイルには過去2年分のデータが入っていますので、それ以前のものが不要の方はここで終了です。
 
エクセルファイル内のデータの見方を補足しておきます。実質賃金指数のデータは、事業所規模を5人以上とするのか30人以上にするのかの2パターンと、使用するデータを「現金給与総額」で見るのか「きまって支給する給与」でみるのかの2パターンで、合計4種類あります。

事業所規模については、正直どちらを使っても良いと思います。ちなみに、今回の記事では5人以上のデータを使いましたが、一般的にニュースなどでは、30人以上のデータを使っていることの方が多いのではないでしょうか。今回5人以上のデータを使用したのは、春闘で大企業が賃上げを行ったものの、それ以外の中小・零細企業にまでその効果がどれくらい波及しているかを見たかったからです。
 
使用するデータの方は、現金給与総額を使いました。一般的にニュースでも現金給与総額が使われることが多いです。ちなみに現金給与総額は、きまって支給する給与と特別に支払われた給与の合計です。つまり、毎月の給与に加えて賞与やその他の臨時の支払いを合わせたものが現金給与総額です。
 
この両方のデータを見比べることは意義があります。今回記事の中で解説したように、実質賃金は2024年6月と7月にプラスとなりましたが、8月に再びマイナスに転化しました。そしてその要因は夏のボーナスが支給されたからと説明しました。現金給与総額ときまって支給する給与の両方を並べてみると、下のグラフのように一目瞭然ですね。

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