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オランダ教育移住 1年経って思うこと(物価・生活費情報もあり)
こんにちは、香港・沖縄・オランダと子供を3か国移動させて育てているリアル孟母ベティです。
オランダに来て1年3か月、娘2人は無事進級しました(次女の進級については後述)。
オランダ教育移住 その後どう?
長女は学校生活を大変エンジョイしています。もともと香港に生まれ、インターのノリで沖縄に入ろうとして、入れず、少し沖縄では友だち関係に距離感のあった長女。10歳という女の子にとっては友だち関係が難しくなってきているころに沖縄へ引っ越すことになったのは少し申し訳ない。沖縄で長女に仲の良い日本人友達が出来て、子供だけで映画とかに出かけるようになるまで1年かかりました。
そんな長女、オランダのインターでは、転入後すぐ、一週間程度で友だちが3人ほど出来ていました。みんなインド人です。(長女はもともとインド系と香港インターで仲良しだった。香港もマジョリティである香港系中国系のほかは、漢字の読めない国出身の子供が多い学校でした。インド、フィリピン、パキスタンなど。双方イギリス統治だった歴史的な関係から、香港に根付いているインド系は多い)。ノリが合うらしい。すぐに友達同士で外出するようになり、家にいるときは友達たちとずっと長電話&オンラインゲームをしています。
子供たちの行っているオランダの公立インターナショナルスクールも、(年度別全学年横断の学校発行のアルバムを見ると笑うのですが)15-18歳くらいの学年では学生の出身国の構成はバラバラなのですが、ここ2-3年で急激にインド系が増え、マジョリティになっており、長女の学年はまるでインド系インターナショナルスクールと呼べるくらいの比率です。(そしてその状況を歓迎している私。理由はここ)
日本社会は気を使いすぎて疲れる、と優等生気質長女が言っていました。頻繁に香港・沖縄に遊びに来てくれて長女をよく知っている私の親友も、「長女ちゃんは香港にいるときのほうがイキイキしていた」と言っていたくらい。親の目から見ると、その香港のイキイキぶりがオランダでまた長女に戻っているように思います。そして沖縄在住体験を経て、長女は「将来は絶対に海外の大学に行き、海外で働く(日本は選択しない)」という意思を固めました。私としては長女が将来日本国籍から別の国籍に切り替えることになってもそれはそれで良いと思っています。
マイペース次女は、もともと沖縄に馴染むのも早かったですが、オランダに来てもさっそく学校でエジプト系の親友を作っていました(しかしインターの宿命か、この子はすぐに転校してしまった)。今の次女の親友はインド系です。(個人的な意見ですが、自分のAPUでの大学生活でも、インド系の女性は賢く、優しく、素晴らしい人が多かったので、安心して長女次女の交友関係を見守っていられます)。しかし次女はオランダで学業面の課題を抱えました。そして、香港から8歳で引っ越したときは幼くてあまりなにも思わなかったようですが、オランダに11歳で引っ越してみて、あらためて外部から日本を振り返り、日本の素晴らしさに気づいたらしい次女。将来は日本で働き生活していきたいと意思を固め、ついでに日本でしか就くことの出来ない職業を目指すことまで決めました。それで、次女の帰国子女中学受験プロジェクトが始動(進捗はこちら)。この受験で合格をいただけたら、次女は日本在住のパパの家で暮らすことになります。
次女は、わりとフリーダムな性格で、思ったことはストレートに口に出します。少しわがままな気質もあります。相手の気持ちよりも自分の気持ちを優先したいタイプ。なので、長女のような優等生気質(発言する前に相手がどう思うか、しっかりと考えるタイプ)の方が私の目からは一見日本社会でやっていけそうに見えるのですが、まあ結果は真逆となり、面白いなと。
両者ともに言えることですが、日本(沖縄)・オランダを両方見たからこそ、比較し、自分で自分の行きたい進路について判断を下せるようになった。これはそのために子供を連れまわしてきた私なので、とても喜ばしい効果が出たと思います。
さて、私はといえば、太りました(苦笑)。冬期間家にこもってばかりになりがち&鉄道交通費が高いので、あまり出かけない&香港のように歩き回って楽しく散歩できるようなところがない都市に住んでいる+次女の受験準備で土日は3-5本のオンラインレッスンが入りつきっきり・・・です。沖縄も車生活&暑くて出歩かない、ので県民全体で運動不足が指摘されていますが、オランダもとくに冬期間が長いですし(11-3月は午前8時~午後4時半くらいまでしか太陽が出ない)ジムとか、家庭で出来る運動とか、考えていかなきゃならないな、というところです。
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なぜオランダだったのか
もともと香港を2020年に出たいと思い、実はバリのグリーンスクールに応募していました。それで、入学可の回答をいただいたものの、Waiting Listが長くて1年以上待ちます、となったので、じゃあその1年を子供の日本語留学として考えようと思い、沖縄に移ったんですね。(なぜバリと沖縄だったのかは今後別途書きます)
しかし沖縄で過ごすうちに、オランダ公立インターナショナルスクールという可能性を知り、行先をオランダに変えた。(バリのグリーンスクールはちゃんとデポジットを100%返却してくれました)
オランダにしよう!となったのは以下のような考えからです。ちなみにうちは両親ともにしがない自営業者で、私はネットがあれば出来る仕事を出来れば続けたい(海外現地就職は考えていない)ということが前提になっています。
★日本のインターナショナルスクール→年間200-300万の学費+同級生が日本人が多すぎる+大学で日本国内の大学や海外留学となり、大学進学に多大な資金を要する
★日本の公立高校進学→日本語能力的に辛そう&ノリ的に辛そう。英語で言ってもらえれば回答できることでも、日本語だから回答できないことが多く、子供が気の毒。さらに大学進学で日本国内大学でも海外留学となった時でも同上で、多大な資金を要する
★各国についても、それぞれどんなビザで行くのか?という問題があり、それについて細かくは調べてはいないのですが、その時考えていたのはざっとこういう感じです。
シンガポール 学費も生活費も高すぎて無理、以前シンガポールのサマースクールのために滞在したとき、アルコール販売が高額で時間制限もあり地味に生活ストレスだった
台湾 台北は住みやすそうと思うが、香港を去る理由が中国からの政治問題がきっかけだったので、同じ問題を抱えたくなかった
タイ・バンコク インターナショナルスクールが年間300-400万円と高額。またタイ語やタイ文字覚えないと生活が大変そう
マレーシア マレーシア・マイ・セカンド・ホーム/MM2Hという家族移住者向けビザがあり、これはいいかもと思いましたが、3000万円くらいを現地通貨にして現地銀行に預けることが条件であり、うちには無理
バリ・グリーンスクール 子供に体験させたい教育だけど、今後高校生になっていくと考えた時に、年間200万円の学費を出すならもっと他に選択肢があるのではないかという結論になった。小学生の時に入るなら最高だと思います
アメリカやオーストラリアは高額になると思い調査はしませんでした
ニュージーランドは、大学生の時に自分が短期語学留学で行って、うーんと思った、苦手だったので。自然環境は素晴らしいのですが、あの「世界の果てに取り残されている感」が苦手でした(NZの方大変すみません)
★対して、オランダは日本国籍者には特別枠の「個人事業主ビザ」が出ます。これは、申請者が自営業をオランダ国内で開業し、ビジネス口座にたった5000€(約90万円)を預金すればいいだけ。(上のマレーシアの例とかみると、たった90万円と言いたくなる)
それで、本人には個人事業主ビザ(オランダ国内で労働権利なし)がおりるだけではなく、その配偶者にはオランダ国内で労働まで認められているビザが降り、子供たちには学生ビザがおりる。家族丸ごと面倒みますよ!という太っ腹なビザです。ビザが下りたあとで知りましたが、なんと子供たちもオランダ国内での労働可でした(13歳から法的に就労可能なオランダ)。
そして各都市には公立インターナショナルスクールがあり、学費が安い(年間5000-6000€=80-90万円)上に教育内容もIBプログラム採用が多く、リーズナブルで内容が良い。また同級生も多国籍。
バリのグリーンスクールもそうなので他の国でもそうなんだろうと思っているんですが、子供が合格して学生ビザをいただけても、親に就労許可のあるビザは出ないのが普通なんじゃないかと。そうでないとその労働ビザ目当てに子供を転校させる親が大量に出ますよね。バリの場合はガーディアンビザという保護者ビザが出ますが、現地就労は不可という内容でしたので(こっそりオンラインビジネスで働いている日本人は多いという話)
それでですね、下記しますが、やはり大学進学費用の安めなヨーロッパの大学に続いている、というのが私にとっては大きかったです。学費が安く教育内容が良いとなれば、コスパ最高です。
さらに、この個人事業主ビザで5年住めば、オランダ永住権やEU居住権を申請もできる。
私たちは家族4人(父母娘2人)全員香港で、香港永住権がある状態でした。子供に将来訳に立つ資格のひとつのつもりで、香港永住権を与えられて、子供が小さいころはそれで満足でした。しかし香港の政治事情は2020年7月に大きく変わってしまったので(詳しくはこちら)、子供に積極的に活用してほしい資格ではなくなってしまいました。
そんな背景もあり、可能であれば、子供に別の地域の居住権を与えることができれば、とも思ったんですよね。
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オランダ教育移住のメリット・デメリット
メリット)上記のように移住の経済的ハードルが低い。与えられるビザも手厚い。公立インターナショナルスクールがあるのが最高。オランダ居住権やEU居住権に続いている。ヨーロッパの大学を狙いやすくなる。
デメリット)生活のデメリットとしては賃貸供給が不足しており、部屋を借りるのが大変。賃貸費用が高くかかる。冬期間の生活があまり楽しくない。
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学術面でのデメリットと感じたのは語学教育的な負担が重いこと。娘の学校は中学校からスペイン語とオランダ語が必須になっています。同時進行で、です。(選択制ではない、両方マスト)学習負担が大きい。それに、これは個人的な意見ですが、オランダ人は世界一と言っていいほどノンネイティブとして英語が上手く国じゅう英語が通じます。車で2時間も走れば別の言語の国に出て通じなくなってしまうオランダ語、そこまでやらなきゃいけないのかな、と思っています。オランダ語学習は、投下する労力に対して、リターンが少ない、と感じています。
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オランダ語への労力投下に対する評価は、それぞれのご家庭の移住時の子供の年齢によって大きく変わると思います。
おそらく、うちの場合もしかして、2020年秋に香港から去ると決めたときにオランダ移住の手法を知っていれば、日本を経ずに直接オランダに来ることを選択したかもしれません。その場合、子供が年齢10歳以下であったなら、インターナショナルスクールではなくオランダ現地の公立校でイエナプランでしっかり勉強するように言いますし、これから10年以上成人までの間を暮らしていく、根を下ろす国としてのオランダの言葉も勉強するように言うと思います。
一般に、子供が10歳以上になると教学言語を変更しない方がいいと言われていますし、その難しさや生じる不利益については、実際に2人の娘を通して見てきました。
うちの場合は移住時に子供が13、11歳で、オランダ移住といっても、10年15年腰を据えるプランではないですから、感覚は長期留学に近いのです。ですので、オランダ語を身に着ける必要そんなにある?という評価になります。このあたりは、家庭の方針や子供の年齢、今後のプランによって大きく変わってくるところだと思います。
オランダでの生活費について
公立インターが設置される程度の規模の都市で、母と中学生2人の場合。
家賃 30-35万(2ベッドルーム)
食費や生活雑費 10万 (スーパーのPBで良ければシャンプーや洗剤は日本より安いくらい)
光熱費 3.5万(床暖房なので高い)
ネット・携帯電話など通信費 0.5万
健康保険 人とプランによる
で、だいたい46-50万円程度がミニマムになる感じです。
賃貸検索サイト
健康保険検索サイト
食品や洗剤などの物価は現地のネットスーパーが参考になります
ですので、沖縄在住時のうちの生活費からの変化を見た場合は、
賃貸 +240万/年間(3倍以上)
学費 +180万/年間(2人分合計。公立無料→公立インターナショナルスクール)
合計 420万円の出費増になっていますね。
日本でもインターナショナルスクールに行ける額ではありますが、書いてきた様々な理由から、同じ額を出すならオランダの方が付加的なメリットがあると感じています。(同級生や大学の資金、EU居住権のこと)
住居費用を抑えるため、私のところでは、オランダで成人女性とルームシェアをしています。
家賃の高いヨーロッパでは成人でもルームシェアはよくあること(うちのように家族がいる状態でしている例はめずらしいかもしれませんが)
なので1部屋をルームシェアに回すと、一か月12万円以上家賃が浮きますので(年間140万)、うちの家計として純粋増になったのは約280万円となっています。
ルームシェア相手はFacebookグループで見つけました。
また、教育出費に関していうなら、仮に日本国内で一番お金がかからないとされる公立高校を長女次女が目指す場合にも、日本語の読み書きに追いつく+小学校中学校の義務教育内容に追いつく、というハードルがあるため、おそらく本気でやるなら月々7-10万円くらいの個別塾や家庭教師費用を覚悟しなければならず、どのみち年間100万以上は早々に必要になってくるのは見えていた、というのもあります。そこまでやっても絶対に日本でずっと育ってきた子並みにはできるようにはならないですし、投入コスト(労力、努力、お金)に対する発揮できる最大パフォーマンスと出口(日本の大学受験か海外留学か)を考えた場合、同じ分量のコストを、オランダの公立インターに使ったほうがいいな、という判断もありました。
次女はIBDPを走り切れないだろう
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さて、次女の学習状況について詳しく書きます。実は自分で日本に行くと言ってくれてほっとしました。なぜかというと、この子はIBDP(IBプログラムの最高学年2年間のこと G11とG12の学年)を走り切れないだろう、と最初の1年で私も感じたからです。
どちらかというと長女の方が英語インターに戻ることを強く希望しており、次女はとくに希望なし、の状態でオランダのインターに転入しました。ただし、次女にとって不幸だったことに、学年のミスマッチがまずありました。次女は4月生まれで、当時は小学5年生の夏です。しかし、オランダの学齢上、ここでMYP1(G6)に入れと言われてしまいました。MYP1は日本でいう中学校の1年目です。小5の夏休みの子が、いきなりその年の9月から中1になる、って無理がありますよね。おまけに入学申請時に、次女にはADHDがあることも診断書を提出済、香港と沖縄での生活の中で、小学校中学年で教学言語が変わっていることから、学習内容的にも遅れがある、と学校側にはさんざん説明し、転入時に入る学年を下げる交渉してもダメでした。
(詳しく書くと、オランダの公立インターを3校受けて、1校だけは学年を下げることは同意してくれました。結局いろいろな事情からその学校には入らなかったのですが、まずは交渉してみるのは重要だと思います)
そして、当然ついていけるわけもなく、数学やスペイン語は落第の成績。そして会話はできるものの読み書きにおいて年齢なりの発達から遅れていた英語も落第。最終成績で3つ落第だと留年になります。副担任が良い人で、パパも交え、何度もオンラインミーティングをしてこちらの事情や状況を訴え続けた結果、裏技というか、最終的には、「スペイン語は履修していなかった」としてくれ、赤点は2科目(英語・数学)として、なんとか進級しました。
(留年させてくれても良かったんですが、子供の心理に配慮して進級させたほうがいいという先生のアドバイス。そもそも1.5年も学年をスキップさせることにもともと無理があったんですよ、だから入学時点で学年下げてくれと説明したじゃないですか、家庭ではめちゃくちゃサポートしてますが限界がありますよと主張しまくりました)
しかし、こちらに来て調べていくと、IBDPは2年間のマラソンにたとえられるほど、タフな勉強が必要。毎日4時間以上みなさん勉強するみたいです。次女のようにIBDPを取得することに対して強い動機がない人間が、DPを乗り切れるでしょうか? DPを取れないままで卒業していく学生もたまにいるようで、それは避けたい。
同時期に、次女はあることに気づきました。さすがアルファ世代だな!という感じなんですが、「日本で英語が話せる自分で生きていったほうが、努力のコスパがいい」と。
英語ができることが、かっこいい、という扱いで、英語ができることでからかわれたり嫉妬されたりしにくいという理由もあって沖縄を選んだのですが、やはり沖縄で英語ができると、すごーい!とチヤホヤされますから、次女はそこで学んだんですね。(沖縄で日本人で米軍基地で働けるような人はエリートで高収入)
香港やオランダで英語ができても、なーんも評価されないが(それどころか英語レベルが低いことで自分にデメリットが発生する)、日本だとある程度しゃべれるだけで、まわりからの扱いがめちゃくちゃ違うということを。
次女がこれをスムーズに言語化したわけではないのですが、まあ話を総合するとこういうことを考えているようでした。私としては労力とリターンをしっかり考えられるようになっていてくれて、嬉しい限り。
娘たちがオランダのインターに転入して1年3か月経った現状としてはこのようなことになっています。
2024.11.28
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