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選ばれなかった道
黄色い森の中で道がふたつに分かれていた。残念だが両方の道を進むことはできない。ひとりで旅する私はしばらく立ち止まり、一方の道をできるだけ奥まで見ると、道は先で折れて草むらの中に消えていた。次に、もう一方を見た。こちらも劣らず美しいし、むしろよさそうに思えたのは、草が生い茂っていて踏み荒らされていなかったからだ。もっとも、それを言うなら、ここを通った人々によって実際にはどちらもほとんど同じように踏み荒らされていたのだが。あの朝、どちらの道も同じように、まだ踏まれず黒ずんでいない落ち葉に埋もれていた。ああ、私は最初の道を、別の日のために取っておくことにした!
しかし、道が先へ先へと続いていることは分かっていたから、ここに戻ってくることは二度とないだろうと思っていた。この先、私はため息まじりに語り続けるつもりだ。今から何年、何十年先になっても言い続けるつもりだ。森の中で道がふたつに分かれており、私は──私は踏みならされていない方の道を選んだ。そしてそれが、決定的な違いを生んだ。
道を選べた瞬間があった
辞めたいと思うことってないですか?
ある早朝に「二度と聞かない」の前置きの後、ある人に静かに聞かれた
(初心であった)プライム市場に上場すれば辞めます。
と答えた
そのとき苦しいのは自分だけと考えていて、そのうえで虚勢を張った。
あの朝、あの瞬間にああ言えた私に誇りを持っている
でも他のことを言っていたら、今は変わっていたかもしれない
話したのはそれが最後になり、今はもう退職された
あの朝痛みを抱えていたのは自分だけではなかったし、他のことを言うこともできた
でも私には選べなかった。
あの瞬間が、選んでしまった瞬間だった。
この道は、私が将来立ち向かう必要のある経験をさせてくれるだろうか。