最強馬議論って何だろう。
競馬ファンの大好物「最強馬議論」
競馬ファンなら一度は競馬仲間との雑談や、自分の頭の中で妄想的にいろんな世代の馬たちを戦わせ、やれあの馬が強い、いややっぱりあいつだろう、いやいや忘れていないかやつのことを?
・・てな具合に盛り上がること必至の一大テーマ。
この大テーマに、競馬ファンではなくプロフェッショナルたちがどう答えるか、そのアンケートを昔のNumber(Number PLUS 競馬・黄金の蹄跡/1999年発行)がコンテンツにしていました。
ホースメンたちが選んだ「20世紀最強馬」は・・・
調教師・騎手89人へのアンケートにより「20世紀最強馬」を決定。
プロフェッショナルたちが選んだ「最強馬」は1964年・東京オリンピックの年にクラシック三冠を制したシンザンでした。
通算成績19戦15勝。クラシック三冠の翌年に天皇賞(秋)と有馬記念にも優勝し、いわゆるG1級勝利5勝。4回2着に負けたのもいずれも調教代わりとして出走させた賞金の低いレースで、ここぞというレースは1回も落としていないという限りなく完璧に近い競走成績。
1位のシンザンが19票で、以下2位がシンボリルドルフで17票、3位がナリタブライアンで13票、4位がエルコンドルパサーで11票、5位にはサイレンススズカが5票でランクインしていました。
ひとり一人のプロフェッショナルたちの選出理由も実に興味深くて今読んでも面白いコンテンツです。
ちなみに、数多くの名馬に跨っている武豊騎手はサイレンススズカを選んでいました。選出理由は、「古今の名馬を集めてレースをやったらもっとも勝ちやすい気がする」そう。
大川慶次郎vs井崎脩五郎の最強馬議論。
同じ雑誌の別のコンテンツでは、”競馬の神様”・大川慶次郎さんと有名予想家・井崎脩五郎さんが「我が愛しのサラブレッド」と題された対談で、最強馬を選んでいます。
この対談、すごく・いいです。(この対談こそ、愛おしい!)
両氏の選んだ最強馬はこんな感じなのですが、、
【井崎脩五郎氏の選んだ最強馬】
1位:マルゼンスキー[8戦8勝](30歳※)
2位:トキノミノル[10戦10勝](4歳)
3位:クリフジ[11戦11勝](6歳)
【大川慶次郎氏の選んだ最強馬】
1位:シンボリルドルフ[16戦13勝](56歳)
2位:エルコンドルパサー[11戦8勝](69歳)
3位:タケシバオー[29戦16勝](39歳)
4位:シンザン[19戦15勝](35歳)
対談では、もちろん、いきなり最強馬の名前を挙げるわけでなく、”何をもって最強とするか”という選定基準のところから対話が始まります。
大川氏は、”着外にならないのが強い馬”という考え方。
対して井崎氏は、”僕の条件は負けない馬。負けなかった馬”と言う。
なので、井崎氏が最強馬として名前を挙げたのはいずれも無敗馬。トキノミノルやクリフジはそれぞれ井崎氏が4歳の時・6歳の時にクラシックを戦った馬なのでリアルタイムで見ていないと思うんですが、長じて競馬ファンとなってから過去の馬を知って「これは強い」と思ったのでしょう。
これに対し、大川氏は無敗馬について、”無敗馬はもっと競馬をしたら負けていたかもしれないという含みがある”と述べ、負けたことがあるにせよ、体調がたとえ悪くてもそれを克服して着外にならなかった馬を認めてあげたい、という考え方のようです。
あと、大川さんすごいな〜と思うのは、井崎氏選出のクリフジも、トキノミノルもしっかり現役時を知っている、ということ!
その上で選んでいるので、これは重みが違うな、としか言えません。
こういう議論になると、得てして自分の競馬歴がまだ浅い頃に強い印象を受けた馬を選びがちですが、大川さんが選んだ1位のシンボリルドルフは56歳の時、2位のエルコンドルパサーは69歳と、過去の記憶やそこに伴う感傷に流されないのも素敵だな〜と思うのです。
それにしても、楽しそうなお二方。
最強馬議論って、答えがあるものではないので、こういう話題を肴に競馬仲間と楽しい時間が過ごせればそれでいいよなあ、と思いました。
ウマ娘も最強馬議論?
そう言えば、ようやく「ウマ娘」、シーズン1の第一話だけですが見ました。
あれも最強馬議論のひとつの表れなのかもしれない、と思ったり。
先の展開を知らないので何とも言えないものの、サイレンススズカ対マルゼンスキーとか、見られたら面白いかも?