自分が出ている舞台をみた
「本番」が一番楽しい。
と、演劇の楽しさをたずねられたときに私は答える。答え続けている。特にコロナ以降。特に劇団に所属してから。
演劇に携わる人たちは、集う場をつくることにとっても切実だ。
集う人たちを【劇団、ユニット、集団、場】など、どのような名前で呼ぶか言葉を尽くす。勉強会、読書会、WSなど、上演に向けた稽古以外で集まる機会をつくる。稽古の進め方は人によって違いそれぞれの工夫にあふれている。公開稽古を行って稽古場の風通しをよくし、ハラスメント防止のルールを練って座組で共有し、アフタートークやアフターイベントで作品を通した対話の場を用意する。観に来てくれる人への言葉を紡ぐ。
なんか全然1年中、色んな人と色んな形で集っていて、ずっと演劇をやっていると言えるんだよなあって、このnoteを書き始めた4月からを振り返ってみて思う。
その中の、どの過程が楽しくて演劇をやっていてもおかしくなくて、何が楽しいかは驚くほど人によって異なる。
同じ楽しいを共有できない他人と集うために、
「私は、本番が一番楽しいんだよねえ」と、
「私は」と付けるのを忘れない私なりの切実さで、答え続けている。
1月は、私が映像出演している作品を2つ観た。
ひとつめは、
譜面絵画 vol.11『Terra Australis Incognita』⑥ 六本木 ver.
https://www.fumenkaiga.com/roppongi
【いつでも・どこでも・何人が出演しても、ふさわしい演劇作品】を作るという超かっこいい集い方を目指したこのシリーズ。
今回私は「映像出演」として参加した。
「出演」の人ももちろんいるし、「音声出演」の人もいる。
戯曲はオファー時にすでにもらっており、1月中旬の打ち合わせで、戯曲のどこが映像パートであるか教えてくれた。1ページ丸々台詞を言う箇所があり、興奮する。出番大好き。1週間後の撮影までに台詞ぜんぶ覚えるから!宣言を勝手に行い、思いつく限りの台詞覚え方法を実践しようと意気込む。
ノートに台詞を全部書く。それを隙間時間に読む。電車に乗りながら、バイトでチケットを売りながら、読む。ぶつぶつ、ぶつぶつ…。そしてもう一度書く。暗記して書く。間違っていたら間違いがなくなるまで書く。あれです、私の高校での英単語テストの勉強方法とまったく同じです。
書くこととあわせて、ボイスメモに自分の声を録音する。ゆっくり、抑揚を付けずに声に出して録音する。聞く。駅までの道を歩きながら、家までの道を歩きながら、聞く。録音された自分の声と重ねて声を出す。ぶつぶつ、ぶつぶつ…。これはドライブマイカーの、あんな感じです。
実際はハンターハンターの無料公開キメラアント編を読むのにはまっていたので、これを2,3日しか実践できなかったが、この努力はギリギリ1回NG出すくらいの成果をあげた。舞台だと、稽古をやっているうちに自然に台詞を覚えるタイプであるので、やたら台詞覚えを頑張った記憶が今も残っている。
上演をバイトの同僚と観に行った。観に来てもらうことの責任感より、連れて行くことの責任感の方がちょっと大きかった。
ふたつめは、
松橋和也「お山へ行くには/To the Mountain because」
青年団の同期でもある松橋くんの卒業制作に、「出演・創作」として参加していた。
10月のエッセイは、これの撮影のことでした。↓
1月末、東京都美術館の講堂に数か月ぶりに集まった。
撮影されるつもりで挑んだ時間と、もう撮影なんてどうでもよくなってる時間が、1時間の映像作品になっていた。これからもっと短くするらしい。
撮影では文字通り衣食住を共にしたので、1月末にまた皆さんと会えてめちゃくちゃ安心した。
上野公園でみはしのあんみつを食べた。スプラトゥーンの話をする共演者とファミコンの話をする共演者のご家族に挟まれた。
2月の記事を書くに当たって、私が4月から書いてきた10記事それぞれのビュー数を聞いてみたのだが、
ビュー数が1番多かったのは、5月のエッセイ↓
いいへんじの公演前だったこの記事でも、本番のことを「人生で1番楽しい日」と書いている。
(ちなみに上にものっけた「山へ」のビュー数は下から2番目に少なかった。むず…でも、応援の言葉をいただいた大切な記事だ。)
舞台への映像出演における本番とは、なんだろうか。
即興的に撮った映像作品における本番とは、なんだろうか。
本番は1番楽しみだけど、
本番が1番楽しかっただろうか?
週5定時で正社員をやっていた1年前も、来月のシフト希望を週7で提出する今月もあまりに忙しい。そして演劇って何が楽しいのかなと考えるくらい、あまりに暇だ。
あんみつ美味しかった〜。
松浦みるの記事はこちらから。
https://note.com/beyond_it_all/m/md4021287af87