クラフトビールの比重計測に潜む3つのリスクとその対策
■この記事で分かること
・浮ひょう型比重計の3つのリスク
・正確性だけではないデジタル比重計のメリット
・実際の利用者へのインタビュー(Passific Brewing大庭陸さん)
浮ひょうを使った比重測定に潜む3つのリスク
ビールの品質を一定に保つためには、日々様々な数値を計測することが重要だ。数値化しておくことによって、レシピの改善やトレーサビリティにも役に立つ。
中でも比重は、最も重要な数値の一つ。麦汁が狙い通りの糖度になっているか、ビールが順調に発酵しているかを確認するために、毎日の比重計測はビール醸造に欠かせない。
多くのクラフトビールメーカーで使われている浮ひょう型では、比重を正しく計測できないリスクがあるのを知っているだろうか。
■浮ひょう型比重計(写真提供:Taubin)
浮ひょう型比重計は、3つの点で計測エラーをもたらすリスクがある。
リスク①:人によって読み方が異なる
ビール醸造で使う浮ひょうは目盛りが非常に細かく刻まれており、見る角度やポイントに気をつけて測定しなくてはならない。また、液面に浮かべて計測するため少しの振動で上下に揺れ動きやすく、慎重に取り扱わないと計測誤差が生じる可能性が高い。
一般的にビール醸造で使われる浮ひょうの目盛りは0.002ずつ刻まれている。2目盛り分の計測誤差があると、アルコール度数は0.5%も変わってしまう(*)ので気をつけなければならない。理想的な味わいから遠ざかるばかりか、パッケージ表示や酒税申告において法的な不備を指摘される可能性がある。
*アルコール度数=(初期比重−最終比重)×131 として算出
リスク②:計測温度が一定でない
正しい数値を得るためには、毎回適切な液温に調整してから計測する必要がある。浮ひょうの多くは20℃を計測温度としているが、毎回きちんと温度調整をするのは、忙しい現場では現実的でない。温度によるずれ(例:基準温度から5℃ごとに、比重が0.001ずれる)を利用した補正係数を用意している比重計もあるが、液温を測る手間は残ってしまう。
温度による計測ミスが多いのは夏だろう。ブルワリー内は熱がこもりやすく液温の変動が激しくなるからである。その上、繁忙期のため様々なタスクをこなさなくてはならない。
リスク③:定期的な校正が必要
浮ひょうは定期的に校正(個々の計測器ごとに出るズレを把握・修正すること)をしなければ精度を担保できないが、校正機関に数千円から数万円の費用で依頼する事になるため、ほとんどの現場では行われていない。
これらのリスクを減らすやり方の一つは、デジタル比重計を使うことだ。
例えば、アントンパール社のデジタル比重計(DMA35)を使うと、より正確な数値を計測することが可能になる。
■DMA35利用イメージ
正確性だけではないデジタル比重計のメリット
デジタル比重計には、正確性のほかに2つのメリットがある。
デジタル比重計のメリット①:一度のサンプル量が1/10以下に
浮ひょうであれば1回の測定に少なくとも100mlのサンプルが必要だが、DMA35なら10mlで済む。たった90mlの差だが、平均的な醸造所が1日に5回計測すると仮定すると、年間約110L(¥65,000円相当)のロスを削減することができる。ロスしていた分を販売に回すことで、デジタル比重計のコストは2~3年で回収可能だ。
■ロス計算シュミレーション:1日に比重計測する回数を5回 / 10回という前提で比較
デジタル比重計のメリット②:温度調整の必要がなく、即座に計測が可能
液温が0~40℃の範囲内であれば正確に計測できるため、温度調節の手間がなくなる。また、サンプルをとって数秒で計測結果が表示されるため、効率的に作業ができる。比重と同時に糖度も計測可能だ。
実際の利用者の声:Passific Brewing 大庭 陸氏
デジタル比重計(DMA35)を使う利点を、志賀高原ビールとCRAFTROCK Brewingで醸造経験を積み、現在はPassific Brewingのオーナーブルワーである大庭氏に伺った。
■Passific Brewing:「海を越え、山を越え、ビールと旅するブルワリー」をコンセプトに2021年夏より茅ヶ崎にてビール醸造を開始予定。
記事のまとめ
デジタル比重計のメリットは3つある。
■比重計の比較:浮ひょう vs デジタル
デジタル比重計の購入について
アントンパール社の製品はBest Beer Japanを通して購入することができます。ご興味がありましたら以下のリンクからぜひご連絡ください。
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対象になる補助金リストも共有できますのでまずはお気軽にご相談ください。
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