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トランプ大統領再選で見る世界の潮流と日本の現状
2020年の例を見れば、何が起こるかわからない米国大統領選挙。
不審な郵便投票、真夜中の謎のバイデンジャンプ、ドミニオンとかいう怪しい投票システム、何度も行われた票の数えなおし、数々の訴訟、最後は議事堂への乱入事件と、てんこ盛りだった前回の選挙。
今回はどうなるのかと心配していましたが、トランプ氏の再選がびっくりするほど早く決定しました。激戦州と言われるペンシルベニア州での勝利が決まった日本時間6日の午後に勝利宣言。対するハリス氏も敗北を認める報道が出され、トランプ氏の返り咲きで決着をしたようです。
そもそも、民主党側がどのような工作を行おうとも問題にならないくらいのトランプ側の圧勝だったようで、キャッチフレーズ “Too big to rig” の宣言通りの結果になったみたいです。それに加えて、上下院ともに議会も共和党が抑える可能性が高く、これは本当に強い大統領の誕生です。順調にいけば、12月17日に選挙人投票が行われ、来年の1月6日の上下両院合同会議で次期大統領が正式決定、そして1月20日に就任式という流れになるはずです。
世界の流れをちゃんとつかもう
さて私たちがもっとも関心があるのは、この大統領選挙の結果を受けて、日本の政治がどのように進んでいくのかについてです。
ただ、ここで忘れてはならないのは、近視眼的な見方をするだけでなく、常に歴史や世界全体の潮流を踏まえて観察する必要があります。
では、いま現在の世界史的な潮流はどのようなものなのか、簡単な図式化をしてみましょう、下の図は、米ソ冷戦が終結した1990年代と現在2020年代を比較したものです。
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出所:拙著 『勝てる日本の製造業 第1部:いまなぜ日本の製造業なのか』 13頁
1990年代、ソ連の崩壊と東欧の民主化・市場経済の導入に加え、中国の改革開放路線により、資本主義市場が世界大に拡大をして一気にグローバル化の流れが加速しました。よって図の左のマトリックスのように、日米欧は右下から右上に、中露等の旧共産党陣営は左上ただし縦軸に寄った位置へと動いています。
しかし時代が進み2010年代に入ると、グローバリズム行き過ぎたレベルにまで進み、経済格差の拡大と固定化、過激で合理性を欠いた環境活動、貧困を助長して社会秩序を破壊する移民の拡大など、日米欧の社会で大きなひずみが生じ始めます。もちろん、国や地域によって各問題の進み方や程度は異なりますが。
同時に西側諸国では、IT技術の進化なども相まって管理統制へと向かう動きが加速化。言論統制の現状もコロナ危機や2020年の大統領選を通じて明らかになりました。大手メディアの偏向報道に加えてネット上のプラットフォームでも、ポリコレやパンデミックの名の下に言論統制が強化され、YouTubeやX(旧ツイッター)でコロナワクチンやトランプなどについて言及するとアカウント停止になる例も続出しました。このことは、Xを買収したイーロン・マスク氏やMetaのマーク・ザッカーバーグ氏も認めていますね。
一方で習近平体制の中国やプーチン体制のロシアなどは、ますます中央集権的な要素を強め、特に米国を中心に対中でカップリングを進めていたり、ウクライナ紛争後は対露経済制裁を進めたりしたため、矢印としては再び左下の方向へ向かっています。
西側諸国では行き過ぎたグローバリズムに対する反動として、保守的な政治勢力が力を持ち始めます。2016年にトランプ政権をはじめ、欧州諸国でも主要メディアが「極右」と表現する政治勢力が政権につく流れが加速化していますが、実際にはこの運動に賛同している多くの人は一般の庶民で、あくまでも自国国益をしっかり守って平和にやっていきたいと願っている人たちです。
実際にグローバリストが自由や民主主義の美名を旗印に世界各地で紛争を引き起こし、その結果生じた難民の社会への受け入れや資源価格高騰によるインフレの煽りを受けるのは庶民の生活です。また環境問題なども、それをビジネスにして儲けるのは一部の人たちで、多くの庶民はただ一方的にコストを引き受けるだけですから、不満は当然高まります。
というわけで、グローバル化と管理社会化に向けて社会を誘導しようとするグローバリストと、これに対抗する保守的な一般庶民を代表する政治がぶつかりあっている状況。これが2020年代の西側自由主義諸国が直面している状況です。
ちなみにこの辺を詳しく知りたい方は、このような世界情勢の認識を踏まえた上で、AIや最先端の技術を用いて日本の基幹産業である製造業をどのように復活させるかを論じた拙著をお読みください。なお、NOTEの記事とは異なり、ビジネス書として通じるレベルで書いているので、しっかり勉強したい人にはおすすめです。データ量が豊富なのはNOTEの記事と同様ですのでご安心を。
大統領就任までに日本の政治はどうなるのか注目
さあ、大ボスである米国でトランプ政権が復活したいま、日本の政治はどのように動いていくのか。これが本題です。現在の石破政権でトランプ大統領にきちんと対峙できるのか、世界でもっとも緊張が高まっているアジア太平洋の両国がしっかり協調していけるのか。簡単に言えば、石破政権では無理です。はっきり言って、今回の衆議院選挙で完全に国民からNOを突きつけられた弱体政権など、まず相手にもされません。
そうなると、日本にもしっかりとした国民の支持に支えられた政権を、いつまでにどうやって作っていけばよいのか。日米の政治日程を見ていくと、やはり焦点は年末から年明けにかけてとなると思います。11月11日に開かれる特別国会で、おそらく首班指名されて石破政権は継続となるでしょう。
その上で、できる限り早く臨時国会で補正予算を組んで成立させなければ、遅れている能登の復興や圧迫されている国民生活の問題を前に政権はもちません。ここまでは国民民主党の協力が期待でき、自民党内の非主流派も倒閣は手控えるでしょう。
問題はその後です。夏の参議院選挙をにらんで来年度予算審議が行わる通常国会、トランプ大統領の就任と予断を許さない日本を取り巻く国際情勢などを考慮すると、やはり年末・年始が1つの焦点となるのではないでしょうか。もちろん、一番の注目は国民民主党の玉木氏。「手取りを増やす」といった公約からぶれるなよというところでしょうか。
来るべき政治の動きに備えて、皆さんもしっかり経済のしくみを勉強しておきましょう!
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