時速40kmと丘、たまにおぢ。
本当に海道をチャリで爆走することになった。
きっかけは昨日の夜。ゲストハウスに10時間かけて到着した後のことである。誰もいないゲストハウスに管理者の友人の女性が訪れた。心細さが頂点に達していた自分にとっては本当に救世主であった。宿の説明を受けた後に思い切って、おすすめの場所を聞いてみた。どうやらこの島周辺はサイクリングの聖地として有名らしい。今となってはここまで事前の調査をしていないことに驚く。こうして、街道チャリで爆走が確定したのであった。
2日目の朝。チャリを借りるために準備をしていると、どうやら管理人の人が車で送ってくれるらしい。
大阪出身のロン毛のイケメンで、イタリアンのシェフ、が今はゲストハウスの管理人らしい。人生って色々だなって思わされる。眠くてあんまりちゃんと話せなかったのが悔しい。また後で話したいな。
いよいよサイクリング開始。ルートを決めていくことを決めたが、いきなり橋を渡るらしい。人生で橋を渡ることなんてそうそうないだろうからとてもわくわくしてる。どうやら歩行者・自転車利用者用の道があるらしく、ちょっとした高速道路みたいな作りになっている。蜷局を巻いたようなカーブに少年心が沸き立たないはずもなく、一人旅とは思えないほど口角が上がっていた。誰にも見られないで本当に良かった。橋を越えたら、平坦な道、坂、そして山、そのあとまた橋、、、と続く。中でもすごかったのが、角度のある橋×山。登りは体力を奪われ、下りは精神力を奪われる。なんせ時速40kmくらい出てるからだ。風を切る音と感触が、車の窓を開けたときのそとほぼ同じだったからおそらく間違いない。びびりなので、ブレーキはがっちりつかんでる。正直ビビらないやつの方がおかしい。でも、そこまで全力でチャリこぐこともそうそうないから貴重な経験ではあった。
9時半ごろにゲストハウスのある島を出発して3時間、ようやくお目当ての島に着いた。どうやらお好み焼きの店があるらしい。いわゆる広島風のお好み焼きだ。これ毎回困るのだが、広島風お好み焼きって広島県人に喧嘩売ってないだろうか。お好み焼きはお好み焼きだし、どっちもお好み焼きだが、つくりかたも食材も微妙に違うから、どうしても広島風という接頭語をつけてしまう。むしろお好み焼きという言葉をやめて、広島焼きと大阪焼きにしてくれたらこっちも困らなくて済むのに。
そうこう考えているうちに店に到着。中には店主のお父さんと常連客らしき方が数名。店の構えはいかにも地元のお店って感じでである。
おばあちゃんに話しかけられた。東京から来ましたって言ったら、楽しんでいってねだって。俺がやりたかったのはこれだよ。ありがとうばーちゃん。元気で健康にいてくれよな。
次の行き先を探しているとどうやら大理石の彫刻が並ぶ丘があるらしい。が、それと同時に1つ気づいた。もう体力が残ってない。今か来た道もっかいはたぶん無理だ。悟ったので文明の利器に頼ることにした。まず港から船で島に行く。その後平坦な道をこいでまた船に乗る。ある意味とても自分らしいと感じてた。途中で塩アイスを食べながら何とかしてその丘があるところにたどり着いた。どうやら寺の中にあるらしい。とても広い。建立X周年を記念して建てられたらしい。雪以外でここまで白い景色は初めてだ。3人の子供が走り回っていた。鬼ごっこしているようだ。あと15年ほど早く訪れてたら自分も全力で鬼ごっこを楽しんでいただろう。
時刻は夕方。海に向かっていく夕日を眺めながら、真っ暗になる前に家に付きたいとチャリをこぐ。愛媛県と広島県をつなぐ橋の県境で止まって写真を撮ってみる。反対側からおぢが登場。やはり県境で止まる。愛媛と広島の境目で自分とおぢが見つめあう。気まずい時間が流れそうなことを察した自分は思い切って話しかけることにした。各々の写真撮影を後に「お気をつけて」と一言。意外と話しかけても行けそう。
島に戻ってきた。どうやらサイクリングの聖地碑?があるらしく、ちょっと寄ってみる。なんとおぢ2を発見。ルーティーンのごとく写真を撮ってあげる。おぢ2は徳島から来たらしい。自転車にはまっている人にとっては夢のような場所らしい。そして衝撃。どうやら自分の乗っている自転車はざっと20万以上するらしい。そりゃあ乗りやすいわけだ。しかも電動アシスト付き。逆にこれくらいの性能でなければ海道を走るなんて到底無理だったかもしれない。おぢ2と別れチャリを返却。ゲストハウス近くまで行くバスを待っているとおぢ2が自分の目の前を通る。軽く振り向き、右手を上げる様はおぢをいけおぢにさせていた。かっこよかったなあれ。
夜は初日に行ったカフェバーにたまたま来ていたお父さんの居酒屋に。全部ご飯がおいしかったが、やはりここでも口内炎。本当に許せない。酒が飲めないことをこんなに悔やむこともそうそうないだろう。それはそうと、ゴーヤのから揚げがとっても美味しかった。ゴーヤなので苦いかと思っていたが、おそらく醬油漬けになっている&マヨネーズのトッピングでとても食べやすい。こんな食べ方もあるのかと衝撃的だった。隣には今治市から来たお姉さまがいた。口内炎の話したら仲良くなった。どうやらフィリピン?インドネシア?にいて、そこから地元の今治市に帰ってきて造船会社で営業をしてるらしい。さらにその奥には東京から来たお兄さん。どうやら自転車こぎでITエンジニアからの転職時の有給を使って海道を制覇しに来たらしい。やはり人生いろいろのようだ。こういうことがあるから飛び込みの居酒屋って面白いんだよな。
てな感じで帰宅。足がパンパンって話を管理人の人にしたら自転車はそういうもんって笑ってた。それはそうかも。明日はどうしようかな。
次回:後輩からウサギを推された。
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