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消えない火、冷めない熱
こんばんは福原です。現在2022年9月17日午後5時55分、書き出しに苦戦していたらもう6時14分、閉店までに書き上げられるだろうかというくらいにぼんやりしています。さんぴん『ALL TIME HERO'S ~東西南北プチョヘンザッ!!〜』とこつこつ準備を進めていたオーディションが先日終わり、このところは燃えかすのような数日を過ごしています。
こういう時の自分は何をやってもピントが合わない。映画を見てもなんだか眠いし、音楽を聴いてもなんだか眠い。人といても、移動中もとにかく眠い。辺な時間に起きてはご飯を食べ、辺な時間に体を動かし、辺な時間にまた眠る。
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そんな自分を奮い立たせるべく行った渋谷CONTACTでのLast Step in Jazzというパーティーは素晴らしかった。ジャズを中心にファンク、ディープハウス、ブロークンビーツ、ドラムンベースがシームレスに、時に大胆に繋がっていく平日夜の数時間。DJじゃないと描けない物語があった。ほどよく暗く、ほどよく空いているフロアでステップを試したり体を揺らしながら人と人はスペースを交換したり、アイコンタクトをしあったりする。すぐに会話が生まれたり一緒に踊ったりする日もあるかもだけど、この日のダンスフロアはクール。でも熱かった。お互いの存在を認めつつも意識を内に向けたり外に向けたりしながら音楽に身を委ねる。光の筋を目で追ったり、目を瞑ったりしながら。ダンスであると同時にある種の瞑想、それは個人的で静かな祝祭だ。東京でこんなに夢中になれるパーティーは久しぶりだなと思った。そしてそれは10年以上前に何度も行ったTHE ROOMでのパーティー以来かもしれないと考えた。
THE ROOMの土曜日のパーティーはいつ行ってもかっこいい大人で埋まっていた。みんなパーティーが好きでお酒が好きで音楽が好き。目を閉じて一心不乱に踊る人、とにかく陽気に乾杯をする人、かかる曲に反応しては飛び跳ねる人。理由も目的も様々な人たちを振り向かせる魔法の一曲がかかる時、フロアはまさしく熱狂する。その熱は次の曲で覚めてしまう時もあれば明け方まで続く時もある。熱狂はそこにいた一部の人を掴んで離さない。店が閉まって次の日が来ても冷めない熱にやられてしまった大人達がドリンクチケット片手にまた硬く重い扉を開けるのだ。
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「今日のフロア、Yellowを思い出した」とドリンクカウンターで誰かが話すのが聞こえた。それを聴いてなんだか少し嬉しくなったとも言えるし、妙な感慨があったのは、自分は行くことの叶わなかったハコの熱を自分はいま追体験していると思えたからかもしれない。
あるいはこういうことはないだろうか。年齢だけで言うならば自分はもうすっかり憧れていたあの頃の大人だ。なのになんというか未だコスプレしているような、どこかなりきれてないような気分でいる。そもそも何かに熱中すること、やりこむことがなかなかない自分は遊ぶことですら中途半端。中途半端は芸じゃない。それでも一度点いた炎がなかなか消えなくてここにいる。低温でも冷めない熱、それを知らない誰かに肯定されたような気分になったのかもしれない。
深夜1時半に店を出て、道玄坂を登る。そのまま素晴らしい夜のかけ算に思いを馳せながら淡島通りを歩いた。
福原冠の記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/me96780b246d6
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