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古塔つみさんの「トレパク疑惑」から考えるオリジナリティについて。

今日は「古塔つみさんのトレパク疑惑」から考えるオリジナリティについて書いてみたいと思います。

事件の詳細については、色んな記事が出ているのでそちらを見ていただきたいですが、ざっくり云えば「権利者の許諾を得ずに投稿・販売」をしたことが問題に挙げられています。

この事件から、3つのことを考えました。ひとつは「なぜこの事件が起こったのか?」ということと、ふたつめに「なぜトレパクが悪いのか」、そして最後のひとつは「今後どのようになってほしいか」というものです。

まず、ひとつめの「なぜこの事件が起こったのか?」に関しては、今の時代が「良くも悪くも素人が発表できる時代」になったから。というのがあると思っています。

例えば、一昔前であればこのような事件が起こりにくかったはずです。デザイナーにしろ、他の職業にしろ、正当な評価を受けるためには、コンテストがあり、そのトーナメントを勝ち上がっていった人にのみ「発表の場」があり、その実績が「仕事」につながるという流れが一般的だったと思います。

ただ、今の時代は、発表の場を自分で持てるようになったことによって、勝ち上がらなくてもデビューができるようになりました。

これには、良い面、悪い面があって、悪い面としては、今回、企業側が行った販売停止措置など、企業側にとってのリスクが増えたことなどが挙げられます。

自由に発表できるようになったことは、活躍の機会が増えたとも言えますが、企業側からすれば、あり得ないミスが増えたり、リスクヘッジができなくなるという問題が増えていきます。

つまり「発表の場が増えた」ことによる「実力と人気の乖離」によって、今回のような問題が起きているということです。

権威性のあるものや、コンテストが煩わしいと思う側面もあるにはありますが、プロの目が入ることで、クオリティの担保や、トレパク疑惑のようなものが排除されていくと思うと「評価や信頼」を得ることの重要性をあらためて感じる機会だったなと思います。

次に、ふたつめの「なぜトレパクが悪いのか」についてですが、これには「趣味を超えて商業利用した」ということがまず問題としてありますが、「モチーフ作品への敬意」がないことや「実力以上のものを借りて評価を受けている」ことが問題だと思っています。

当たり前ですが、トレパクで評価をされた作品の背景(モチーフ)には、カメラマンのオリジナルな構図や、モデル、他にもスタイリストやメイクさんなどのプロが多く関わっているので、そのトレースした世界観は作家自身のオリジナルで生み出したものではなく、元になった人たちの才能を借りている部分があります。

それを隠したいと思ってしまう気持ちも分かる部分がありますが、反転させたり、隠し方に悪意があったりというのでは残念な気持ちになります。

では、最後に「今後どのようになってほしいか」についてですが、営利目的でトレースするのであれば、「引用符」をつけてほしいなと思っています。

どんなアーティストも、色んなものに影響を受けて創作しているので、そもそもとして、トレースが悪いというふうには思っておらず。問題なのは自分が影響を受けたことや、参考にしたものを隠して評価を受けようとしてしまうことだと思っています。

ちなみに、HIPHOPなどの音楽シーンでは「サンプリング」というスタイルが定着しているようです。これは、過去の曲や音源を引用して再構築していることを表しているようです。

このように、新たにのせた部分は自分のオリジナルなわけなので、そのオリジナルな部分を正しく評価してねってことで出した方が、創作者の精神衛生的にも、消費者、そして起用する企業にとっても良いのではと思います。

モチーフそのものが見えやすい時代になったこともあるので、隠さずにこれに影響を受けたを言って発表できるようになると良いなと思います。

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