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酸化対策で「褐色化、匂いが変..」を防ぐ!人気クラフトビール醸造所の品質管理をご紹介

この記事でわかること

■ビールが劣化する原因で最も深刻なものは「酸化」
■ビールの酸化を防ぐためにできること
■ブラックタイド・ブルーイングの管理手法とは?

はじめに

ビールが劣化する要因のうち最も深刻なものを1つ挙げるならば、それは「酸化」である。これはクラフトビール関係者の多くが賛同するだろう。
この記事では、ビールの酸素劣化を防ぐための手法を紹介する。後半ではブラックタイド・ブルーイング(宮城県)がどのように管理しているかを、ジェームズ・ワトニー醸造長に聞いた。

DO(溶存酸素)とは?

ビールと酸素は、発酵前は仲間、発酵後は敵という関係になる。発酵の主役である酵母が活躍するためには酸素が不可欠だ。そのため発酵前のビールには充分な量の酸素が必要になる。だが発酵後のビールと酸素は接触させない方が良い。ビールが酸化してしまうからだ。
ビールの酸化は深刻な品質劣化を招く。DO(Dissolved Oxygen:溶存酸素)という醸造の専門用語がある。DOとはビールに溶け込んだ酸素量のことである。仕込みから出荷までビールをどう取り扱うかによってDOが前後するが、DOが基準値を超えるとビール本来の味わいが失われ、賞味期限が短くなる。ブルワーが創意工夫したビールを消費者に楽しんでもらうためには、DOを管理して、品質劣化のリスクを最小限にして出荷する必要がある。
アメリカの名門ブルワリーのシエラネバダブルーイングは「ビール劣化の主な原因は酸化」と明言しており、多くのブルワーがDOマネジメントについて議論と工夫を重ねている。

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シエラネバダブルーイング(引用:flicker)

瓶や缶といったパッケージでの提供をするなら、DOマネジメントは避けては通れない。特に缶は瓶よりも酸素が入りやすい。パッケージングの工程で空気に触れる面積が缶の方が大きいためだ。そのため、缶設備導入と共にDOマネジメントを本格化する醸造所が多い。

DOマネジメントの手法について

DOマネジメントの中心的な作業は、各工程のDOを計測して見える化することだ。基本的な測定タイミングは2つある。

■測定するべきポイントと目標数値

①タンク内部の酸素量:30ppb以下
②充填後のパッケージ(缶・瓶・樽)内部の酸素量:50ppb以下

DO数値が基準値を超えていれば、原因を突き止め、対策を打つ必要がある。ここで海外ブルワーのノウハウを紹介しよう。

ホースに開いた針の穴ほどの大きさのすきま、タンク移送用のホース内に残った空気、ホースのつなぎ目やバルブ、などDOが増える要素はたくさんある。もしビールがどこからか漏れているのを見つけたら、そこから酸素が入っていると思った方がいい。

工程全体の改善が重要だ。作業一つひとつを改善するだけでなく、工程全体の見直しや、時にはスケジュールの再調整が必要になる可能性もある。

容器詰めの前に必ずビールの温度を調整しよう。弊社は、静かだが適量の泡が出る程度にパッケージングできる温度である1°Cに調整している。
容器の洗浄工程も改善の余地がある。缶や瓶の中に残った水が酸素を含んでいるかもしれない。

オープンフィル型の缶フィラーを使っている場合、プレパージの工程が重要だ。(プレパージとは、ビール注入前に缶内を二酸化炭素で満たす工程のこと。)空気より重い二酸化炭素が壁となり、ビールと酸素が直接触れるのを防ぐ。

弊社にとってDO削減効果が一番あったのはビールの泡の調整だった。パッケージングの際、ビール注入の速度と量、泡の調整が必要だ。泡を出さないようにすると、作業スピードは向上するがDOは増える。逆に泡を出しすぎると作業効率が悪い。適切なバランスが重要だ。

上記は全て記事「Managing Dissolved Oxygen Levels」より引用

ここに挙げたノウハウはほんの一部だ。DOマネジメントを始めると、各工程に改善点があることに気付くだろう。

ブラックタイド・ブルーイングのDOマネジメント

ブラックタイド・ブルーイングのジェームズ・ワトニー氏に、同社のDOマネジメントについて伺った。アメリカ出身のジェームズ氏は海外ブルワリーの動向にも明るい。現在利用しているDO計測機はアントンパール・ジャパン製のCboxQCで、アメリカの醸造所にいた時に知ったという。

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ジェームズ・ワトニー(James Watney):科学博士号取得の後、13年間に及ぶ醸造経験に加えて、ポートランドを代表する醸造所であるCulmination Brewing、そして伊勢角屋麦酒でのプロフェッショナルトレーニングを積み、ブラックタイド・ブルーイングに参画。クリエイティブで高品質なビール醸造の傍ら、Best Beer Japanの樽管理システムを利用した効率的なブルワリー運営にも寄与している。

DOマネジメントを始めたきっかけは?
醸造プロセスのさまざまな段階でDOを測定したかったのです。各工程(タンク移送、缶・ケグ詰など)でDOをチェックしておけば、どの段階で酸素が混入しているかを判断できます。ブルワリーを立ち上げた時から行っています。

■CboxQCに決めた理由は?
アメリカの醸造所で働いていた頃からCboxQCを知っていました。他にも市販されているDO計測機がありますが、CboxQCほど使いやすく便利で、必要な機能を揃えているものはありません。

■CboxQCの利用頻度と使い方を教えてください。
ほぼ毎日使っています。主に、パッケージ前の発酵タンクとパッケージ後の缶ビールのDOの測定を行っています。これは、缶詰のプロセスで私たちがどれだけ良い仕事ができているのかを確認するためです。

■DO計測をやらないとどんなリスクがありますか?
酸素はあらゆる工程で簡単に混入してしまうものであり、ブルワーは細心の注意を払わなくてはなりません。問題を追跡して作業を修正できるように、さまざまな工程でDOを測定し、自分の仕事をチェックしましょう。特にホップのキャラクターを強調したIPAなどのビールでは、パッケージ内部のDOが高いと賞味期限が短くなってしまいます。ブラックタイド・ブリューイングでは、包装後に缶から得られるDOの読み取り値に基づいて、賞味期限の日付を調整します。これは、お客様に最高の製品を提供したいと考えているからです。 もしDOを計測しないなら、品質が低いビールを流通させてしまうことになり、ブランドを毀損するリスクがあります。

■CboxQCは他のブルワリーにおすすめできますか?点数をつけるとしたら10点中何点?
満点の10点です。

■それはなぜですか?
プロセスのさまざまなステップでDOを追跡できなければ、製品が出荷後どれだけ早く劣化するかがわかりません。また、どの工程でどの程度の量の酸素がビール混入したかがわからなければ、ビールを改善することもできなくなります。ホッピーなビール(IPA)をボトル・缶で販売している醸造所には絶対に使うことをお勧めします。

CboxQCについて

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CboxQC利用イメージ(提供:アントンパール・ジャパン)

アントンパール・ジャパンのCboxQCは、国内外で多くの醸造所に支持されている。国内ではビール大手4社はもちろん、ヤッホーブルーイングをはじめとした品質にこだわるクラフトビールブルワリーの導入事例が多数見られる。
使い方はいたって簡単だ。ホースで計測機と容器(缶や瓶、タンク)を繋ぎ、90秒で測定できる。余計な部品がなく洗浄も簡単で保守も容易だ。酸素に加えて、二酸化炭素の計測もできる。
使い方がよりイメージしやすくなるよう、使い方の動画を用意した。関心がある方はぜひ観てもらえればと思う。

■缶、瓶からの測定方法

■タンクからの測定方法

記事のまとめ

■ビールの劣化のうち最も深刻なものは「酸化」
■DOマネジメントは計測機を使うことで可能になる
■ブラックタイド・ブルーイングではCboxQCを使っており、他のブルワリーにもおすすめ

DO計測機の購入について

文中で紹介したアントンパール・ジャパンのDO計測機(CboxQC)はBest Beer Japanを通して購入することができます。ご興味がありましたら以下のリンクからぜひご連絡ください。
Best Beer Japan 問い合わせ窓口

対象になる補助金リストも共有できますのでまずはお気軽にご相談ください。

Best Beer Japanについて

Best Beer Japan株式会社は
バックオフィス業務を自動化できる醸造所管理システム
新しい販路に繋がるクラフトビールECプラットフォーム
物流コストを半分にできる樽シェアリングサービス
を運営しております。
また、100社以上の醸造所と取引があり、酒税の申請を半日から30分まで減らす実績があります。
ご興味がある場合は下記からデモのスケジュール調整ができます。
https://www.bestbeerjapan.com/#contact_anchor

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