【雑記】松山英樹はメンタルを鍛えればもっとうまくいく
ずっと前から気になってたんですよね。日本を代表するゴルファーの松山英樹選手ですが、彼のコメントって、あまりに自分に矢印を向け過ぎるきらいがあると感じるんです。
例えば、今年の全英オープンで予選落ち(7月)した時は、
「うまくいかなかったです。途中から修正できると思っていたけれど、後半の10、11番くらいから自信を持って打てなくなった。悪いスイングをした結果。なかなか思ったプレーができないのは自分のせい。悔しいです」
今年1月のソニーオープンインハワイでは、3日目に大きくスコアを伸ばした後はこうコメント。
「ショットに関しては良いものがだいぶ出せたかなというのがありますけど、パットは良いところもあれば悪いところもあった。でも、最後に伸ばせたので良かったなと思います。最後にパットが入ってくれたので、これを続けられるようにしたい。ショットは昨日よりはすごくいいんで、明日もう一回良いスコアで回れるように頑張りたい。トップ10も見える位置なので、頑張りたいと思います」
絶好調だった2016年〜2017年、9戦して5勝と無敵モードだったあと、少し勢いが止まって迎えたマスターズ、4日間終了時のコメントがこれ。
(勢いが止まったと指摘され)「それが実力なんで。調子の谷間をなくさないようにしないと」「3日目、4日目と良いショットが打てた。そこは自信を持って、パッティングのレベルを上げたい。去年の年末くらいのパットができれば絶対勝てる自信はある」
対して、冒頭の2019年全英オープンで同じく予選落ちとなったローリー・マキロイ(北アイルランド)は、初日大崩れ後こんなコメントを。
「自分を殴りたい。何回か愚かなミスを犯してしまった。最初のティーでかなり緊張し、ひどいショットになった。途中で少し立て直し、トーナメントを戦えるように持ち直そうとしたが、うまくいかなかった」
2019年4月のマスターズで奇跡の復活優勝を挙げたタイガー・ウッズ(アメリカ)は、5月の全米プロゴルフ選手権で予選落ち。その際のコメントは
「私は再びマスターズの王者になることができその時間をとても楽しんでいた。今大会はすぐその後だったこともあって不運にも力を発揮できなった」
ちょっと古いけど、2017年6月の全米オープン、当時世界1位で連覇を目指したダスティン・ジョンソン(アメリカ)もまさかの予選落ちで2日間で会場を去ることに。その際のコメントはこちら。
「全米オープン。私にとって大きな意味を持つメジャー大会だ。週末にプレーできないのは本当に残念だ。それでも、得るものも多くあった。ドライバーは良かったと感じている。だから、とにかく家に帰って少しリラックスして、家族と過ごす。1か月後の全英オープン(The Open Championship)で会おう」
ここまで見てきて、松山選手と他の超一流プレイヤーのコメントで何が違うか、お気づきでしょうか?
心理学的に言うと、海外の選手は予選落ちという結果を、「自分のせいではなく不運だった(外的要因)」「この結果は一時的なものだ(一時的)」「この結果は今回だけだ(限定的)」と捉えている傾向が強く見えます。緊張したというのは、その場面だけの限定的なことですし、ダスティンなんかは予選落ち直後に家に帰ってリラックスするなんて言ってます(笑)。
逆に松山選手は、予選落ちという結果を「自分のせいだ(内的要因)」「前から(あるいは今後も)調子が悪い(永続的)」「いつもこうだ(普遍的)」という捉え方をしているように思えます。最後の「いつもこうだ」というのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、「3日目・4日目と良いショットが打てた」というのは、深読みしてみると「いつもはなかなか安定しないけど」という前提があるようにも思えます。今日は良いショットが打てた、みたいな雰囲気を感じます。
結論、何が言いたいかというと、海外の超一流選手は「心の底からポジティブ」。一方松山選手は「頑張ってポジティブに捉えようとしている」。このマインドセットが極めて大きいのです。これはポジティブ心理学という分野で、海外選手のようなマインドセットの方が、あらゆる場面でパフォーマンスが良いということが証明されています。
ゴルフはメンタルスポーツとはよく言います(私もやるのでよくわかります)が、この2パターンの選手が、1年間目標にしてきた、ひょっとするとゴルファーになるきっかけとすら言えるような大舞台で、どういう差が出てくるか。1試合だけならわかりませんが、中長期的に見たら相当違ってくるように思います。
だからこそ、松山選手は「メンタルをもっと磨くべき」だと思います。すでについているなら申し訳ないのですが、私はメンタルコーチを雇うのが、安定して実力を発揮できるようになる一番の方策ではないかと、こういうコメントの違いから感じています。
彼のコメントが、もっと底抜けにポジティブに変化してきた時、彼が真の超一流プレイヤーになるときではないかと、強く思います。