湿

昼間のベタつく暑さを越えて

目が覚めると雨上がり夜中の清涼感

自転車で坂道を下って街の灯りの方角へ向かう瞬間が気持ちよい。

好きな時期になってきた。

こういう昼夜逆転気味の生活がなぜか楽しい。
なにも無い時間の使い方が人生に何度かある。
皮膚感覚で思い出す10年前
その時からそんな事をしている。

宛も無く適当に彷徨う。
思えば昨今24時間営業の個人経営の店が減ったのかもしれない。

こういう時よく行くのはラーメン屋や古本屋、レンタルビデオ屋。よく暇が潰れたもんだ。
お笑いのDVDや映画を借りてそのまま暗くした部屋に帰って観てた。
その感想を言う相手もいないからノートに書いて今見返して何だったのか思い出せたり意味わからんくて呆けたりしてる。

レンタルビデオ屋の安っぽい雰囲気が好きで
あそこで並んでるパッケージはゴッドタンとか海老名マスカッツとか面白そうな感じが2割増に見える作品が多々ある。なぜだろうあの現象。そこはかとないイメクラ感がたちこめるからか。

あとレンタルビデオ屋でどこを見るかと言うとグラデーションを私は見る。
ジャンル分けが大手と違って雑というかその店のセンスが出る。
アクションからホラーに切り替わってゆく並び。
SFから自然の猛威のパニック系に移りゆく人の世の栄枯盛衰感。タイタニックからデイアフタートゥモローの間に紛れ込む中途半端なパクリ映画。ヒッチコックの鳥を彷彿とさせるが大量の蜜蜂に襲われるという監督の癖が出ている映画はどのジャンルに属するのか。ホームアローンはキッズアニメ寄りの配置だが同じマコーレカルキンが主演の危険な遊びはジャンルとしてどの立ち位置になるのかなど。

そしてAVコーナー手前に置かれた「パイーレツオブカリデカン」「インランジョーンズ」「マゾリックス」このしょうもなさ。

これで時間はけっこう潰れる。

ビデオ屋を出る。
そもそも動画サイトの目覚ましい進歩発展でビデオ屋自体が減っているなぁとか思いながら。

湿度で蘇る思い出は
10年くらい前大学生の頃 仲良くしてたヒロシという友達。
その時期もこんな感じの天候だった。
ヒロシは私の家に転がり込んで来てゲームをしてた。
私が学校へ授業を受けに行ってそのままバイトして帰ってきたら まだゲームしてた。その間10時間くらい。ダメ人間だった。
ただなにか懐かしい。今どこで何をしているのだろう。

私はこういう感じの付き合いが多い方だと思う。
ヒロシは高校は一緒だったけどクラスは一緒になった事がなくてあまり話をした事もなかったけど 卒業してから遊んだりするようになった。
それも頻繁にではなく誘ってもらう事が多かった。

意外と多くの人がそうだと思うけど親友と呼べる距離感の人はいない。友達とか知り合いはもちろんいるがそれもグラデーション。その日の気分で行き来する放浪の旅。交友関係は受け身である方がジャンルを越えてゆく。

なのでか ひとりの時間も好きなんだ。